ヨウジヤマモト社が展開するブランド「ブラックスキャンダル ヨウジヤマモト(BLACK Scandal Yohji Yamamoto)」が、東映映画「女囚さそり」シリーズのヴィジュアルをモチーフにしたカプセルコレクションを5月24日から販売して話題になっている。映画は1970年代の映画であり、今の若い世代は知っているのだろうか?いや、「さすが山本耀司!」ということになっているのだろうか。一体、山本耀司はこのカプセルコレクションについてどう語っているのか、いろいろ探してみたのだが見つからなかった。
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少なくとも山本耀司が、梶芽衣子なのか、梶芽衣子が女囚さそりを演じた東映映画のファンであることは間違いないだろう。その青春時代の思い出を、カプセルコレクションとはいえ、自分のコレクションのモチーフに使うのだから、流石に世界のヨウジヤマモトである。
そもそもこの「BLACK Scandal」というブランドは、「BLACK(ブラック)」に「Flavor(色をつける)」要素として、時にスキャンダラス、時には自嘲的な含蓄のある強い「メッセージ」や「アートモチーフ」のプリントを中心にしたコレクションだと同社では説明している。今までも笑えるようなジョークやヤクザの啖呵のような文句がプリントされて来た。ある意味では、耀司の茶目っ気が発揮された「楽屋落ち」みたいな、あるいは耀司のストレス発散のようなコレクションなのかもしれない。そういえば耀司はランウエイコレクションでも芸能人や業界人をモデルとして起用することがよくあった。そういう俗っぽいところが耀司にはあるのだ。
今回のコレクションを「俗っぽい」と言っても始まらない。耀司は「俗っぽくて何が悪い!ファッションなんてそもそも俗っぽいんだよ!」と言い返すに違いない。よく並べて論じられる「戦友」の川久保玲が最近ますますアートの世界に接近しているのとは対照的だ。しかし75歳の梶芽衣子をイメージヴィジュアルに使うのは、さすがにちょっとどうかと思っていたのだが、彼女のWikipediaを読んでいたら、映画監督のクエンティン・タランティーノが梶の熱狂的ファンと公言していて、自分の映画「キル・ビル」では、梶の主演した「修羅雪姫」にオマージュを捧げ、梶が歌った「修羅の花」と「怨み節」を映画の中で流している、とあった。昔の彼女は、山本耀司もタランティーノも虜にしてしまうような危険な魅力に溢れていた。今の若い世代にはその魅力が分かるだろうか。
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