アスクルが展開する個人向け日用品のネット販売サイト「LOHACO(ロハコ)」が初の通期営業黒字化した。2012年の事業開始以来、赤字状態が続いてきたが前期(2023年5月)連結決算における「ロハコ」の営業利益は5900万円(前年は29億4600円の損失)を計上。立ち上げ13年目で黒字化を果たした。
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黒字化した要因について「粗利(の引き上げ)と物流費率、固定費の引き下げを着実に進める取り組みを徹底してやってきたことが大きい」(吉岡晃社長)とし、具体的には値上げを行なったり、利幅のよい商品へと入れ替えを行ったことなど一部商品について価格競争力よりも粗利確保を優先した施策や、「ロハコ」の配送バー(※送料を徴収しない1回の購入額)の引き上げやまとめ買いなどを促し配送箱1箱あたりの単価を引き上げる施策およびコロナ禍を機とした置き配の普及、Zホールディングスが展開する通販事業者向けの自社サイト構築サービスを21年に「ロハコ」に導入して開発費やメンテナンス費、セキュリティ対策費などを削減したこと。また、前期に実施したBtoB事業との業務統合による固定費削減などが寄与した。
一方で、「ロハコ」の売上高は前期比15・0%減の461億7600万円と2桁減収となった。グループ会社のヤフーが展開するポイント増倍キャンペーンに参加する形で近年、販促・集客面で成果を上げていたが、ヤフーが前期中に利益重視の方針をとり、キャンペーン抑制に転じた影響が直撃した。
ロハコの今期の売上高は法人向け通販事業で販売する業務用・大容量な日用品の投入や、窓用クリーナーや電気ドライバーなどのDIYやガーディング、家庭用品など高単価・高収益な耐久品とった新たな商品群の販売などを進めていくものの、ヤフーの方針変更などが引き続き大きく響き、第3四半期(6~2月)までは前年割れするとみており、前期比18・6%減の376億円を予想。「推進してきた改革により売り上げが下がっても利益を生み出せる構造となっている」(吉岡社長)ことから営業損益は同8・4%増の約6400万円の黒字を見込む。
なお、2023年5月期の全体連結業績は売上高が前年比4・2%増の4467億1300万円、営業利益は同2・2%増の146億2000万円、経常利益は同1・3%増の144億4800万円、当期純利益は同6・3%増の97億8700万円。主力のBtoB事業は新型コロナウイルス禍の外出制限緩和でオフィスへの出社回帰が進んだことやMRO商材の売れ行きが順調で売上高は同7・4%増の3738億6800万円、営業利益は新物流拠点の稼働やウェブサイトの刷新に伴う費用が増え、同13・0%減の147億9200万円。「ロハコ」や子会社のペット用品ECのチャームの売上高などを含むBtoC事業の売上高は同10・5%減の632億5200万円、営業利益は3億2000万円だった。
2024年5月期連結業績は売上高が前年比7・9%増の4820億円、営業利益は同12・9%増の165億円、経常利益は同12・1%増の162億円、当期純利期は同5・2%増の103億円を見込んでいる。
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