多田社長
「労働時間を減らし、休日を増やしても業績は向上させられる」と語るのはルックホールディングス(HD)の多田和洋社長。実際、社長就任から残業時間はかなり減り、19年秋に東京・青山に本社移転してからは、1人当たり月間5時間以内。それでも、前身のレナウンルックから60周年の22年12月期の当期損益は過去最高益だったようで、株価も22年の始値に比べ年末の終値は倍になった。「優先順位の高い仕事からきっちりやれば生産性は上がる。意外にここができていないところが多いのでは」と話す。
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「やるべきことをきちんとこなせば結果はおのずとついてくる」が持論。コロナ禍では社内が動揺するも「大丈夫」と繰り返し、社員はついていった。18年度を最終年度とする経営計画を通じて収益基盤を確立していたため、合理化策は不要で、給与も下げずに安心させた。さすがにコロナ禍の初期は心配もあったが、売り上げがさほど下がらなかったこともあり慌てず、社員の気持ちがぐらつくようなことは言わなかったという。
「やるべきことをやる」というのは簡単だが、多くはできていないもの。「(優先順位が)低いものなどやらなくてもいいぐらい」。部長が課長の仕事をしたり、課長が現場の仕事に時間を費やしたりの類いで、「それでは生産性は上がらない」。
働く時間を減らしても業績を上げ、収入も自由な時間も増える――夢のような話だが、「僕はできると思う」。実際、残業は大きく減り、好業績もあって賞与も増えたようだ。長時間労働を好まない自身の経験からも、「長くいたって、いい仕事なんてできないでしょ」。本社の退館時刻も午後8時に早めた。
SDGs(持続可能な開発目標)をはじめとした社会との関わりや従業員の福利の向上など、「全てにおいて高みを目指したい」と話す。
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