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毎日ファッション大賞40周年のさまざまな問題点を考える

左からFUMIE TANAKA2022秋冬/KENZO 2022年秋冬コレクション

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毎日ファッション大賞40周年のさまざまな問題点を考える

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セブツー

 既報したように毎日ファッション大賞が40周年を迎え、その第40回目の受賞者が8月27日に発表になった。一般紙が日本のファッション文化に貢献した人物、団体などを40年もの長きにわたり顕彰してきたのはいくら称賛してもし過ぎることはないだろう。「ファッション」というのは、一部の大企業を除けば、儲からないものである。儲からなくともそれを生業(なりわい)にしている素晴らしい人々がいるということを感じさせてくれるのであれば、それは立派な賞だとは思う。

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 こうして第1回からの受賞者を俯瞰してみると、いろいろと不思議に思うことがある。まず、重複受賞が異様に多い。以下敬称を略す。

 数えてみたら三宅一生は、1984年(第2回)大賞、1989年大賞、1993年大賞、2000年ミレニアム記念賞となんと4度の受賞である。ミレニアム記念賞というのは何なのか。川久保玲は1983年大賞、1988年大賞、山本耀司は1986年大賞、1994年大賞、高田賢三は1985年大賞、2021年ファッション文化特別賞は妥当なところだろうか。古田泰子は2003年新人賞、2009年大賞、2018年大賞、阿部千登勢は2007年大賞、2015年大賞、世界的なリボンメーカー木馬の渡辺正一・渡辺敬子親娘は2001鯨岡阿美子賞、2005年大賞、島精機製作所創業者の島正博は2002年鯨岡阿美子賞、2017年特別賞、大出一博・SUNデザイングループは1983年企画賞、2007年鯨岡阿美子賞、帽子デザイナー平田暁夫は、1991年鯨岡阿美子賞、2011年大賞などが主な重複受賞者だ。
特に4回受賞の三宅一生が目をひく。

さらに「イッセイ ミヤケ」関連の出身者の受賞は:
菱沼良樹(1983年新人賞、1996年大賞)、津森千里(1985年新人賞、2002年大賞)、小野塚秋良(1990年大賞)、皆川魔鬼子(1990年鯨岡阿美子賞)、滝沢直己(1990年大賞)、津村耕佑(1994年新人賞)、藤田恭一(1999年新人賞)、廣川玉枝(2009年新人賞)、宮前義之(2014年大賞)、高橋悠介(2021年新人賞)などがいる。三宅一生及びその門下生の受賞が異様に多く、毎日ファッション大賞ジャックと言えるほどである。それだけ、三宅一生の影響力が強いということなのか。三宅一生が亡くなったのが、今年8月5日ということで、物故者に与えられる「特別賞」は間に合わなかったのかと思うぐらい。鯨岡阿美子賞があるなら、三宅一生賞があってもいいのではないかと思うぐらいだ。

 三宅一生と並ぶ「ジャパニーズ・ファッション」の世界への布教者(パイオニア)の森英恵が2004年特別賞だけというのはちょっと「片手落ち」ではないだろうか。それに、山本寛斎の名がいくら探してもないのだが、そんなものだろうか。

 まあ40年もやっていれば、こうしたちょっとおかしい現象も出てくるのは仕方ないだろう。賞の数が多過ぎるのか、審査員、推薦人が偏っているのか。いずれにしても、何度も受賞して「有難味」がなくなってしまっているような気がする。それと、潔く「該当者なし」の年がないというのはいかがなものか。これが重複受賞過多の最大原因か。

 それと前述したように、一部の大企業を除けばファッションは儲からないものである。そうした認識がきちんとあれば、こんなに儲かっているSPA企業やラグジュアリーブランドのコングロマリット大企業やそのブランドなどに賞を与えるなどということはないと思うが、いかがなものだろうか。

 それとこれはこの賞のあり方とは関係ないが、とくに新人賞受賞者がその後あまりマスコミに取り上げられなくなってしまっているケースが多いようだ。新人賞ばかりでなく、大賞受賞者にもその後パッとしないデザイナーがいる。細々と続けているのか、もうこの世界からは足を洗っているのか。それがファッションというものなのかもしれないが。2年ぐらいアイデアが湧き出て好調なコレクションを発表するという新進はいるもので、そこからじっくり腰を落ち着けて生き残っていくデザイナーというのは本当に少ないというのを実感する。安易に賞を与えるな、ということでは決してないが。

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