【2022年ベストバイ】サカナクション 山口一郎が今年買って良かったモノ

Maison Margiela キャバンコート

山口：わりと最近手に入れたマルジェラなんですが、これは僕が今大好きな服。ちゃんちゃんこみたいでかわいくないですか？

F：ちゃんちゃんこ、確かに（笑）。コットンの風合いと、ふっくらほっこりとした感じがかわいいですね。

山口：家の中で着るような素材感と雰囲気なんですよね。アウターって雨に強いとか風を通さないとか、機能が求められると思うんですけどそういうの無視で、着心地は完全にちゃんちゃんこ。わりと重みがあって布団を着る感覚というか。雨の日に着たらどれだけ重くなるんだろう。

F：雨の日はやめましょう（笑）。よく見るとディテールが面白いですね。切り替えの高さが左右でズレていたり。腕の内側に、ポケット？ みたい穴が。

山口：これは......なんだろう（笑）。意味がわからないのも好きなのでグッときます。袖口がこういうゴムのデザインになっていたりして、昔マルタンが手掛けていた頃の考え方に似ているな、とかも思ったり。

F：ネックウォーマーも合いそうですね。そしてやっぱりサイズ感は少し大きめ。

山口：お店にあった中で一番大きいサイズにしました。萌え袖が好きだし、長めがいいなと思って。これはきっとずっと着られる。おじいちゃんになっても着れるだろうなと思って手に入れました。

F：どちらで出会いましたか？

山口：恵比寿の「メゾン マルジェラ トウキョウ」で、そこも療養中に行くことができた場所のひとつなんですよね。僕の地元の小樽の同級生が店長を務めていて、何も買わなくてもただ話しに行ったりとか。そういう意味で今年は特に、マルジェラとギャルソンが多めなのかもしれないです。

F：今年、自宅にあるものの断捨離をしたそうですが、服も減らしましたか？

山口：はい。クローゼットの中身を一度3分の1くらいに減らしたんですけど、大切に残していくものは、やはりギャルソンとマルジェラが多かったですね。入れ替わっていく服と、思い出として残っていく服があるって、少しレコードに近いのかなとも感じました。

F：では、かなり処分されたんですね。

山口：でも「これは誰々が着そうだな」と考えながら減らしていって、実際に知り合いに譲ったものが多いですね。家具と同じでバトンしていく感覚です。結果的に好きな服だけ残ったので、そこにまた新しいものを組み合わせて遊んだりしています。思い立って夜にひとりでファッションショーを始めてみたり（笑）。

F：楽しそうです（笑）。ちなみにインスタライブで話していましたが、片付けていたら延長コードが大量に発掘されたとか。あれは......。

山口：誰ももらってくれなくて断捨離できていません（笑）。でも本当に忙しかった時期は、違う意味でパニックバイというか持っているものを重ねて買い求めるとか、やっぱり結構あったんだなと思いましたね。やけにお好み焼き粉がいっぱいある、みたいな。

F ：そういうことありますね。大抵が気持ちの余裕がない時に。

山口：僕は服についてもそんな現象が起きていて、環境的にも生活的にも良くなかったのだと思います。まずは生活を見直すという意味で、所有しているものに対しての意識も変化したなと感じますね。

「Maison Margeila × Reebok」TZポンプ デッドストック

F：続いてマルジェラとリーボックのコラボスニーカー。いい感じに汚れています。

山口：タビの形のリーボックコラボは持っていたんですよ。でもこれは、汚れやエイジングをフェイクで作っているのがすごいですよね。

F：完全に履き古したような見た目です。ソールが経年変化で加水分解してしまった状態もデザインされていて。

山口：これはリーボックではなくてマルジェラ制作のスニーカーなんですよね。リーボックのデッドストックをマルジェラが再現したという。だからこのポンプならではのボタンの部分とか、本来は空気を入れるポンプの役割のはずなんですが、ただのプニュプニュ。

F：そこもフェイクなんですね。イエローのカラーは山口さんのワードローブでは珍しい気がしました。

山口：僕のラッキーカラーが黄色なんです。なので青と迷いつつ、こちらにしました。あとハイカットのスニーカーも普段あまり履かないんですが、これは考え方が面白いなと思って選びましたね。太いパンツとの相性も良くてドカッと履ける。だいたい裾で隠れますけど、ノーズの見え方も好みの感じでした。

F：さすがの作りで、なかなかの値段がしますよね。

山口：価格は全くかわいくないです（笑）。あとマルジェラの靴だと、このローファーもお気に入り。

F：すっかりスニーカーの印象でしたが、革靴も履くんですね。

山口：持っていなくて、セットアップに合う靴を探していたいんです。それでこれを見つけた時に「あ、これだなあ」と思って。ちょっとボテッとしていて最高にかわいいんですよ。このポニーレザーはフェイクなんですが、僕は少し懐かしい感じもして。

F：ソールは少しゴツくてちょうど良いバランス。確かに、先ほどのプリュスのセットアップに合いそうです。

山口：これもきっと、ずっと履ける靴。少しボロボロになっても愛着が湧くと思います。「今着たい」と「ずっと着られる」が、モノ選びの基準ですね。

MM6 Maison Margiela 白い缶

山口：僕はMM6をウィメンズ向けの頃から着ているんですが、メンズも展開するようになりましたよね。なのでどんな感じかなと思って見にいったら、服じゃなくてこれに惹かれちゃって。

F：サバ缶？ シーチキンの缶詰......？

山口：に、見えますよね。これ指輪なんです。中に指輪が3つ入っているんですよ。

F：え！！

山口：開けた時の写真がこれです。ギフトにいいなと思って2つ購入して、実際に1つスタッフにプレゼントしたら叫ぶくらい喜んでくれました（笑）。指輪って人に渡すには少し重いけど、これだったら重くないじゃないですか。

F：もらったら絶対に嬉しいギフトですね。よく見ると指輪が収納できるようになっているみたいで、すごいアイデア。

山口：ですよね。ギフトにも良さそうなユニークなものが好きで、自分がグッズを作る上でも参考になることが多いんです。あと、こちらはマルジェラですが、またひねったものを見つけて。

F：タビシューズ型のバッグなんてあるんですね！ もうひとつは、クレジットカード型のキーホルダー？  面白いです。

山口：バッグの方はジッパーもガマ口も、ちょこっとしか物が入らなくて（笑）。でもアクセサリーとして楽しめそうですよね。ショルダーがチェーンなので女の子がクラブに行く時とかに良さそうだなあ、とか思ったり。

F：こういうひねりの効いた珍しいものは、やっぱり恵比寿のマルジェラで？

山口：はい、僕が好きそうな変なものはだいたいとっておいてくれますね（笑）。あとは新宿伊勢丹とか、それから最近、初めて御殿場アウトレットに立ち寄ってみたのですが面白くて。おそらく売れ残ったものなのか、変なものがめちゃくちゃあるんですよ。掘り出し物の宝庫だなあと思って、楽しかったですね。