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スーツはファッション?栗野宏文氏が考える「自由な背広」とは何か

スーツスタイルの栗野宏文氏

栗野宏文氏

Image by: FASHIONSNAP

スーツスタイルの栗野宏文氏

栗野宏文氏

Image by: FASHIONSNAP

スーツはファッション?栗野宏文氏が考える「自由な背広」とは何か

スーツスタイルの栗野宏文氏

栗野宏文氏

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 「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」「ニューバランス(New Balance)」が協業したポップアップストア「自由な背広」がオープンした。ワークスタイルのカジュアル化やリモートワークの浸透などでスーツやジャケットを着用する機会が減っている中、3社が共同でスーツスタイルを提案する。「このお店から新しいシルエットを打ち出すということは全くない」と話す仕掛け人の栗野宏文氏(ユナイテッドアローズ上級顧問)による「自由な背広」とは?

いつの間にかスーツはビジネスマンのユニフォームになった

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 ポップアップストアのきっかけについて栗野氏は「スーツは元々お洒落をしたいなというときに着るものでしたが、いつの間にかスーツがビジネスマンのユニフォームのようになりました。だからコロナによるリモートワークや世の中の景気の下振れによって暮らしが変わるとスーツを着るということにエネルギーを使わなくなり後退してしまう。そこで、一度ビジネスシーンから切り離して元々のピュアなスーツやジャケットの楽しみ方を見える化したいと考えました」と説明。着用頻度の減少など逆風が吹いているスーツを題材に、トラッドなスタイルを提案するユナイテッドアローズと、革新的な取り組みを行うコム デ ギャルソン、ニューバランスの3社が協業して「良いケミストリー」を起こすことが狙いだ。

「自由な背広」店舗の様子
「自由な背広」店舗の様子
「自由な背広」店舗の様子
「自由な背広」店舗の様子

 出店場所は2019年のリニューアル以降、栗野氏が度々足を運んでいるという渋谷パルコの1階を選択。2021年の9月に自身がプロジェクトディレクターを務める「FACE. A-J」(Fashion And Culture Exchange. Africa-Japan)のポップアップを渋谷パルコで開催した際に、「8階の映画館ではマルタン・マルジェラやデヴィッド・バーンの映画を上映していて、映画を見た人が館を回遊する。そういったところから、ただ服やトレンドを売っているわけではなく常にカルチャーを発信しているというのが改めて感じられました。この素敵な場所で、従来のものとは違うスーツのステージを提案してみたかったんです」と話す。

バブルの「日本の背広」から新たな「自由な背広」へ

「自由な背広」のロゴ

 ポップアップショップのタイトル「自由な背広」は、栗野氏が用意したいくつかの候補から川久保玲氏が選定。「自由な背広」は「コム デ ギャルソン・オム ドゥ(COMME des GARÇONS HOMME DEUX)」がスタートした1987年の広告のキャッチコピー「日本の背広」をアレンジしたもので、実際同店舗でコム デ ギャルソンは「コム デ ギャルソン・オム ドゥ」のアイテムをメインに展開している。栗野氏は「当時の世の中はバブルだったので、"日本の背広"というキャッチコピーは襟を正して、もう少し矜持を保ちなさいよというメッセージだったと思います。それから約35年が経ち、バブルのときのような浮ついたスタイルが減り、スーツをビジネスシーンに閉じ込め過ぎてしまった。矜持を保った部分を残しつつ、もっと自由に捉えて欲しいと考えこの企画を立案しました」と明かす。

「自由な背広」で販売しているジャケット
「自由な背広」で販売しているスニーカー
「自由な背広」で販売しているスニーカー
「自由な背広」で販売しているスニーカー
「自由な背広」で販売しているスニーカー
「自由な背広」で販売しているコーチジャケット
「自由な背広」で販売しているスニーカー
「自由な背広」で販売しているシャツ
「自由な背広」で販売しているセットアップ
「自由な背広」で販売しているセットアップ

 アイテムラインナップは、ユナイテッドアローズが「ユナイテッドアローズ&サンズ(UNITED ARROWS & SONS)」や「ソブリン(SOVEREIGN)」「テゲ ユナイテッドアローズ(TEGE UNITED ARROWS)」といったレーベルのセットアップなどベーシックなアイテムをセレクト。ニューバランスは、メイドインUSAのモデルを中心に、栗野氏や「ディストリクト ユナイテッドアローズ(District UNITED ARROWS)」の店員が普段から着用しているという900番台や1500番をはじめ、「東京デザインスタジオ ニューバランス(TOKYO DESIGN STUDIO New Balance)」の「TDS 574」などを展開している。

誰かが行動を起こさないとなかなかファッションは面白くならない

「自由な背広」で販売しているアート本とレコード
アート本を見る栗野氏

 そのほか、店内ではアート本やレコードも販売している。「スーツを自由に着るという行為から為人が感じられる」という考えから、「ポートレート」をキーワードに南ロンドンのジャズやブラジルのソウルといったレコードや、映画のワンシーンをイラストにした書籍、シャーマニストを撮影した写真集など自由なスーツスタイルを楽しむ人に触れてほしい作品群を並べた。また、店舗にあるドローイング作品は馬渕岳大氏が制作。今回のために描き下ろした新作などを店舗やファザードで展示している。

自由な背広で展示している馬渕岳大氏のドローイング作品

馬渕岳大氏のドローイング作品

 栗野氏は「自由な背広」について「スーツにネクタイじゃなくても良い。スニーカーを履くのも、コーチジャケットを中に着るのも良いでしょう。もちろん正解なんてありません」と説明。続けて「誰かが行動を起こさないとなかなかファッションは面白くならないんですよ。"モード後の世界"という本を出しましたが、要はモードやトレンドがファッションを動かしているわけではないんです。常々口にしていますが、形にしないと通じないので少しでもファッションとしてスーツを楽しむ人の背中を押すことができればと思い、ポップアップの出店に至りました」と締め括った。

自由な背広のマネキン

■「自由な背広」ポップアップストア
期間:2022年3月23日(水)~4月12日(火)
会場:渋谷パルコ 1階 POP UP SPACE「The window」
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1
電話番号:03-6416-5396

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