集英社は、ファッション商材などを扱う通販サイト「ハッピープラスストア」が好調だ。従来から利益改善は進んでいたが、前期(2023年5月期)は利益水準を維持しながら売り上げも20%弱伸びる見込みで、再び成長路線に戻した。
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集英社は3~4年をかけて「ハッピープラスストア」の構造改革を実行してきた。同社は取引先ブランドのアイテムを買い取りも含めて商品を仕入れるだけでなく、オリジナルのファッションブランドも展開しているが、この間にF1層向けの2ブランドを終了し、「イーバイエクラ」と「トゥエルブクローゼット」「エムセブンデイズ」「スアデオ」の4ブランドに経営資源を集中。主要顧客層である30代~50代女性が満足できる品ぞろえを追求してきた。
加えて、セール販売やクーポン施策などが常態化し、健全なサイト運営が難しくなってきたファッションECビジネスにおいて、売り上げの成長よりも利益面を重視。価格競争からの脱却を目指してきた。
具体的には、セールを抑制して定価販売を強化するのと同時に、通販誌やオンラインで商品の魅力を伝える多彩なコンテンツを提供。定価でも納得して購入してもらえるように、出版社の最大の強みである編集力を磨いた。
この数年のEC売上高は50億円超のほぼ横ばいで推移し、利益面は大きく改善。前期については、定価販売が軸のファッションECというブランディングがユーザーにも取引先ブランドにも浸透し、オリジナルブランドを含めた商品力、企画力が高まったことで、売り上げも大きく伸ばしたようだ。
オリジナルブランド強化の観点では今春、雑誌「エクラ」に紐づく独自ブランド「イーバイエクラ」と、雑誌「LEE」のオリジナルブランド「トゥエルブクローゼット」で初となる単独の通販誌を発刊し、過去最多のアイテム数を提案した。
同社では外部人材の起用も含め、チームを組んでオリジナルブランドを強化。従来は雑誌の企画に合わせて商品を開発してきたが、シーズンに合わせて企画を展開し、ブランド単体でしっかりコーディネートを組めるようにした。
販売面では、「ECと紙媒体、リアル店舗などすべてのチャネルを活用して本気で売っていく」(石塚雅延ブランドビジネス部コマースメディア室室長)としている。
一方、取引先のファッションブランドともこれまで以上に関係性を強める方針で、一定の在庫リスクを負うことで、別注商品やコラボアイテムを強化。オリジナルブランドと同様に「ハッピープラスストア」でしか買えない商品を増やして付加価値を高めるとともに、価格競争に巻き込まれないようにする。
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