ジョルジオ・プレスカCEO
今春、植物染色を生かし、環境に無害な工程で生産した革を使った限定モデルを発売した伊「フルラ」。昨秋にCEO(最高経営責任者)となったジョルジオ・プレスカ氏のもと、ブランドの価値を高めるアプローチが具体化してきた。ビジネスの現状や考え方を聞いた。
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(聞き手=須田渉美)
昨年9月に入社し、このビジネスに身を置いて感じたのは、97年にわたる企業家としてのノウハウと経験を持ち、信頼あるイタリアのブランドだということです。ミニマルなデザイン、グラマラスな色使い、現代のエレガンスをDNAとして受け継ぎ、ユニークな特徴を備えています。私の使命は、製品やコミュニケーション、店舗において、それらを見える化することです。
ラグジュアリーバッグのブランドの多くは、最近のインフレーションの以前から、製品価格を段階的に上げてきました。世界の地政学的な変化は、原材料や物流に影響し、あらゆるビジネスの最終製品の価格を一段と押し上げましたが、ラグジュアリー市場やハイエンドなファッション製品を常に買い求める消費者に大きく影響するものではありません。実際、フルラの22年のグローバルの売り上げは、前年比で2ケタ増となり、回復傾向となりました。
日本市場も数%増加しています。第1四半期の時点ではパンデミック(世界的大流行)の影響が残っていたにもかかわらずです。
一方で、時代に即して成果を上げ続けるために、私たちのような“手に届くラグジュアリーブランド”は、消費者に向き合う機会、価値ある体験、新しいデジタルマーケティング戦略を見いだしていく必要があります。ブランドの歴史に沿った中で、デザインやコミュニケーションのコードを今にふさわしいものへと再構築していくことを大事にしています。
新たな視点を持って生産のプロセスを作り上げていくことも欠かせません。トスカーナ地方には、リサーチ&デザインハブ「フルラプロゲットイタリア」があります。そこにいるクリエイターと職人たちのノウハウによって、従来のクラフトマンシップに、新しいサステイナブル(持続可能)な製造工程を融合していくことも可能になるでしょう。
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