パレモHDが手掛ける「ノエミー」
ウェブメディア「セブツー」では毎月ファッション&アパレル関連企業83社の株価上昇率のランキングを紹介している。今回は3月(3月1日〜3月31日)における上昇率ランキングを発表する。
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現在の株式市場で最大の注目点は、不況入りしたと判断される米国の株価の動向だ。つまりニューヨークダウ平均株価に最大の注目が集まっている。3月21、22にはFOMC(連邦公開市場委員会)の定例会議が行われて、その結果3月22日に0.25%の利上げが発表された。その3月22日、NYダウ平均は530ドル49セント下落する波乱の展開になったが、その後は大反発を見せている。まさに「不景気の株高」という危険な動きを続けている。これを株価バブルと見るのか、金余りを背景にした凄まじい「過剰流動」と見るのかは意見の分かれるところだ。
日本の株価指標である日経平均株価は、このNYダウ平均に追随するなんとも冴えない動きになっている。3月の日経平均株価は2万7363円57銭(3月1日始値)が2万8041円48銭(3月31日終値)まで2.4%の上昇になった。
一方、「セブツー」が選んだ83銘柄の単純合計は18万805円(3月1日始値合計)から18万8454円(3月31日終値合計)へ 4.2%の上昇だった。83銘柄中で、値上がりしたのは53銘柄、変わらなかったのは1銘柄、値下がりしたのは29銘柄だった。
上昇率第1位(+ 17.5%)は、イオンのショッピングセンターを中心にアパレル・雑貨の専門店展開を行っているパレモ・ホールディングスだった。3月20日から株価が上昇しているが、これは3月22日に2023年2月期(2022年2月21日〜2023年2月20日)の昨年9月20日に行った通期連結業績予想の上方修正発表を行ったのが原因。それによると上方修正は以下の通り。
・売上高:174億円→175億1300万円
・営業利益:4億円→5億12700万円
・経常利益:5億円→5億8000万円
・親会社株主に帰属する当期純利益:4億9000万円→5億6200万円
同社は2022年の株式上昇率ランキングでも黒字転換してランキングトップ(2022年6月)になったことがあり、「illusie300」という300円ショップの好調で業績が一変した理由についてはその記事を参照してほしい。さらに最大株主(持株比率17.5%)の西松屋チェーンの動向が大いに注目されるのも指摘しておきたい。低位株なので一般投資家の買いも多いようだ。
上昇率第2位(+16.0%)は、ボリューム価格帯シューズの企画・製造・販売のダブルエーだ。「オリエンタル トラフィック」のブランド名で若い女性に支持を広げている。今回の株価上昇の原因は、3月17日(金)に発表した2023年1月期(2022年2月1日〜2023年1月31日)決算が、売上高175億9800万円(前年比+12.1%)、営業利益11億8600万円(同+14.4%)、経常利益10億8400万円(同+5.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益6億8900万円(同−2.6%)とほぼ予想通りの水準で、今期業績予想についても売上高が前期比+17.6%、営業利益同+35.0%、経常利益同45.9%など完全にコロナ禍からの脱却を示していたことによる。ダブルエーは日本企業だが、創業者で大株主(保有比率66.2%)の肖俊偉社長は中国人。2020年5月には日本の靴メーカー卑弥呼を子会社化している。
株価上昇率第3位(+15.1%)は、イオン(株保有比率67.5%)グループのアパレル専門店のコックス。同社の株が大きく上昇したのは3月5日。3月6日に発表された2023年2月度の全社ベースの売上高の前年比が+21.7%、既存店ベースの売上高の前年比が+33.6%といずれも昨年9月度以来の絶好調ぶりを示したことが要因だ。2023年度(2023年3月1日〜2023年2月28日)の決算は2015年2月期以来久方ぶりの、利益3部門が揃って黒字になる黒字決算になることが確定的だ。1月13日に業績予想が上方修正され、売上高146億円、営業利益4億円、経常利益3億8000万円、最終利益は1億8000万円になった。とは言え、同社の史上最高売上高は1996年2月期の売上高347億3900万円、利益では1994年2月期の営業利益16億5100万円、経常利益17億3700万円、最終利益7億6400万円。それから見れば、遠く及ばないのだが、とにかく黒字転換を好感した買いも入っているようだ。
ワースト組に目を移すとダントツ(83位=最下位)で株価下落(−18.3%)しているのは、海外ブランドファッション通販サイト「バイマ(BUYMA)」を運営するエニグモだった。3月16日の取引終了後に2023年1月期決算を発表したが、売上高68億6800万円(前期76億1600万円)、営業利益11億3600万円(同29億7100万円)経常利益11億4300万円(同29億7900万円)、当期純利益7億1200万円(同20億5500万円)。「収益認識に関する会社基準」をこの通期決算から採用しているため前期とは単純比較はできないが、円高と海外のインフレで出品価格上昇により主力の「バイマ」が苦戦したことが減収大幅減益を招いたようだが、利益の減少幅が大きく嫌気されて通期決算発表翌日(3月17日)から大量の売りが出たようだ。同社では2024年1月期の業績予想は非開示としており、配当予想も未定(前期10円)としている。
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