資生堂 代表取締役常務の鈴木ゆかり氏(右端)
Image by: 資生堂
資生堂が「資生堂 女性研究者サイエンスグラント(研究助成金)」の第15回受賞者10人を選出し、授賞式を行った。化粧品関連領域にとどまらない幅広い研究分野を募集対象に、今回は「人々が幸福を実感できるサステナブルな世界の実現を目指した研究活動支援」および、「将来指導的立場を目指す女性研究員の育成」を趣旨として選考。受賞者には各100万円を贈呈し、今後の受賞者の研究と、リーダーとしてのステップアップを支援する。
同社は企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」のもと、ダイバーシティ&インクルージョンを経営戦略の柱と位置付ける。女性研究者サイエンスグラントは2007年に設立し、第14回までで延べ139人の研究支援とキャリア形成に貢献してきた。しかし、設立当初に比べると女性研究者の数は増えてはいるものの、依然として限られていることに加え、近年は研究成果の社会への実装・還元が重視されることから、研究者にはより幅広い視野を持った活動も求められているという現状がある。こういった中で同グランドは、今後も研究助成金の支援だけでなく、研究者間や企業、社会とのネットワーク形成等、有用なコミュニケーションの場を提供していく。
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授賞式で挨拶に立った、資生堂 代表取締役常務の鈴木ゆかり氏は、「サイエンスグラントは重要なプログラムです。現在の日本の研究者における女性比率は17.5%と、OECD諸国の中でも最低レベル。国が募集する大型の研究予算に募集するのは約9割が男性となっており、女性研究者の革新的な研究への挑戦はまだ少ないのが現状です。受賞者のみなさんには、研究者としての期待はもちろんですが、リーダーとしてサイエンスの未来を導いてほしいと思っています。現在、ロールモデルがなく大変だと思いますが、みなさんがロールモデルになって道を切り開いてほしい。そしてアカデミアに多様性をもたらし、サイエンスのイノベーションをけん引していってほしい」と激励した。
また女性科学者へのコメントを前に、鈴木常務は日本の現状に対する資生堂の姿勢も示した。「世界経済フォーラムがこのほど発表した、2022年版の『ジェンダー・ギャップ指数2022』で日本は世界146カ国中で116位と、散々たる状況です。そういった中、われわれは社会において女性活躍に貢献していきます」と述べた。続けて「資生堂は今や、女性活躍推進において先進的な企業だと言われていますが、過去を振り返ると管理職はほとんど男性という時代もありました。2000年ごろから女性管理職比率の目標を定め、女性を対象としたリーダー研修などを積極的に行うことで、現在は女性管理職比率が37%になっています。今後、全てにおいて50%を目標としています」と語った。
この目標に向け、リーダー研修のほか、女性役員と女性社員によるメンタリングプログラムなどを実施。社会に向けては日本企業の役員に占める女性比率の向上を目指す「30% Club Japan」(会長は資生堂 代表取締役 社長兼CEOの魚谷雅彦氏)の参画や、地方自治体との協働による女性活躍支援活動の支援、さらには「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」において、少女たちへのSTEM教育推進を目指しユニセフの活動を支援するなどさまざまに活動する。今後、「当社がこれまで女性活躍推進の活動の中で得たさまざまな知見を活用し、他企業の活動の支援もしていきたいと思います」と述べ、社会全体での女性活躍の向上を目指す。
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