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ランドリービジネスに変革をもたらす、バルコ ランドリープレイスの展開するオクラボ代表インタビュー

ランドリービジネスに変革をもたらす、バルコ ランドリープレイスの展開するオクラボ代表インタビュー

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NESTBOWL

全国に続々と店舗をオープンする、次世代型新感覚セルフランドリー「バルコ ランドリープレイス」。統一感のある清潔な空間で、カフェを併設する店舗もあり、ランドリーのイメージを覆された人も多いだろう。見える部分のデザインだけでなく、洗濯や乾燥が完了するまでの動線もデータを活用した計算されたシステムと高品質を維持する店舗管理システムで、誰もが安心して利用できる意味のある時短を実現している。今回は、ランドリー業界を牽引する、株式会社OKULAB(オクラボ )を立ち上げた久保田淳氏に、NESTBOWL ブランドディレクター 堀がインタビュー。

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久保田 淳さん / 株式会社オクラボ 代表取締役CEO(写真:右)
神奈川県横須賀市生まれ。大学を卒業後、新卒でアディダスジャパンへ入社。2010年に農業ITベンチャーを創業し、2年で売却。2012年にソニーピクチャーズ・エンタテインメントで経験を積み、2014年よりハイアールアジアにて現在のランドリービジネスにつながる基盤を築く。滞在的なユーザーニーズにビジネスの可能性を感じ、2016年に株式会社オクラボを創業。

堀 弘人さん/H-7HOUSE合同会社 CEO・ブランドコンサルタント(写真:左)
1979年 埼玉県生まれ。米系広告代理店でキャリアをスタートし、アディダス、リーバイス、ナイキ、LVMHなど数々の外資系ブランドにてマーケティングディレクターを含む要職を歴任したのち、楽天の国際部門にて戦略プロジェクトリーダーとして活躍。20年以上に及ぶ自身のブランドビジネス経験を国内外企業の活性に役立てたいとブランドコンサルティング会社H-7HOUSEを設立。NESTBOWLをはじめとして様々な企業、政府系機関、ベンチャーなどのブランド戦略構築に幅広く参画している。

起業家マインドが行き着いたランドリー業界

ー 学生時代には、どのようなことに興味がありましたか?

海外ボランティアの学生団体を立ち上げ、そこで自分でやっていく素地ができました。既存のサークルや学生団体にも所属したのですが、小さな集まりなのに軋轢がうまれてしまい、あまりおもしろさを感じられなくて。それで仲間と一緒に新しく団体を立ち上げて、誰も等しく利益を貰わずに、フィリピンやカンボジアの孤児院に寄付していました。

その後、新卒でアディダスジャパンに就職。当時は、アディダスが本格的にベースボールに参入したタイミングでした。アシックスやミズノが主流だったところに、新たな参画者が業界を壊していく空気感に触れてみたくて入社を決めました。

ー どのような経緯でコインランドリーを立ち上げるのでしょうか。

アディダスで経験をつんだあと、自分で立ち上げた農業×ITのベンチャー企業を2年で売却し、ソニー・ピクチャーズに就職。当時iTunesやAmazon Primeなどのデジタルコンテンツの仕組みはあったものの、まだ一般的に幅広く利用される文化がありませんでした。アディダスは必需品に近く、誰もが知っているようなブランドですが、映画はその作品に興味がある人しか観ない。嗜好品がマーケティングの力でどのように変わっていくのかを知りたかったんです。ソニー・ピクチャーズで働いたあと、フィリピンに行きました。

ー 学生時代から、東南アジアにご縁がありますね。

何年もフィリピンを行き来していますが、マーケットが白熱しているように感じています。たとえば、不動産も1週間後に価値が上がることもあり、たった1ヶ月で、大きなビル群が建てられていたこともありました。

ベンチャー企業のアクションも活発で、コンサル上がりやお金を調達できる人材が中核を担う日本のベンチャー企業に対し、東南アジアは20代で数百人単位の部下を持つ人も多い。経営コンサルと対等にファイナンスの話ができて、語学も堪能で、ビジネスに対するエネルギーを感じていました。その反面、農村では1日1ドルで暮らすような人たちもたくさんいる。そのギャップが、エネルギー量をより際立てているように感じています。

フィリピンでのお写真

ー フィリピンから帰国して、オクラボ立ち上げまでの経緯は?

