日本繊維輸出組合によると22年の繊維品の輸出は、71億5501万1000ドルで前年と比べて2.8%減少した。上期(1~6月)は前年同期比0.8%増とまずまずだったが、下期(7~12月)失速した。上期と下期で状況が一変した。
ADVERTISING
上期は東南アジア向けが低調だった一方欧米向けなどが好調で、中国、東南アジアの落ち込みを補った。しかし8月以降状況が大きく変わる。欧米市場がインフレなどで景気後退し、在庫調整もあり急減速した。特にここ数年間伸び続けていた米国が顕著。上期は前年同期比11%増と好調だったが、8月以降2ケタ減と急ブレーキがかかり、通期では前年比3.8%減とマイナスに転じた。12月も18%減とその傾向は続いている。EU(欧州連合)向けはいったん勢いが落ちたがその後反転し、通年では9%増と盛り返した。
上期苦戦したが、下期盛り返したのがベトナムなど東南アジア向け。コロナ禍からの回復や中国でのロックダウン(都市封鎖)により、ベトナムを中心に中国生産の受け皿になった模様だ。年間通じて堅調だったのは、西アジア向け。特にサウジアラビア向けは好調で10.4%の伸び。年間通じて厳しかったのが中国向け。ロックダウンの影響が大きく、通年では7.1%減だった。
主な品目で前年実績を上回ったのは、主軸の織・編物やアパレルなどに限られた。織・編物では特にポリエステルの織物や合繊短繊維織物が伸びた。原料(わた)や糸は上期は前年実績を上回っていたが下期落ち込み、前年水準には届かなかった。
コロナ禍前の19年の繊維品輸出額は77億4200万ドルで、19年比で7%以上落ち込んだまま。主要品目で19年比で伸びているのは、不織布やアパレルなど。仕向け地別では中国や東南アジアが落ち込んだままで、西アジアや欧州、北米、中米、南米、オセアニア向けが伸びている。19年と比べて特に伸びているのはアメリカやオーストラリア向けだ。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【繊研plus】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境