団体購入した商品を志願者が各戸に運搬する
上海では新型コロナウイルス感染防止策により全市対象に長期のロックダウン(都市封鎖)が継続され、市民生活に大きな影響を与えている。わずかな時間の外出ができても、スーパーでの商品争奪は激しさを増している。そのような中、マンション単位での団体購入が自然発生し、単品購入を取りまとめる「上海団長」が注目されている。
ADVERTISING
団長とは「物資調達の組織者」になる。同じマンションや敷地(小区)に住む人々へ「商品を一緒に購入するか」とSNSで発信し、その要望をまとめて、サプライヤーに連絡する係となる。まとめるとオーダーは100以上になるため、敷地内の志願者とともにオーダーした住宅に配達する。
団長はある特定の有力者でないのが面白いところ。団購する品物が毎回異なるので、団長はその都度違っている。購入者は欲しければ各団購に入る必要があるため、今や上海住民はみんなウィーチャットに数十の団購に入っているという。今や団長たちは「食品の親」と呼ばれて、小区の住民に愛されている。
弊社の中国人スタッフもこの団体購入に参加しながら、区内の「小隊長」の役割を買って出ている。彼の住む敷地内住民は約4000人、70歳以上が4割以上を占めている。そこでの商品運搬を手伝っている。住民が力を合わせ、この封鎖危機を乗り切っている。コロナ禍明けにはこの役割はなくなるだろうが、愛された団長が小区でどのような役割を担っていくのかを考えると面白い。
4月12日から上海では封鎖解除される小区が一部出ているが、たとえ外出できても範囲は住んでいる区内に限定されている。また、1家庭で1日1人1回だけ出ることをできるような措置も取られているため、長時間の外出は難しく、生活用品、食品の購買への不安や悩みは尽きない。
この状況下で様々な騒動が起こっている。例えばEC大手の京東が4月8日、上海地区で野菜配送を12日から始めるとのニュースを発表したところ、多くの住民が商品を注文したのだが、待てども配送はされず、その後発送自体が延期された。一部には「コロナのため上海は配送しません」と回答されたとの情報も出回って、上海住民は「これから京東の商品は買わない」と今も不満を露わにしている。
(上海支局)
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【繊研plus】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境