ADVERTISING
アダストリアの「ニコアンド」は、公式ウェブストア「ドットエスティ」内のコンテンツ「スタッフボード」での人気スタッフによる商品企画・販売プロジェクトをスタートした。今回のプロジェクトはニコアンドが15周年を迎えるのに合わせた新しい取り組みで、「今は誰から買うか、どこで買うかなど購買の背景が変化している。お客様に新しい体験を提供する」(木下信彰ニコアンド営業部チーフMD)としている。3月17日に先行予約を開始し、予約枠が売り切れになる商品もあるなど好評で、スタッフのモチベーションも上がっている。4月14日からはニコアンドの一部店舗とドットエスティなどのウェブで販売している。
(古川伸広)
■企画テーマは〝偏愛〟
スタッフボードはアダストリアの全国約4000人のショップスタッフがコーディネートやライフスタイルを投稿するコンテンツ。顧客や新規客へのアプローチとして盛んになっており、ファン作りや売り上げアップにつながっている。人気スタッフが投稿するスタイリングをそのまま購入するケースもあるなど、身近な存在で親近感が感じられるスタッフによる新たなオリジナル商品の提案で、客とのつながりをさらに深めていく。
客には「推しのスタッフ」が存在する。そんな購買動向の変化を捉えて、企画のテーマは〝偏愛〟に設定した。より身近に、さらに満足度を高めるため、普段のスタッフボードのこだわりをそれぞれが具現化している。第1弾は3人が各5型・15アイテムを企画。協業商品を多く展開するニコアンドは通常の予約販売の枠は全体の約10%が基本。だが今回は「予約が取れる商品は取っていく」ことにしている。予約開始から徐々に枠は広がり約50%が埋まるなど好調なスタートとなった。
商品を企画したのはニコアンドのイオンモール宮崎店のミサヨさん、イオンモール草津店のあんちょんさん、金沢フォーラス店のすなぎもさんの人気スタッフ3人。3人とも服作りの経験がなく、企画の話には「不安な気持ちがあったが、日頃のこだわったスタイリングに向けた商品が作れる。ワクワク、ドキドキした」と、モチベーションが上がったという。
ミサヨさんはママ向けに、体形の変化や1枚でもファッションを楽しみたいとのお得感に応えるアイテムを企画した。特に、欲張りなフォーウェーデニムジャケット(税込み1万3200円)は着脱可能な仕様で、ロングからショート丈、ベストなどにも変わるもので着こなしが楽しめる。ほかにもスリーウェープルオーバーやセルフカットデニムパンツなどを揃えた。
身長148センチのあんちょんさん。同じくらいの身長のファンが多く、「着こなしなどに悩みがあるお客様に届けたい」と、低身長向けにこだわった商品を企画した。スタイルアップして見えるショート丈や股上を浅い作りにして脚が長く見えるデニムパンツなど、サイズ感にこだった。特に配色のニットカーディガンは長めの袖丈のショート丈Mサイズ(6050円)とロング丈Lサイズを揃えたデザイン性で、予約枠は1日で完売と人気だった。
すなぎもさんは「ブランドイメージにとらわれずに、鮮度とカラーにこだった」。春らしいパステルカラーのVネックメッシュプルオーバー(5390円)や小花柄キャミソール、思い切ったフレアのデニムなどを企画した。「ファンに加えて、ニコアンドを知らない人も購買してもらえるように」という思いがある。まずは自分が着たいものだが、「それより多くのお客様に楽しんでもらえるものを形にした」という。
客と触れ合いやる気湧く
3月19、20日には東京のニコアンドトーキョー店で、今回の企画商品の来店接客も行った。「やっと会えました」や「スタイリング投稿見てます」「色違いで予約しました」など、客と盛り上がりコミュニケーションを深めた。普段は会えないファンに直接会えることは「楽しい時間で、ますますやる気になった」という。
勤務するショップ以外での期間限定イベントや新店の応援なども行っている。入社5年目のあんちょんさんは「接客が苦手だったが、スタッフボードをきっかけにお客様との交流が増え、今は楽しい」という。
ショップ勤務もこなしながらスタイリング投稿や商品企画、イベント参加など忙しい環境となっているが、「大変だけど経験も積めて、ショップの顧客以外のお客様とも触れ合えてうれしい」と口を揃える。
スタッフの力はすごい
横川その美ニコアンド営業部MDの話
服作りが初めてのスタッフでしたが、意見を重視することでスタートしました。企画会議はコロナ禍と地方スタッフということもあり、オンラインミーティングで行い、サンプルも満足できるものに仕上げるために修正の繰り返しなどのやり取りで時間がかかりました。企画提案ではシルエットや細部の仕様、着脱可能、サイズ感などこだわりの要望が多く、普段のニコアンドの商品とは雰囲気やテイストが違うものも。そのため、価格は2、3マークは上がっている商品もあります。
MDはブランドの価格帯やコストが頭に浮かんでしまいます。ですが「作りたいもの、ファンに届けたいもの」として、お互いの立場でぶつかりながらも一緒により良い商品を作り上げることができたと思っています。ファンのニーズや心をつかんだ商品は好評で、改めてスタッフの力はすごいと感じました。1年間、継続してスタッフによる新作を出していきます。今秋にはフォロワー数約2万5000人のニコアンド営業部ブランドプレスのヒナプロデュースも加わります。新しい視点の商品を今後もお客様に提供していきたいと思っています。
(繊研新聞本紙22年4月22日)
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【繊研plus】の過去記事
RELATED ARTICLE
関連記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境