HIKAKIN公式Twitterより
日本最大のYouTuberサポート企業「UUUM(ウーム)」(東証グロース上場)」の5月末決算が上場(2018年8月30日)以来初の赤字になると7月10日に発表があった。主な数字の修正は以下の通りだ(修正前の数字は4月14日発表の第3四半期決算時のもの)。
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・売上高:230億〜240億円→230億円
・営業利益:5億〜7億円→−2億円
・経常利益:5億3000万〜7億3000万円→−1億5000万円
・親会社株主に帰属する当期純利益:0〜1億2000万円→−10億5000万円
下方修正の理由として、UUUMは「YoutTubeショート」(視聴時間60秒以下)の再生回数増加に伴い、YouTubeショートを除く動画再生回数が当初の想定を下回る見通しになった。またP2C(個人が自らブランドや商品を企画し、SNSやブログ、メルマガなどを通じてそのブランドの発信をしてECサイトなどで商品販売を行う)ブランドの棚卸資産評価損約7億円を売上原価に計上、また租税公課の追加計上を行ったことにより販売費及び一般管理費が約1.7億円増加した。また投資有価証券について3.1億円の有価証券評価損を計上したことを上げている。
さまざまな理由があるにしても、最大の理由は、なんと言ってもYouTubeの動画再生回数が当初の想定を下回ったことだ。YouTuberのサポート企業として最大規模を誇った同社の赤字転落で「YouTubeの時代」が曲がり角を迎えているのは間違いないようだ。
「UUUM」は2013年設立。動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」専門にタレント事務所としてスタートし、YouTubeの人気化とともに急成長を遂げた。UUUM専属の大スターHIKAKINは創設者のひとりであり、現在も最高顧問の肩書きを持つ2.3%保有の大株主だ。「UUUM」の収益源は、60%以上が動画再生による広告収入(アドセンス収入)だ。所属タレントのアドセンス収入の20%が「UUUM」の収益になる。2011年8月には東証マザース(現東証グロース)に上場。公募価格2050円(1:3の株式分割後は683円相当)のところ初値は6700円(1:3の株式分割後は2233円相当)と超人気化した。その後2018年10月に1:3の株式分割を行った。株式分割後も株価は急騰し、2019年2月には6870円まで上昇した。しかし、①動画SNS見放題が規制、②中田敦彦の「YouTube大学」や嵐チャンネルなど、芸能人動画との競争激化、③人気YouTuberの相次ぐ退所などにより、2020年5月以降は一時的にコロナ禍による巣篭もり需要などの特需はあったものの、基本的には動画再生回数が伸び悩んでいるのが実情だ。
これに対して、「UUUM」も有望なクリエイターの発掘・投資などで対応している。今回の2023年5月決算でも約5億円のクリエイター関連投資がなされているようだ。また、2023年5月期は踏み台として、今までの負の要素を一気に特別損失などで出そうという意図が読める。また、創業者で最大株主(35.6%)の鎌田和樹代表取締役会長が代表権を返上し、梅田裕真社長(株保有比率9.1%)が代表権を持つ唯一の存在になるなどの経営陣の刷新(2023年5月31日)も行われている。
株価は、2023年5月期の第3四半期決算発表直後の4月17日に史上最安値の613円を記録した後は、さすがに買いが入ったようだが、今回の上場以来初の赤字決算になる7月10日の赤字転落発表でまた売りが優勢になっている。果たして「UUUM」の復活はあるのだろうか?
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