フィリピンから帰国後、三洋電気から事業譲渡を受け、ASEANと日本をまとめる「ハイアールアジア」という中国の家電メーカーに就職。そこでバルコ ランドリープレイスのもととなる、コインランドリー事業や、IoTソリューションに携わる新規事業などの事業部の本部長を兼任していました。

そこでいくつかビジネスを仕掛けましたが、イメージ通りに成長したのがランドリー事業だったんです。限られた層のコンシューマしか利用しておらず、「近くで洗濯できればどこでもいい」「自宅の洗濯機が壊れたからランドリーに行こう」といったような、顕在化されているニーズの人しか使っていない部分に可能性を感じ、この株式会社オクラボを創業しました。

伝統あるビジネスに新たな変革をもたらす

ー ランドリービジネスに惹かれた理由を教えてください。

学生のときから独立以外考えていませんでした。会社に所属して、会社の力を使って仕掛けたサービスだと、自分の人生に納得が持てない。自分がトップになりたいというよりは、自分が生み出したサービスで多くの人に深く喜んでほしい、と思っています。個人で商売していた両親の姿を見ているので、誰かに人生をゆだねるのではなく、自分の責任は自分でとる生き方を選択していきたい。

ランドリーは、気がつけば人生で何度も利用し続けるほど自分に大きな影響を与えたサービスです。わたしの人生のテーマは、古き良き産業で、より多くの人々がより大きな喜びを生み出せるようなビジネスに変革していくこと。ランドリーは60年前からある、トラディショナルなビジネスです。歴史があり、成長し続けてきた産業ですが、機器以外に進化は無く、潜在的な大きなニーズにリーチできていなかったので、ランドリーで起業し、業界を成長させることに使命を感じました。

Baluko Laundry Place 代々木上原

ー オクラボ創業当時を振り返ってみて、ランドリー業界はどのような状況でしたか?

コンビニエンスストア並みに店舗数があるのに、マーケットの最大値が1,000億円もない程度の小さなビジネスでした。1店舗あたりの収益が低く、エンドユーザーの事を考え、ユーザーをより満足させる仕掛けることができる余力のある店舗がほとんどない。うまくできている店舗があったとしても、その1店舗から数店舗の運営のみで、再現性ある仕組みを作れるプレーヤーが少なかったように思えます。参入障壁が低く、パパママショップが乱立しているので、投資に後悔している人もたくさんいたと思います。

高い開発力のある日本のメーカーの機器が導入されているものの、ほとんどIT化が進んでいませんでした。2000年あたりからようやくIoTが取り入れられはじめ、「ある機器が、何時から何時まで稼働していた」という一連のデータが取れるようになりました。しかし、情報を活用するプレイヤーもおらず、ビッグデータだけ集まって分析のしようもない状況でした。

ー データが活用できていない状況で、どのように対応しましたか? ITをどのように生かしていますか?

バルコ ランドリープレイスではアプリを使って、ユーザーの行動をデータで活用できるまでになってきました。アプリでワンバイワンのマーケティングが可能なので、年齢や性別のデータを集めることは重要ではありません。それよりも、利用意向が高まったタイミングで、さらにそれを後押しするようなコミュニケーションができる仕組みを目指しています。

ITは突き詰めればどこまでも革新的な形にできると思いますが、わたしたちのビジネスは、全国にいるさまざまな人が利用します。誰もがデジタルをたやすく操れるわけではありません。やみくもにITの技術を使って便利さだけを追求しても、それはこちら側の便利さを押し付けているだけになってしまう。決済まで3クリックで完了するように、誰もがわかりやすいサービスにするために、トゥーマッチにしないよう気をつけています。

何万件とあるコールセンターのデータやアプリのデータを分析すると、わかる人はとことんよく使い、わからない人は1回だけで使わなくなってしまうんです。ユーザーが使いやすいように、丁寧に段階を設定することが重要だと思います。

ー 御社が業界にもたらした新たな価値とは?

