NFTとは、非代替性トークン・“Non-Fungible Token”の略語のこと。代替不可能なデータは、資産のデジタル鑑定書や所有証明書としての役割を持ち、ここ数年人気が加速している。NFTは、ファッションやアパレル業界でも注目をされており、大きな変化をもたらしている。今回はNFTの基本概念やファッション業界やアパレルにおけるNFTについて、また活用事例を交えながら解説する。

そもそもNFTとは？

最近よく目にするNFTという言葉。NFTは革命的な最先端技術のこと。

今後、世界を大きく変えていく可能性を秘めたNFTについては、詳しく知る必要があるだろう。ここではNFTとはなにか、また注目される理由について説明する。

高い信頼性が求められる分散型台帳技術

非代替性トークン・“Non-Fungible Token”の略語でもあるNFT。非代替性とは、替えが効かないことを指し、トークンは、データや通貨、モノ、証明の意味を持つ。

ブロックチェーン上で発行し流通させることから、デジタル鑑定書や所有証明書としての役割を持ち革命的な最先端技術とされている。なお、ブロックチェーンとは高い信頼性が求められる分散型台帳技術のことだ。

NFTが注目される3つの理由 

では注目される理由を見ていこう。

①唯一無二の資産的価値を付与することができる
NFTを紐付けることで、所有権も明確に結びつけることが可能。識別情報も踏まえてデータや通貨、モノなどに資産価値を与える。

②デジタル資産の希少性を担保できる
唯一無二のアイデアともされているNFTは、希少性という観点でも注目。所有価値＝コレクション価値が高く、希少性を担保できる。

③投資商品としても注目
現在、高額取引がなされるNFTアートなどは話題性も高く、所有している満足感のほか、持っていれば値上がりするかもしれない期待感をプラスする。

ファッション業界やアパレルにおけるNFT

その話題性の高さから様々な分野でNFT化が進行中。ここ数年はファッションやアパレルの分野でもNFT化が顕著に現れている。ではNFTとファッションを組み合わせることでどのようなことが可能になるのだろうか。

デジタルファッション分野

デジタルファッション分野では、アイテムをNFT化するケースが多く見受けられる。デジタルファッションとは「メタバース（仮想空間）」のことだ。

NFT技術をファッションに導入することで、メタバース上のみ活用できるファッションアイテムを作り出す。アイテムはデジタルデータで構成され、コレクターの要素も秘めている。

NFTファッションの特性や活用するメリット

NFTとは相性が良いと言われているファッション・アパレル業界。業界がNFTに参入することで次のような特性やメリットがあるのだろうか。ここでは、NFTがもつ特性やメリットをそれぞれ詳しく紹介する。

NFTの技術で本物であることを証明

長年偽物やコピー商品に悩まされてきたファッション業界では、データの改ざんが難しいNFTは、業界にとっては魅力的な技術だろう。アイテムは、唯一無二の存在となり本物であることを証明してくれる。

二次流通が成り立つ特性

データ一つひとつに唯一性を持たせることができるため、デジタルな存在でありながら二次販売が成り立つ特性を持つ。そのため、リアルな転売時にはなかった新たな仕組みとなり得る。

NFTを推進することでサステナビリティ問題を軽減

環境負荷の高い産業とも言われているファッション・アパレル業界では、NFTを推進することで衣類の生産や廃棄が地球に与えている物理的な影響を軽減し、素材コストなどの物理的な制約を受けない。

ブランドの収入源も多様化できる

NFTファッションの大きな魅力は、ほかのNFT作品との組み合わせも容易なことだ。現物の洋服やバッグでは再現できないアイテムも販売でき、既存の枠組みに縛られすぎないアイテムの展開が可能。

NFTをファッションに活用した事例

NFTは取り入れる企業も多くなり、国内・国内外問わず注目されている。最近では、Louis Vuitton（ルイヴィトン）やGucci（グッチ）といったハイランドのNFT参入は高い注目を集め、今後参入するブランドも多いと予測される。ここでは各ブランドの事例を紹介する。

