アマゾンジャパンが商品配送時にオートロックを解除して入館できる集合住宅の拡大を進めている。一昨年前から集合住宅に入居する顧客に対し、不在時でも「置き配」を行えるよう配送員がオートロックを一時解除できる取り組みを開始。すでに5000棟超が対応しているが、さらなる拡大のため、三井不動産のグループ会社と連携した。同社の管理集合住宅約2900棟に順次、同仕組みを導入していきたい考え(画像はKfBで協業した三井不動産レジデンシャルリースの中村氏(左)とアマゾンのシング氏)。
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アマゾンジャパンは2021年3月から、集合住宅の入居者への商品配送時に配送員がオートロックを解除できる仕組み「Key for Business(キー・フォー・ビジネス)」(=KfB)の運用をスタート。同社では顧客の利便性アップや再配達抑制による配送員の負担軽減などを目的に20年3月から一部地域を除いて「置き配」を標準配送として配送を行っているが、オートロック付きのマンションでは顧客が不在の場合、配送員がマンション内に立ち入ることができず、玄関前などへの置き配ができずに、「お客様の買い物体験を損なうだけでなく配送ドライバーの(再配達のための)負荷が軽減できなかった」(アヴァニシュ・ナライン・シングロジスティクス事業本部本部長)ためだ。
KfBの運用開始で集合住宅のオーナーや管理会社らがKfBの導入を希望した場合、アマゾン負担で集合玄関機に専用機器を設置。これによりアマゾンから配送の委託を受けた配送員が専用の配送アプリを使って当該集合住宅に入居する顧客宛ての荷物を持っている時のみオートロック機能を解除、顧客の不在時でも玄関前などに置き配ができるようになる。配送員がマンションに入館し、荷物の配達が終了した後はロック解除の期限が切れ、それ以降は同じ日でもマンションには入館できないと仕組みだ。なお、KfBを使ってオートロックを解除できるのはアマゾンの配送アプリを使って配送業務を担う配送業者「デリバリーサービスプロバイダー」または個人事業主「AmazonFlexドライバー」で、大手配送事業者らは対象外。
現状では合計19都道府県で5000棟以上の集合住宅がKfBを導入しており、「KfBを導入した集合住宅の再配達率は導入前と比べて80%以上削減できた」(同)という。
さらに導入する集合住宅数を拡大するため、昨年1月から賃貸住宅の管理業務などを行う三井不動産レジデンシャルリースと連携を開始。同社の都内の管理物件で試験的にKfBを導入したところ、入居者のセキュリティを担保しつつ利便性を高められたことから3月2日から本格的に導入を進めることにした。「オートロック付きマンションは自由に入館できず、(入居者が置き配で)荷物を受け取れないというのは慢性的な課題だった。今後、建物のセキュリティを担保しながら入館ができる配送会社やサービスを増やして入居者の利便性向上につなげたい」(三井不動産レジデンシャルリースの中村誠経営企画部長)。すでに都内を中心に10棟でKfBを導入しているが、今後は同社が管理する約2900棟(約7万8000戸)のうち、オーナーの許可がとれたオートロック付き集合住宅への導入を積極的に推進していく。
アマゾンでは今後もKfBの導入集合住宅を拡大し、顧客の利便性アップや再配達軽減、配送効率向上を図り、物流コスト削減を推進する考えのようだ。
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