「Create value, Spread to the world. 価値あるものを、世界中の人々へ。」をミッションに日本発のデザイナーズブランドを創造し、世界へ展開しているブランドインキュベーションカンパニーIMCF。デザイナーがクリエイションに集中するための環境を用意し、ブランド創出から経営やマーケティングなどビジネス面まで一貫したサポート体制を敷いている経営スタイルは2016年の創業以来変わらない。現在、ファッションブランド「PERVERZE(パーバーズ)」「soduk(スドーク)」「leinwande(ラインヴァンド)」などをはじめ、レザーグッズ、ジュエリー、ライフスタイルの分野で10個のブランドビジネスを展開している。これまでブランドの魅力を引き出すため、社員がメディアに露出することはあまりなかったが、今回、IMCFの中核を担うブランドマネージャー池田氏に話を伺うことができた。これまでのキャリアからブランド創出への想い、今後の展望を語っていただいた。
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池田 早希さん/株式会社IMCF ブランドマネージャー
大阪府出身。学生時代はアパレル販売と塾講師の掛け持ちをする傍ら、ファッション好きが講じ自ら服作りに尽力。大学卒業後、裁量権と報酬の観点から販売員の地位向上に努める株式会社TOKYO BASEに入社。販売員を経験後、人事部新卒採用担当として広報・採用・教育に従事。現在はデザイナー投資会社である株式会社IMCFに転職、投資先ブランド4つのマネジメントを担う。
憧れのアパレル業界への道のり
― これまでのキャリアについてお伺いしたいと思いますが、小さい頃からファッションがお好きだったのでしょうか。
小学校の卒業文集に「デザイナーになりたい」と書くぐらい、洋服に関わることがしたかったです。小学生の時にティーンブランドが流行っていて自分は買ってもらえなかったので、その反動でブランドに憧れるように。それに安い洋服がある一方で、ブランドの高価な洋服が売れているのを見て「ブランドってすごい!」と感じていました。
― アパレルへの憧れがあったのですね。
通っていた中学校・高校に雑誌『装苑』が置いてあり、よく読んでいました。『装苑』に触れていたので、デザイナーになるには才能が必要で「自分はデザイナーにはなれない」と早い段階で気づきました。
だから自分が得意な言語を活かしてアパレル業界に携わろうと。ファッションだったらフランス語かイタリア語だろうと思い、イタリア語を選択して大学に入りました。
― 大学時代はどのように過ごされていましたか。
大学入学後はファッションサークルに入ったのですが、自分が思い描いてたものとは違っていました。そこで他大学のファッションサークル情報をメンバーに共有したり、ファッションショーを提案して開催したり、他大学と連携を図ったりということをしていました。
― 主体的に活動されていたのですね。同時に販売員のアルバイトをされていたのだとか。
就活を意識していたのもありますが、入学後すぐに販売員のアルバイトを探しました。始めはデパートに入っているようなブランドを受けたのですが落とされ、厳しい世界だなと痛感。最終的に外資系のアパレルブランドに採用され働き始めました。
― 就活の時はファッション・アパレル系企業を受けたのですか。
大枠でアパレルに携われたらいいなと考えて、繊維系商社に内定をもらっていました。しかし、大手とベンチャーの軸で考えた時に、スピード感や達成感の感じ方から自分はベンチャーの方が向いているなと思ったんです。
その頃、TOKYO BASEは上場前で、ベンチャーかつアパレルという立ち位置。TOKYO BASEのインターンシップにも参加して、社長同行をさせてもらい、大企業にはない面白さを感じました。年功序列ではなく結果主義で、いろいろな仕事に携われるところに面白みを感じ入社を決めました。
販売員・採用担当を経験。そして、ブランドマネージャーへ
― 実際にTOKYO BASEに入社されていかがでしたか。
TOKYO BASEでは最初、販売員からのスタート。販売員としてはアルバイトの経験があったので、少し自信があったのですが、TOKYO BASEの販売員は全然違いました。数字へのこだわりや、販売で売上を取りきる力が他のアパレルとは一線を画していましたね。
