ラグジュアリーブランドで販売職を長く勤めたのち、有名ブランドからエッジの利いた小物まで幅広いアイテムを扱う人気セレクトショップに転職したKさん。マネジメントも手掛けるなど、販売職に対する経験値はカリスマクラス。そんなKさんに、セレクトショップの販売員について色々伺いました!
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― セレクトショップでの販売職に向いている人の傾向について教えてください。
好きなスタイルを持っている人、ファッションが好きな人、また将来自分でブランドを持ちたい人にはセレクトショップが向いていると思います。
様々なブランド加えオリジナルブランドも展開している場合もあり、スタイリングのアレンジは無限の可能性があり、スタイリスト関連の仕事をやりたい人にも向いています。また、取り扱うモノが多いことから情報収集、リサーチ力、ひいては知識が身に着きます。取り扱っているアイテムのみならず、ライフスタイル全般に対する日々の情報収集が必要ですね。ファッション、コスメに興味があり、好奇心が旺盛でそのためのリサーチや勉強を楽しむことができる人が向いています。
― 逆に向いていない人とは?
きっちりとマニュアルやルーティーンに沿って業務をこなすことが得意なかたは、ラグジュアリーブランドやドメスティックブランドでの勤務のほうが向いていると言えます。セレクトショップでは自分で考えて行動することが強く求められるため、極端な言い方をすれば破天荒なくらいの人のほうが向いているかもしれません(笑)。
また、セレクトショップの場合制服や決まったスタイリングなどが存在しないので、自分自身で着る服を揃える必要があります。清潔感を含め「お客様からどう見られるか」という基本的なガイドラインはありますがあとは自由に、そのシーズンらしいコーディネートであったり、自社ブランドに関連したものであったりをその人らしい個性で組み合わせます。ルーティンで着用する服が定着するまでには3年ほどかかることも。
購入したものを日常的に使うことで、お客様に伝えられる知識を得ることができるのは利点ではありますが、社内販売で値引きがされるとはいえ、コンスタントな自分への投資が資金的につらいと感じる人はいるかもしれません。もともと買い物が好きで、そのプロセスを楽しめる、常に自分磨きをしたいと思えることが長く勤める上で大切になります。
気になるお給料とインセンティブの話
ー お給料やインセンティブについても伺えますか。
年収は国内ブランドとラグジュアリーブランドのちょうど中間といったところです。同じポジションに長くいても、役職が付かない限り年収は上がりませんが、それはどこのブランドでも同じですよね。セレクトショップ出身で、ラグジュアリーブランドに転職し年収アップを図るかたもいらっしゃいます。
インセンティブは個人の売上に応じたものではなく店舗の予算達成によるところが多いです。基本的な年棒に対し、年に30万プラスされればかなりいい方ではないでしょうか。
セレクトショップ販売員として働く魅力
ー セレクトショップで販売員として働くことの魅力について教えてください。
一番最初の話ともつながりますが、「ファッションが好き」という気持ちを原点に、そこからもっと幅広くアンテナを張ることができる人にとっては、スタイリングを通した自己発信にもつながりますしとてもいい環境だと思います。
ー ラグジュアリーブランドに比べてお客様との付き合いに違いはありますか。
セレクトショップのほうがお客様とのお付き合いは長く続くケースが多いです。ラグジュアリーブランドでは、経済状態やライフステージの変化に柔軟に対応することは難しいことに加え、デザイナーの交代などによってブランド側の方向性が変わることもあるので長い関係の構築はハードルが高いと言えます。一方セレクトショップですと、お客様のライフステージの変化に応じ、幅広い商材の中からそのときどきにぴったりのものを提案し続けることができます。
ー キャリア形成における大きなメリットはなんでしょうか。
キャリアアップの選択肢が幅広いところです。ラグジュアリーブランドだと売り場のプレゼンテーション、販売戦略、顧客分析は基本的に本部の発信に従うことになりますが、セレクトショップの場合そういったところも自分たちでカバーします。そうした経験が身に着くことからキャリアアップへの道が幅広く、マーケティング、プレス、バイヤーのみならず自分で独立することを目指す人も多くいらっしゃいます。
コロナ禍以降、国内ブランドの価値、モノ作りの見直しがされる中で、セレクトショップ出身の国内デザイナーさんも出てきています。売れる、売れないというビジネス上の分析、判断ができ、店づくりについての知識も一通り身に付くので、独立という選択肢が取れるようになるのです。
販売職として最初の場所をセレクトショップにした場合、その後のキャリア形成を幅広いものにすることから、特に若い年代のかたに多くいらして欲しいですね。
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