Louis Vuitton（ルイヴィトン）

創業者のルイ生誕200周年記念にNFTを発行したLouis Vuitton（ルイヴィトン）。　

発売したのは、NFTアートが30作品含まれている「LOUIS THE GAME」。6つのステージを冒険。ストーリー形式のゲームで、プレイしてNFT作品を集めることが可能だ。

NFTアート30作品のうち10作品は、デジタル・アーティストとして有名な「BEEPLE」によって制作され、過去にはBEEPLEが手がけたNFTアート作品は、75億円で落札された。

Gucci（グッチ）

米アート・トイメイカー 「SUPERPLASTIC（スーパープラスチック）」とのコラボで、NFTを発行したGucci（グッチ）。

その名もSUPERGUCCI（スーパーグッチ）と呼ばれ、第1弾は10点のNFT作品となっている。SUPERGUCCI（スーパーグッチ）は、Gucci（グッチ）初のNFTリリース作品。

NFT作品には、シグネチャーコードおよび実物のセラミックフィギュアも付属している。

AMBUSH（アンブッシュ）

ブランド初となるNFTアイテムをリリースした、 AMBUSH（アンブッシュ）。アイテムは、AMBUSH（アンブッシュ）原点アイテムともいえるPOW!ジュエリーをNFT化。

2022個限定でリリースされた「POW!® “Reboot”」は、持っている人だけが新たにNFTを入手できる特典や、限定アイテムなどが、優先的に購入できる特典などの付与付きとなっている。

GAP（ギャップ）

Common、Rare、Epic、One of a Kindの4種類のカテゴリーからなる、NFTをリリースしたGAP（ギャップ）。

GAP（ギャップ）らしいフーディをモチーフにしたデジタルアート作品を展開。採用されたキャラクターは、ニューヨークを拠点とするグラフィックアーティスト、ブランドン・サインの「Frank Ape」との限定コラボ。

こちらも特典つきで、CommonとRareのデジタルアートを購入すれば、実物を入手可能だ。

ファッションNFTの最新動向

NFTはファッションとの融合が成功すれば、急速な成長を遂げることも可能なため、今後の動向が気になるところ。ここではファッション・アパレル業界の最新動向を紹介する。

メタファッション専門メーカーの増加

デジタルウェアが、メタバースとNFTと出会い、一つの市場を形成しつつある。そのため、今後メタファッションの専門メーカーの増加が予想される。　現在代表的なメーカーと言われているのは、RTFKT、DressX（ドレスエックス）、The Dematerialised（デマテリアルライズド）、Aglet（アグリッツ）の4つ。

MZ世代には「SNSやメタバース」は現実世界と同じくらい重要な価値を持つため、NFTは欠かせない存在となるだろう。

有名ブランドが次々と参入

現在NFTの参入を表明しているブランドも多く、代表的なのはBalenciaga（バレンシアガ）やCartier（カルティエ）、Prada（プラダ）、Rimowa（リモワ）など。それ以外のブランドや新しくNFTを活用するブランドが増えると予測される。

ファッションウィークでのNFT導入

ここ最近の動向では、長い歴史を持つファッションウィークもデジタルフォーマットに移行中。

先日行われたパリ・ファッションウィークでは、オートクチュール・ファッション連盟がフランスのNFTプラットフォームArianee（アリアーヌ）と提携。NFTをギフティング、限定ファッションを閲覧するなどの特別な体験を提供した。

NFTファッションに特化したマーケットプレイスが誕生

メタバース・ファッション・ウィークを開催し、NFTファッションに特化したマーケットプレイスとなったUNXD。UNXDは、Dolce&Gabbana（ドルチェ＆ガッバーナ）が発表したNFTコレクションの発売場所でもあり高い注目を集めている。

また国内では楽天が参入し、NFTアイテムを購入・売買できるマーケットプレイスを開始。ビームスが展開するアート・ファッションなどのNFTコンテンツを発売予定だ。

ファッション業界でのNFTの勢いは止まらない　

ファッション業界でも大きなパラダイムシフトを起こしたNFT。今後はファッション・アパレル業界にもより一層広がっていきそうだ。いまからファッションNFTにはアンテナを貼っておくことで、NFT市場の盛り上がりとともにビジネスの発展が期待できるだろう。