紳士服大手のはるやまホールディングス(以下、はるやまHD)は5月26日、治山正史会長の姉の岩渕典子氏から取締役再任に反対する株主提案があったことを明らかにした。さらに24日に開催した取締役会でこの提案に反対すると発表した。株主総会は6月29日に開催される。
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はるやまHDを巡っては昨年、「ワンマン経営が過ぎて社員の実力が発揮できないため」という理由から、創業家(岩渕典子氏や父であるはるやま創業者の治山正次氏など)や一部の投資家などが、治山正史社長(当時)の取締役再任に反対する株主提案を行ったが、57.55%の再任賛成を得て可決された。2020年6月の株主総会でも、創業家から治山正史氏の取締役再任に反対票が投じられたが、51%対49%で辛くも再任可決となっていた。
岩渕典子氏は今回、はるやまHDに対して株主提案を行った理由について、「現在創業以来、最大の危機です。治山正史氏に経営させていては立ち直れませんし、同氏が社内にいては同氏の影響を受け改革が進みません。2022年3月期も前期同様の巨額赤字を計上しています。これに対し青山商事株式会社、株式会社AOKIホールディングスは、2022年3月期の赤字幅を前期より大きく縮小させています」と述べている。今回の株主提案として、野村耕市氏や村角彰則氏などはるやまHDの元幹部ら4名を取締役候補に推薦している。
はるやまHDの2022年3月期の通期連結決算は、366億8500万円(前年比4.0%減)、営業利益は27億8700万円の赤字(前年は36億8700万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益は78億9600万円の赤字(同48億8000万円の赤字)だった。はるやまHDは2008年3月期に過去最高の売上高591億円を計上したが、スーツ需要の落ち込みなどにより売上高はピーク時から40%減少している。2023年3月期の業績予想は2億円の最終黒字を見込んでいるが、治山家のお家騒動は落ち着く気配がない。6月29日に開催される株主総会でどのような決着となるか注目したい。
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