傷が少なくて美しい「三田レザー」のポーチ
ビジネスによって地域の課題解決を目指すZENSTEN(ゼンステン、兵庫県三田市、尾崎勝浩代表)は、地元の三田牛の革を使った製品の製造販売に取り組んでいる。三田牛は良質な和牛として知られるが、年々出荷頭数が減少。その革を「三田レザー」としてブランド化して価値を上げれば、三田牛の存在が広められ、町おこしになると考えている。
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尾崎代表の本業はクリーニング店の経営。新たなニーズを開拓するため、数年前からレザー製バッグのクリーニングやメンテナンスを手掛けるようになった。そこで、地元には三田牛がいるのに、その革を使った製品がないことに気付いた。
三田牛は但馬牛として生まれ、三田肉流通推進協議会が指定した生産農家が育てる牛。年間出荷数は5年前には500頭ほどあったが、最近は200頭ほどに減っているという。食肉の副産物としての皮は捨てられるか、一般の牛の皮とともに流通していたという。尾崎代表が青年会議所で提案すると、三田食肉公社の関係者がいて、スムーズに皮を取得できることになった。
三田牛は農家がブラッシングするなど家族のように育てるため、皮がきれいで傷が少ない。薄くて丈夫という特徴もある。兵庫県たつの市のタンナーでなめして三田レザーとし、作家に製品作りを依頼した。そのブランドが「ゼンステン」。関西弁で「全部捨てへん」という思いを込めている。レザーは1枚当たり2万円で購入し、5000円が農家に還元される。
アイテムは10種類ほどあるが、入手できる皮が多くないため、小物類が中心。ふるさと納税品にもなっている財布機能付きポーチ(税込み2万9800円)のほか、コンパクト長財布(1万8700円)、極小二つ折り財布(1万2000円)、コインケース(6600円)などがある。
21年12月にクラウドファンディングで販売し、現在は自社サイトやヤフーショッピングで販売している。製品にはシリアルナンバーが付き、牛の個体識別番号も記載する。
今後、三田牛の存在を多くの人に知ってもらうため、生産体制を強める。三田レザーの組合を作って、関わる人の輪を広げることも考えている。地元にはほかにも社会課題はあるとして、放置竹林の竹から炭を作る取り組みなども始めようとしている。
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