「ルイ・ヴィトン」銀座並木通り店(PHOTO:SEVENTIE TWO)
今年に入りコロナ禍が一段落して一気にモノが動き始めたので当然のことながら物価は上がる。さらに2月24日にロシアがウクライナに侵攻して、ロシアへの経済制裁なども物価を押し上げた。5月4日、0.5%の利上げを決定というパウエルFRB議長の発言があった。これは日米の金利の格差を決定的にした。たとえば分かりやすいように10年国債の利回りを比較してみると、日本:0.249%、米国:2.888%で、10倍以上の開きがある。これでは日本からアメリカにマネーが移動するのは当然で、ドル高円安は急激に進んでいる。フランスの10年国債利回りも1.472%でありユーロ高円安も同様だ。当然日本では輸入品の価格が上がる輸入インフレが急激に起こっている。一般消費財ではなんといっても原油だろう。もちろん原油に限らず輸入大国の日本ではほとんどの一般消費財において急激なインフレが進行している。
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原油と並んで、強烈なインフレが進行しているのがラグジュアリーブランドだ。
たとえば、「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」の値上げを追っている「質かんてい局小牧店」によると、「2021年に4回の値上げを実施した『ルイ・ヴィトン』は2022年も早々に価格改定が2月16日に行われた。今回もいつも通りの急な価格改正。スタッフが手元の資料と照らし合わせると約10~25%の値上げ。2021年に行われた価格改定では1回の値上げ幅が約5%だったのに対して今回はかなり強気な値上げだ」と分析している。
「質かんてい局小牧店」は今回の値上げの代表例として「ルイ・ヴィトン」のハイエンドラインとして人気の高い「カプシーヌ」を例として上げている。価格は同ブランドのオンラインショップによっている。
「カプシーヌMINI(M59720)」は、価格改定前は92万4000円だったが、価格改定後は109万4500円へ実に18.5%アップ、金額にして一晩で17万円アップ。他の「カプシーヌ」もほぼ同等の値上げ。
「ルイ・ヴィトン」の中では比較的買いやすいラインである「ネヴァーフル」については、「ネヴァーフルPM(M41245)」が、19万5800円から20.8%値上げして、23万6500円へ、4万700円の値上げである。しかも、この値上げのあった2月16日は、前述した3つのインフレ要因以前のものなのである。
「ネヴァーフル」といえば、2007年に市場にお目見えした「ルイ・ヴィトン」の大衆普及版だった。確かその時は7万9800円という小売価格だったと思う。私が以前にいた出版社の給料ではとても「ルイ・ヴィトン」など持てそうもない女の子がこの「ネヴァーフル」を3人ほど持っていてびっくりしたことがあった。しかし、2007年から15年経って、すでに3倍に小売価格がハネ上がっているのには今回驚いた。買う人間がいるから値上げするのだろう。「ルイ・ヴィトン」は本国価格の1.4倍という大原則で各国の価格を決めるという基準が現在も変わっていないはずだから本国価格(ユーロベース)も上がっているのだろう。当然、近々にまた大幅な値上げが行われるだろう。この値上げがラグジュアリーブランドの好調を支えているのだ。値上げしても消費者を引き付けて離さないこのオーラはいつまで続くのだろうか。
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