病院で求められる服の品揃えに特化した初の店舗
ユニクロが3月16日、東京都済生会中央病院1階にオープンした「ユニクロ済生会中央病院店」は、初の病院内店舗だ。売り場面積は42.9平方メートルと実店舗としては最小規模だが、「前あきインナー」や「エアリズム」の下着など、病院での生活に必要な衣料品に特化した品揃えで、患者や医療従事関係者のニーズに応える。出店のきっかけは、同病院からカスタマーセンターに寄せられた一本の電話だったという。
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済生会中央病院は港区のほか、品川区や大田区からの患者もやってくる。症状が重く、緊急性の高い三次救急に対応しており、着替えを用意する間もなく入院を強いられる患者も多い。そうした状況に対し、ある職員から「ユニクロの店が院内にあればいい」という投書が病院の運営側に寄せられた。20年1月のことだ。
この声を受け、同病院が連絡したのはユニクロのカスタマーセンターだった。店舗やECを利用する客から寄せられる質問や要望、苦情などを受ける部署だが、ユニクロはそうした声を商品やサービスの改善に生かす取り組みに力を入れており、病院内の出店についても客の声に沿って具体化することにした。
与えられた売り場面積は決して大きくなかったが、移動式の什器を使い、車いすが通れるよう、通路も広めに取った。けがや病気で体を自由に動かしにくい人でも着脱が容易な前あきインナーやエアリズムの肌着や下着、ルームウェア、靴下など入院患者向けと、医療従事者向けには「感動ジャケット」やシャツ、ポロシャツなどの商品を揃えた。
ジーンズやスカートなど日常に着るカジュアルウェアは扱わないが、ECの店舗受け取りサービスを使えば、朝10時の注文で夕方には欲しい商品を同店の店頭で受け取れるようにした。オープン後も利用客の声を集め、新商品やサービスの開発に生かすほか、店舗の品揃えやレイアウトも随時変更する。済生会中央病院側も、今回の出店を機に全国の済生会施設で社会貢献活動などの分野でユニクロとの協業を広げていく考えという。
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