「今日はお客様来なかったね。」で終わる日はなくて、売上目標から逆算してやることを決めていました。「雨だから、次回のお客様のアポ取りをしますね。」みたいに。周りの社員は“モンスター”だらけで、研修初日に圧倒されたことを今でも覚えています。
― 半年間、販売員を経験し、採用部門へ異動されていますが、採用のお仕事はいかがでしたか。
TOKYO BASEの採用活動も結果主義でした。新卒採用を担当していたのですが、入社するというゴールからすべて逆算して、KPIの数字に落とし込んで、数字をどう達成するかというのをひたすら考えていました。販売の時の考え方と似ていて、販売での経験が人事部で活きたと思います。
― なぜIMCFへ転職することになったのでしょうか。
「日本発のブランドを世界に出していきたい」という想いが個人としても、前職の理念としてもありました。そこに携われている感覚はありましたが、実感が感じられませんでした。前職は人を育てることに重きを置いた会社で、もともとやりたかった「洋服を作ること」に挑戦してみたかったんです。
縁あってIMCFの創業者に出会い、理念ややりたいことが自分と重なったので転職を決めました。これまでは会社や人にフォーカスしてきたので、次は物にフォーカスしようと。
― もともと「洋服をつくりたい」という想いがあり、IMCF創業者との出会いがきっかけで転職されたんですね。
IMCFはデザイナーとMDが両軸でトップを張りながらブランドを作っていて、面白みを感じました。それに昔読んでいた『装苑』のようなデザイナーの世界に足を踏み入れてみたかったんです。
入社当初、いきなり創業社長がつくったブランドのマネージャーを任されました。まだ社員10名ほどしかいなかったので、MD・プレス・販売促進などをまとめて任されて。初めてだらけで大変でしたが、「現場で学んで現場で結果を出す」というのが許される環境なので、新しい仕事をスピーディーに吸収できたのはよかったと思います。
― それが今では4ブランドも担当されていますよね。自分のスキルの幅をどんどん広げていますね。
20代での販売、採用、商品開発の経験が、ブランドマネージャーとしての仕事に大きく影響しています。どこも不可欠なピースで、すべての経験がつながっているんです。
一方で自分のできる幅が広がるほど、能力と時間のリミットを感じています。今は専門的な人が必要なタイミング。専門家やプロに入社してもらえれば、チームを強化できると考えています。
ブランドインキュベーションカンパニーIMCFの魅力に迫る
― IMCFの価値観 “Brand First・Future Value・Be Global”はどのような想いで作られたのでしょうか。
“Brand First”は私たちは「デザイナーズブランドをつくっていることを忘れない」という想いを込めて。通常、ブランドが大きくなっていくと、売上重視や、お客様の要望に沿った商品作りに転換していきます。それも大切ですが、振り切ってしまうとデザイナーズブランドではなくなるので、常に“Brand First”を心に留めています。
“Future Value”は「長い間、価値があり続けるブランドをつくる」という意味があります。100年以上続くようなエルメスやシャネルのような将来的な価値を提供できるブランドをつくっていきたいと考えています。
“Be Global”は「国際的に通用するかという観点で物事を動かすように」。私たちはニッチなデザイナーズブランドを作っているので、国内の市場だけに留めると立ち行かなくなります。例えばSDGsや多様性の点では日本は遅れているので、必ず国際的な基準で考えていくことがこれからは大切です。
― IMCFで働いている方の特徴やカルチャーを教えてください。
社員数は業務委託契約を含めて全体で約60名。今まではアパレル出身ではない人材が多かったですが、現在はリアル店舗の採用を強化しているため、アパレル出身の人材が増えています。
また、日本初のグローバルブランド創出を掲げているため、多国籍なメンバーが集まっているのも特徴です。企業カルチャーも従来の日系企業とは少し異なることもあり、外資系出身者もいます。元々、私たちのブランドのファンで会社やブランドを知ってくれていて、採用につながるケースも見受けられますね。
― 池田さんが入社した当時のように、手を挙げれば新しいチャレンジができる環境でしょうか。