まずは、革新的なサービス設計、安心で安全な空間設計と徹底された高品質な店舗管理の仕組みで潜在的なニーズを掘り起こし、ランドリー業界に新たな顧客を創出できたと思っています。また、洗濯は爽快感が最もユーザーが求める価値で、洗濯や乾燥、洗剤のにおい、空間の演出も含め、おそらくバルコランドリープレイスがランドリーのなかでもっとも爽快感を感じられる場所だと思います。

洗濯にかかる時間が有意義な時間になり、マイナスだった時間がポジティブな時間に変わっていく。女性の社会進出が進められていますが、まだ世の中では、洗濯や家事を女性が担うことが多い。ランドリーに放り込んでくれれば今まで洗濯で拘束されていた時間が、自分の好きなことや家族と過ごす時間に変えられる役目を持っていると考えています。

併設するカフェは「CROSSROAD BAKERY&CAFE」

誰もが安心して便利に使えるサービスを目指して

ー スニーカーを洗う機械も設置されています。ほかにはどのようなアイテムが洗えますか?

細かなコースを設けているので、理解して使っていただければダウンジャケットみたいなクリーニングに出しているものも洗えます。羽毛が生き返り、布団も元気になる。洗ったあとのふかふか感を考えるだけで眠くなってしまう人もいるほど、中毒性があるんです。

洗えないものの方が少ないくらい、ほとんどのアイテムがランドリーで洗えます。キャンプで使う寝袋や、低温乾燥コースを選べばスポーツで使うユニフォームやビブスもOK。自宅にあるもので言えば、カーテンやポリエステル/アクリル/コットンなどのブランケットも洗えます。風を送り込みながら回すので、シワがつきやすいポリ系やナイロン系のカジュアルウェアにもおすすめです。

こういった情報を知らない人も多いので、バルコ ランドリープレイスが情報を発信して、ランドリーを利用するエンドユーザーを増やしていきたい。機械自体はコアな差別化をしにくく、洗濯する、乾燥するという機能はコモディティ化されています。わたしたちの強みがコモンディティ化された産業にフィットできるビジネスを考えています。

ー アパレルブランドやカフェなどのコラボレーションに積極的。その目的や意図を教えてください。

滞在中の心地よさや安心して利用するために、付属機能として実験的にカフェを併設しています。あくまでもランドリーが中心。カフェの売り上げを重視しているのではなく、ランドリーを利用するお客様の満足度を高めるためのコンテンツです。

人の肌にもっとも近いアパレルは、日々素材が研究されています。どのようなコースで洗えばシワにならないのか、爽快感のある仕上がりにするためにはどうするのか、というのをセルフでできるように機械でコースを設計しなければならないので、アパレル業界とは近い距離でいる必要があると考えています。バルコ ランドリープレイスの認知が広がり、利用するユーザーが増えたらランドリー人口も必然的に上がる。新しい顧客開拓の意味も含めて、アパレルブランドとコラボレーションしています。

ランドリーが以前よりも重宝され、弊社の既存サービスも利用者数が115〜120%と、マーケットが加速的に伸びています。スタッフのいないお店にお客さんを集めなければならないので、コラボレーションは無人のオペレーションをより極めていくところに戦略を集中させているイメージです。

ー 最後に、今後の展望をおうかがいできますでしょうか。

まだ全国にいるバルコ ランドリープレイスを使ったことのないユーザーに私たちのサービスが届けられるように広げていきたいです。今の10倍、20倍に広がれば、より良い人生を過ごせる人々が増え、より豊かな社会になっていくと思っています。

わたしたちのサービスが業界のスタンダードになれば、マーケットが3倍以上になると思っています。バルコ ランドリープレイスのノウハウをオープンにして、ランドリーを経営しているオーナーたちにとっても、利用者にとっても、良いサービスが提供できるような仕組みをつくっていくことが展望です。

文:Nana Suzuki
撮影:Takuma Funaba

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