「スライ」23年春夏物。事業部長に若手を起用し、人材の育成にも注力
バロックジャパンリミテッドは国内事業で、既存のアパレルブランドの育成に改めて注力する。同時に、新規事業の創造も重点にする。それらの成長を支え、OMO(オンラインとオフラインの融合)戦略を推進するSNS発信やECの強化も課題となる。
ADVERTISING
「国内事業の売上高増強には主力ブランドの売り上げ伸長が重要」と村井博之社長は話す。従来はブランドの独特な個性でそれぞれに根強い顧客がいた。しかし、景気が後退し「顧客も可処分所得が少なくなれば、ブランドも同時に縮小する」との危機感を示す。企業が今後、持続的に成長していくためには「世の中の多くの人に知ってもらう努力をし、国内の需要規模を確実に拡大していく」必要を説く。
主力の「マウジー」「スライ」を始め、注目するのは勢いのある「スタイルミキサー」だ。レディス「クラネ」のクリエイティブディレクター、松本恵奈さんをキュレーターに迎え、18年にスタートした。実店舗は郊外の商業施設に出店し、比較的買いやすい価格帯とこなれたデザインで支持される。
手応えをつかんだのは、今年3月に開いた「シェルタートーキョー」東急プラザ表参道原宿店での反響だ。都心への出店はこれが初めてだが好調という。ふり客の購買も多く、公式アプリ「シェルターパス」の会員がシェルタートーキョーでは70%に対し、スタイルミキサーでは50%ほど。SNSで同社や松本恵奈さんを認知している人が新規客になっていると見る。今後は、原宿での実績ももとに出店立地を検討していく姿勢だ。
新規事業の開拓は全社でアイデアを募り、将来収益の柱になる事業を具現化していく。直近では、グリーン事業「シェルターグリーン」が伸びている。21年秋に1号店をアリオ川口(埼玉)に開き、昨秋から出店を加速。今春には旗艦店「チュイン・グリーナリー」をイオンモール豊川とジアウトレット湘南平塚に開いた。植物の大手EC「グリーンスナップストア」でのオンライン販売も開始した。
同社の成長エンジンはインスタグラムでの発信だ。社員の80%が行い、社内では「スタッフスタート」を提供するバニッシュ・スタンダードによる「スタッフオブザイヤー2021」でグランプリを獲得した村岡美里さんが講師となり、SNS発信への意識やスキルを全社で高めている。EC事業では、自社ECでシェルターパス会員のロイヤルティーアップ施策やオムニチャネルサービスに注力して顧客を囲い込み、他社ECとの連携で新規も獲得する。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【繊研plus】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境