早くも来春の商戦が始まろうとしているランドセル市場。そのトレンドに、昨今変化が起きている。これまでは、男子ではブラック、女子ではレッドのランドセルが最も売れていたが、ランドセル工業会が2022年に行った「ランドセル購入に関する調査」では女子の人気カラー1位はパープルで、レッドはピンクに次いで3位に後退した。ランドセルのトレンドカラーについて、土屋鞄製造所 ランドセル事業推進本部 ランドセル事業企画部 小川裕一朗部長に話を聞いた。

　女子のランドセル市場においてパープルカラーは、ここ数年じわじわと勢いを伸ばしてきた。2020年にランドセル工業会が行った同調査ではレッドが1位、パープルは次いで2位だったが、2021年の調査ではほぼ同率までシェアを拡大。2022年の調査でレッドを引き離しトップに立った。土屋鞄製造所でもパープルのランドセルの売れ行きは好調だといい、同社の小川部長は「女子からは特にラベンダー系のパープルが支持されている」と話す。また、ランドセルメーカーのセイバンが2022年4月入学者向けに実施したランドセル人気カラーに関する調査でも、女子では「パープル系」（25％）が2位の「赤系」（22％）を押さえトップに。パープルカラーが、女子ランドセルの主流になっていることは間違いなさそうだ。

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　パープルカラー人気はいつ始まったのか。小川部長は「2013年に公開されたディズニー映画『アナと雪の女王』で紫色のドレスが注目された。そのあたりからパープルのランドセルの需要が高まったように感じる。パープルのランドセルが市民権を得てきたことで、雪だるま式に売上が伸びているのではないか」と話してくれた。

ブラックのランドセル

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　一方、男子のランドセルでは、2022年の同調査でブラックが58.4％と2位のネイビー（17.6％）に大きく差をつけており、土屋鞄製造所においても「引き続きブラック1強と言える状況」だという。とはいえ、ランドセル工業会が2020年に行った調査では70％だったブラックカラーのシェア率は年々縮小しており、代わりにネイビー、ブルー、グリーンが売り上げを伸ばしている。

　また、近年土屋鞄製造所では男子から「くすんだレッド」のランドセルが密かに人気を集めているという。小川部長は「レッドはヒーロー戦隊物のリーダーの印象があるので、その憧れから男子でも身につけやすいくすんだレッドが支持されているのでは」と分析している。

　パープルカラーの人気継続を含め、2024年以降のランドセルのトレンドは不透明な部分が多いというが、小川部長は今後もジェンダーレスの流れは継続すると見ている。「現在は男女問わず手に取りやすいブラウン系のカラーに可能性を感じている。感度の高い親御さん、お子さんに支持していただけるのではないか」と期待を寄せた。

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