花沢さん(本人提供)
日米のファッション業界で30年以上にわたり企業経営、投資、慈善活動を続けてきた花沢菊香さんが、日本人女性として初めて母校であるニューヨーク・コロンビア大学の理事に選出された。花沢さんは、ニューヨークのファッションブランド「VPL」のCEO(最高経営責任者)を務める一方、東日本大震災後に「ファッションガールズフォーヒューマニティー」を立ち上げ、アメリカのファッション業界を巻き込みながら東北やハイチなど自然災害被災地に寄付金を送った。コロナ下では、生地と縫うことさえできれば型紙をダウンロードして医療防護服を自分で縫える仕組みを作った。昨年は分権型ファッションのプラットフォーム「ヤビー」を創業、医療用アパレルのクラシコのアドバイザーも務めている。
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生徒支援へ寄付
花沢さんは20年から、同大学の一つであるスクール・オブ・ジェネラルスタディーズの理事を務める一方、毎年5人の日本人もしくは日本で住んだり働いたりしたことのある生徒の支援をするため125万ドルをコロンビア大学の基金に寄付した。同大学への貢献に加え、社会起業家として社会へのインパクト、女性起業家、ファッション業界におけるサステイナビリティー(持続可能性)に尽力し成果を上げてきたことが評価された。花沢さんは今までも、アメリカファッションデザイナー評議会(CFDA)のファイナンス委員会、アジアソサエティーの日本美術委員会、ニューヨーク市立図書館パフォーミングアーツのエグゼクティブディレクター評議会など、多くの団体で役員やアドバイザーを務めてきている。ちなみに花沢さんは日本人で、アメリカ市民権は取得していない。
増える女性比率
コロンビア大学では今年7月、エジプト出身でアメリカで教育を受け、現在ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの学長を務めるイギリス人のミノーシュ・シャフィク氏が新学長に就任する。コロンビア大学の女性理事は花沢さんと新学長を入れて8人となり、女性の割合は4分の1から3分の1に増える。
花沢さんは「コロンビア大学の初の女性理事長はメーシーズのガートルード・ミシェルソン副社長(当時)でした。女性を含め、ファッションや小売りで経験ある人を学生の未来のために教授や理事などに登用していってほしい」と語っている。
(ニューヨーク=杉本佳子通信員)
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