2009年、韓国で誕生したブランド『ジョセフアンドステイシー』(JOSEPH AND STACEY)。絶大な人気を誇るプリーツバッグは、日本でも知る人ぞ知る人気アイテムだったが、2022年5月より、本格的な日本進出が実現。ブランド・商品誕生の背景や日本進出、今後のコラボへの想いを、創業者のホ・ジスク氏に話を伺った。
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ホ・ジスクさん/株式会社March International 創業者
大学時代に、経営学とファッションについて学ぶ。韓国の大手Eコマースサイトの創設に立ち合い、バイヤーとして海外を周り、商品買い付けや企画などを担当。2009年に社内で「JOSEPH AND STACEY」のブランドを立ち上げる。2013年に独立し、株式会社March Internationalを設立。現在理事を務める。
アメリカ駐在時代の経験がブランド誕生のヒントに
―ブランド立ち上げまでの経緯を教えてください。
私は大学卒業後、韓国の大手企業に入社し、MDとして働いていました。その後、韓国のファッション業界におけるEコマースの先駆けとなる会社で仕事をし、アメリカに駐在員として派遣されたのです。アメリカで、バイヤーとしていろいろな商品を見るうちに、購入して売るよりも、自分で商品を作って売ってみたいと思うようになりました。それからはバイヤーよりも企画に携わることが多くなり、韓国に戻ってから、社内で服とバッグのブランドを立ち上げました。
―商品を作ってみたいと思うようになったきっかけは何だったのでしょう。
アメリカ駐在時代は、仕事でいろいろな国に行きました。なかでも印象的だったのがイギリス・ロンドンでした。当時、アメリカンカジュアルのファッションは韓国にも入ってきていましたが、韓国で人気があったのは、ハイブランド。ハイブランドだけに興味がある、ハイブランドを持つことがステイタス、そんな風潮だったんですね。
ところがロンドンでは、それぞれが好きなファッションを楽しんでいました。ハイブランドもありますが、ビンテージやモダンスタイル、文化、古さ、新しさなど、さまざまなものがミックスされた個性的なデザインがたくさんあることに圧倒されましたし、何より一人ひとりが「自分の好きなもの」を確立していることが素晴らしいと思ったんです。その背景には、ファッションに関する長い歴史があるんですね。若い子が、祖母や母から受け継いだバッグをさりげなく使っていたり。自由ななかにクラシックなスタイルも根付いていることに感銘を受けました。
―そしてジョセフアンドステイシーというブランドが誕生したのが、2009年なのですね。
当初は社内で立ち上げましたが、社内だとどうしても活動範囲が限られます。もっと自由に活動したいという想いが強くなり、2013年に独立しました。
今、ジョセフアンドステイシーといえば、ニットバッグ(ラッキープリーツ)をイメージされる方が多いのですが、最初に作ったのはレザーバッグなんです。原色カラーが印象的なバッグで、有名芸能人が使用していることで注目されるようになり、さまざまなプラットフォームから問い合わせがありました。バッグは、一度買うとひとつを長く使うことが多いですよね。でも、このレザーバッグはリピート購入者がとても多いことが特徴でした。また、「写真で見るよりも実物の方がステキ」という感想も多く寄せられました。もともと品質にはこだわって作った商品でしたから、それが消費者に伝わったことはとても嬉しかったですね。商品評価は、5点満点中4.5をいただいたんですよ。
時代の変化を読み、商品づくりに活かす
―その後、大ヒット商品『ラッキープリーツ』が誕生しました。
かつては大きくて重いバッグが流行していましたが、時代の変化によって、薄い・軽い・使いやすい・コンパクトなバッグが重宝がられるようになってきました。『ラッキープリーツ』は、お客様のニーズと動向の変化を素早くキャッチしたことから生まれた商品なのです。
開発にあたっては、質を徹底的に追及し、完成させるまでには、さまざまなファブリックで織り、何が一番適しているかを検討しました。デザインに関しては、私はもともとアートが好きなので、アート感覚もデザインにプラスしたいな、と。さらに、カラー展開にもこだわり、最初から20カラー以上のカラバリを揃えました。
実は当初、周囲からは「売れないのではないか」というマイナスな意見が多かったのですが、私はこの商品は「必ず売れる」という確信がありました。そして結果的に『ラッキープリーツ』は大ヒットし、数々のデザインアワードも受賞しました。
『ラッキープリーツ』は、韓国で爆発的に売れている商品というイメージを持たれることが多いのですが、実際は試行錯誤を繰り返しながら一段一段階段を昇るようにステップアップし、愛されるようになった商品です。だからこそカラーバリエーションも広がり(現在66色を展開)、人気も定着しました。
―『ラッキープリーツ』は、サスティナブルな商品としても知られていますね。
『ラッキープリーツ』ニットの生地は、生分解繊維を使用しており、土に埋めると88週で土に返還されます。また、レザー製品は、炭素エコファームで作られたレザーのみを使用しています。受注生産なのでムダがありませんし、余った生地も捨てずに材料として使用します。さらに梱包材は筒型を採用しているので、貯金箱などとしても使用可能。商品情報は、タグではなくQRコードから読み取ります。
私自身、数年前に出産したことで、子どもたちの未来についてより現実的に考えるようになったことが、徹底したサスティナブル対応につながっています。商品づくりだけでなく、社内でも紙コップを使用しないなど、会社全体でサスティナブルへの意識を高めています。
日本マーケット&コラボへの期待
―そしてついに、2022年日本進出となったわけですが、なぜ今が進出のタイミングだったのでしょう。
最初から日本でも展開したいという想いがありました。というのも、日本の素材開発力、職人精神の確立、個性的な消費者が多いことに大きな魅力を感じていたからです。けれども実績がないまま進出しても、なかなか注目はされないでしょう。
2009年のブランド発表から13年。韓国で大ヒットした商品というだけでなく、数々の国際的な賞もいただき、ブランドとして世界にも認められました。確かな結果・数字に裏打ちされた今こそが、日本進出の絶好のタイミングだと考え、2022年5月12日に日本公式サイトもオープンいたしました。
■『ジョセフアンドステイシー』(JOSEPH AND STACEY)公式サイト
―NESTBOWLは、さまざまなモノや人をつなぐコラボを応援しています。ジョセフアンドステイシーが、日本で実現させたいコラボなどはありますか。
韓国でもこれまでコラボ企画を行っており、異業種ではSamsung Galaxyや国立現代美術館、コスメブランド、お菓子メーカーともコラボをしました。こうしたコラボ実績を活かしつつ、日本でも積極的にコラボにチャレンジしていきたいですね。
まだ具体的に進んでいるわけではありませんが、今考えているのは日本のセレクトショップ、ミュージアムショップ、他ブランドとのコラボです。ファッションを問わず、日本を代表するもの、たとえばウイスキー、エアライン、アーティストなどとのコラボも期待しています。日本のブランドは、業界に関係なく質の高さや個性が確立されたものがたくさんあるので、コラボ先としてはとても魅力的なんです。日本限定商品なども展開できたらと考えています。
ジョセフアンドステイシーの商品は、非常に個性的なので、個性が強いもの、たとえばアーティストの草間彌生さんなどとコラボすると、とてもおもしろいものが生まれるかもしれません。
―NESTBOWLも、ぜひそうしたコラボを応援したいと思っています。最後に、日本市場に向けてのメッセージをお願いします。
私たちのブランド、ジョセフアンドステイシーは、日本の職人精神やファッション業界にもインスパイアされています。ジョセフアンドステイシーの日本進出にぜひ期待していただきたいですし、長い目で見守っていただけたら、と思っています。
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