そこは今でもIMCFが大事にしていることです。他にもデザイナーとクリエイションへのリスペクトは社員全員持っています。例えばデザイナーの意図をくみ取って、広告やクリエイティブを作り上げていきます。若干機動性にかけますが、そこが抜けると一般的なアパレル企業になってしまうからです。
― アパレル企業では店舗とオフィスが二分化されるケースが多いですが、IMCFではいかがでしょうか。
会社で“本社”というワードが出てこないです。販売職の社員が本社の仕事をするのはIMCFではよくあること。反対に販売についても販売職のメンバーだけの仕事ではなくて、社員全員ができないといけないと思っています。もちろん私も店頭に立って接客して、お客様とコミュニケーションを取ることもあります。
デジタルからリアルへ。IMCFが目指す未来
― IMCFはこれまでSNSやECなどを中心としたD2C(Direct to Consumer)モデルを軸に事業展開をしてきたと思います。現在、「PERVERZE」の直営店やIMCFが手がけるブランドが集結するコンセプトストア「3-9-12HIGASHI」など、今後も積極的にリアル店舗を増やしていこうとお考えでしょうか。
IMCFはもともとSNSやECなどデジタルに強みを持っています。これからはユーザーとのタッチポイントを増やすためにリアル店舗を増やしていこうと考えてます。ただ、「リアル店舗でタッチポイントを増やすこと」に終始するのではなく、「リアル店舗を活用してどのようにデジタルにつなげるか?」が課題です。お客様に最上級の接客をして終わりではなく、もしそのお客様が店舗に来れなかった時に、どのように同じような体験をデジタルでしていただけるか考える必要があります。
今後、リアル店舗の出店は主に4大都市と海外を考えています。ファンの中にはオンラインではなく、店舗で買いたい方もいますし、海外にもお客様がいるため、海外にも店舗を構えたいと思っています。
― まさに急成長中のIMCFですが、今後はどのような人材に入社していただきたいですか。
リアルとオンラインをつなげられる方にぜひ来ていただきたいです。例えば「どのようにデジタルを活用してブランドを広めるか?」「リアルイベントを成功させるため、接客以外でどのように仕掛けるか?」など考えられる方です。
また、すべての部署で英語はある程度話せるようにと伝えています。日本から海外に洋服を売っているので、海外事業部だけが英語を話せても事業のスピードが遅くなるため、英語は必要だと考えています。
― 御社では「販売員」という職種名ではなく、「コミュニケーター」という呼称を使っていますね。接客販売するだけではなくイベント企画や情報発信などマーケティング業務も行う「コミュニケーター」ですが、どのような人がマッチしますでしょうか。
具体的に2パターンを想定しています。
1つ目は、現在接客をされていて、ゆくゆくは本社の職種に就きたいなと考えられている方です。接客は好きだけど、本社に行くと接客ができないと懸念されている場合でも、IMCFでは接客も本社系の仕事どちらもできます。
2つ目は、現在は本社の仕事をしているけど、接客もしたい方です。IMCFでは本社系で築き上げられてきたキャリアも活かしながら接客もできます。
― IMCFでは販売をしながら、さまざまな仕事に携われそうですね。最後にIMCFが目指す未来について教えていただけますか。
「日本のデザイナーズブランドを世界へ」というのが会社の目標であり、私のやりたいことです。世界に持っていくところまではできましたが、広げているという感覚はまだありません。次はオフラインのタッチポイントも増やし、世界で日本のデザイナーズブランドを根づかせたいですね。
あと、IMCFは「デザイナーズブランドのコングロマリット企業」を目指しています。創業当時は女性のアパレルブランドだけでしたが、今ではカバン・靴・陶器などのブランドも増やし、これからも世界へ発信し続けます。ブランド作りでは、0を5にするところまではできました。次は10、50、100にステップアップするために新しい仲間が必要です。第二創業期を迎えるIMCFで一緒に働きたい方をぜひお待ちしております。
「IMCF」では、事業拡大によりコミュニケーターなど新しい仲間を積極的に募集しています。記事を読んでIMCFの想いや考えに共感し、会社やブランドと共に成長していきたい方はぜひこちらからご応募ください。
文:吉田櫻子
撮影:加藤千雅
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