SEVNTIE TWOでは、毎月ファッション&アパレル関連日本株83銘柄株価騰落率ランキング、3カ月に1度化粧品関連日本株74銘柄株価騰落率ランキングを発表しているが、これに加えて、今後欧米&韓国のファッション&アパレル関連の50銘柄を選びその騰落率のランキングを毎月発表する。第1回の今回は、その50銘柄の紹介を兼ねて、2021年1月4日初値から2021年12月30日終値までの1年間の騰落率ランキングを作成した。
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ちょっと説明が必要な企業については、今回のランキング順位に従ってここで説明しておく。
第2位のバス&ボディ・ワークスはボディケア業界の全米ナンバーワン企業。Lブランズ傘下の子会社。LブランズはかつてのSPAブランド「エクスプレス(EXPRESS)」で一世を風靡したリミテッドが進化した企業だ。さっさとアパレルに見切りをつけて、インナーウェア「ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria's Secret)」で大ブレークしたが、その最近の凋落は著しい。ワコールが手掛ける「ピーチ・ジョン(Peach John)」はその亜流とも言われている。現在Lブランズを支えるのは「ホーム・スパ」という最近の大トレンドを生み出す傘下の「バス&ボディ・ワークス(Bath & Body Works)」だ。Lブランズの創業者は天才経営者のレスリー・ウェクスナー(Leslie Wexner)だが、その辿った業態変容の道程を日本のファッション企業も見習ってほしいものだ。
9位のギルタン・アクティブウェアはモントリオールに本社をおいて自社ブランドや「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」の靴下のライセンスなども手掛ける。
10位のエシロールルックスオティカは、世界最大の眼鏡企業であるイタリアのルックスオティカと最近最大のレンズメーカーであるフランスのエシロール社が2018年10月に合併して誕生したマンモス企業だ。
第11位のロッキー・ブランズは米国の代表的靴メーカー。
第20位のコントール・ブランズは、2019年5月にVFコーポレーションからスピンオフした「ラングラー(Wrangler)」「リー(Lee)」「ロック&リパブリック(Rock&Republic)」などを擁する。
第33位のTJXは全米最大のオフプライスショップで「T.J.MAX」などのアパレル、「ホームグッズ」などのインテリア用品を販売している。
第36位のカーターズは、米国ナンバーワンの子供服・ベビー服企業。
第42位のエクセル・ブランズは、「リズ・クレイボーン・ニューヨーク(Liz Claiborne New York)」「アイザック・ミズラヒ(Isaac Mizrahi)」などのブランドの企画・デザイン・ライセンス供与する企業。
第44位のウルヴァリン・ワールド・ワイドは米国の靴メーカーで「ハッシュパピー(Hush Puppies)」「サッカニー(Saucony)」「スペリートップサイダー(Sperry Top-Sider)」「メレル(MERRELL)」などが主なブランドだ。
なお50社のうち49社のフィラ・ホールディングスは1911年にイタリア・ビエラでフィラ兄弟によって創業された企業だが2003年には商標権を韓国の販売子会社だったフィラコリアに逆買収されて、本部を韓国・ソウルに移転しているので現在は韓国企業である。それ以外の49社はアメリカ&カナダとヨーロッパに本社をおくファッション&ビューティ関連企業だ。
さて、以上の50社を対象にして、2021年年間(2021年1月4日〜2021年12月30日)の期間における騰落率ランキングをまとめた。
選ばれた50銘柄で昨2021年の株価上昇率トップは、なんと米国百貨店業界の代名詞とも言うべきメイシーズだった。「絶滅危惧種」と米国でも日本でも言われている百貨店という業態だが、このコロナ・パンデミックでダラス拠点のニーマン・マーカス及びその子会社のバーグドルフ・グッドマン、J.C.ペニーなどが経営破綻あるいはその寸前まで追いつめられた。しかし、さすがにメイシーズである。今年1月期決算では、売上高で2020年2月期とほぼ同じ252億9200万円ドル、営業利益で22億5900万ドル(前年−45億3500万ドル、前々年8億800万ドル)と2020年2月期のほぼ3倍を叩き出す驚異的回復を見せており、1年間で株価が2.3倍になったのも大いに肯ける。ちなみに昨年11月18日には37.95セントの高値をマークしている。いかにメイシーズが米国民から愛されている「国民的百貨店」であるかがわかる株価パフォーマンスである。
このメイシーズと対照的なのが、シアトルに本拠を構える百貨店のノードストロムだ。西海岸百貨店業界の雄として近年は大注目されていたが、今回のランキングでは下落率−26.7%で最下位だった。同じ百貨店でもこうも違うものなのか。ノードストロムの2020年1月期、2021年1月期、2022年1月期をそれぞれ比較してみると:
・売上高:155億2400万ドル→107億1500万ドル→147億9200万ドル
・営業利益:7億8400万ドル→−10億4700万ドル→4億9200万ドル
という推移になっており、営業利益ベースではまだコロナ・パンデミック前の60%程度の水準にとどまっている。
上昇率第2位は、銘柄の説明を上述したLブランズグループの「バス&ボディ・ワーク」だ。ボディケア業界ナンバーワンブランドでもあるが「ホーム・スパ」という新領域開拓に期待がかかり、株価は2.25倍になった。
上昇率第3位は米国・コロラドに本社をおくユニークな合成樹脂サンダル企業のクロックスだ。この企業には、コロナの影響はほとんどなかった。むしろ自宅周辺で過ごす時間が増えたことによって需要が高まっているのだ。2017年12月期からの通期の営業利益の推移をみてみると、1700万ドル(2017.12)→6200万ドル(2018.12)→1億2800万ドル(2019.12)→2億1400万ドル(2020.12)→6億8300万ドル(2021.12)と急成長を続けているのだ。株価が2.03倍になったのは、ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)を起用したキャンペーンが大成功したように全く新しいライフスタイルを創造するフットウェアであることが年々明らかになっていることに加えて、拡大中の中国販売などへのさらなる期待も作用しているようだ。ただし、昨年末にライバル企業のヘイデュードを25億ドル(約3250億円、1ドル130円換算)で買収したのが嫌気されて、その後株価は急落している。昨年末128ドル37セントだった株価は約72ドルまで下落している。「ヘイデュード(Hey Dude)」は10代を中心に人気のブランドだ。調査会社のパイパー・サンドラーによれば「ヘイデュード」は10代に人気のある靴ブランドで昨年秋に8位と、2年前の54位から急上昇しているという。しかし、投資家はその買収をキャッシュフローを減らすだけの失策と評価しているようだ。
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