「ムシンサ」公式HPから
■韓国の若者ファッションをリードする「ムシンサ」
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韓国最大級のオンラインファッションプラットフォーム「ムシンサ(MUSINSA)」が、メタバースの活用に力を入れている。
ムシンサは2001年にオンラインコミュニティ「ムジンジャン シンバル サジン マヌンゴッ(無尽蔵に靴の写真が多いところ)」の頭文字をとって名付けられた。
2009年にオンラインサイトを開設、2017年には自社ブランド「ムシンサスタンダード」の発売を開始し、快進撃が始まった。2018年には東大門(トンデムン)に、中小規模ブランドを育成・発掘・支援するための共有オフィス「ムシンサスタジオ」をオープンし、デザイナーが本業に集中できる最適な環境を創設した。2019年には若者の街、ソウルの弘大に初の路面店「ムシンサテラス」がオープンした。
2020年10月には月間アクティブユーザー数が345万人に達し、韓国のファッションプラットフォーム企業のトップに躍り出た。20代の利用者が42%と最も多く、10代から30代の利用者が8割を超える。
ムシンサはドラマ『トキメキ☆成均館(ソンギュングァン)スキャンダル』や映画『ベテラン』などで人気の俳優ユ・アインをCMモデルに起用し、ファッションで「自分らしさ」を表現しようと呼びかけ、若者の圧倒的な支持を得るのに成功した。
次々に新たな分野を開拓し、若者の興味を惹きつけるメッセージを発信するムシンサの次のターゲットはメタバースだ。今年6月には俳優ユ・アインにそっくりのハンサムな青年「ムアイン」を新たな広告モデルとしてお披露目した。
ムアインは実は人間ではない。ムシンサ初の仮想人間モデルだ。ムシンサは、なぜ仮想人間の広告モデルを登場させたのか。
■仮想人間モデル「ムアイン」の狙い
「ムアインを通じて、今後ムシンサが作っていく新しいファッション世界観を披露する」。ムシンサ関係者はこう語る。
ムアインにはCMなどの広告以外にも、VR(仮想現実)空間で重要な役割を果たす。
10月に公開されたVRショッピング空間「ムシンサバース(ムシンサ+メタバース)」で仮想ショールームに顧客を案内し、一緒にVR空間でのショッピングを体験するのだ。
手順はこうだ。
顧客がメタ(旧フェイスブック)が開発したVR機器メタクエストを着用し、自身のアバターを作成すると、目の前に仮想人間「ムアイン」が登場する。手に持ったコントローラーを操作しムアインについて「ランウェィ」を歩く。ムアインのグラビアやムシンサのキャッチフレーズを見ながら歩んでいくと、仮想ショールームに向かう3つのドアが現れる。各ショールームはカジュアル、スポーツ、キッズに分類され、それぞれにファッションブランドの服が並ぶ。顧客はお気に入りの服を選んで試着し、ムアインと記念撮影をすることもできる。
ムアインは各ショールームのコンセプトに応じスポーツ専門館ではスポーツマンに、キッズ専門館では子供に変貌する。
仮想人間の特性を生かして「仮想と現実の境界を越え、年齢とライフスタイルにより変貌する」ムアインは、自分だけの好みとスタイルによって多様に変身するマルチペルソナ(多様なアイデンティティ)を体現する。ムシンサ側は顧客に「見たことのない新しいファッションコンテンツに出会える」と説明する。
■メタファッションの未来
仮想人間と共に拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、メタバース技術を利用し、新たなマーケティングを積極的に展開するムシンサだが、技術上の課題も多い。ムシンサバースで利用者が設定できる身体情報は身長と服のサイズだけだ。より詳しい身体サイズや肌の色などをアバターに適用したり、没入感を高めるための3Dグラフィックの高度化などにはなお時間が必要だ。素材の肌ざわりや着用感を伝えるのも現段階では難しい。
それでもファッション業界が、メタバースマーケティングに熱を上げるのは、より多くの消費者を惹きつけるためだ。MZ世代(20~30代)を中心とした若者層は、単なる製品購買にとどまらず、ブランドの哲学や、ユニークな経験を提供するウェブサイトを好む。韓国のウェブサイトで「#メタバース」が使用された回数は1年前に比べ100倍近く増えたという。非対面環境に慣れた人が増えた結果、仮想人間やVR、メタバースがトレンドに浮上したのだ。ムシンサではムシンサバースの前段階として、VRルームをサイトにオープンしたところ、1週間でページビューが270%増加したという。
現在は実用性より面白さの面が関心を集めるメタファッションだが、会社のアイデンティティを知らせブランド経験の拡大に活用するファッション企業は着実に増えている。
仮想人間モデル「ムアイン」が人気俳優「ユ・アイン」を超える日は来るのか。韓国のメタファッションの進化に注目だ。
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