2014年のデビュー以来、高い人気を誇るブランドがマディソンブルーだ。感度の高い女性たちの圧倒的な支持を得ており、現在はメンズも展開する。今回はマディソンブルーの企画を担当する鎌田雪香さんに、日々の仕事ぶりや、ほかでは経験できない職場の魅力を聞いた。
鎌田 雪香さん/株式会社マディソンブルー 企画
鹿児島県出身。これまでに販売員のほか、いくつかのアパレル企業でデザイナー、企画職を経験し、マディソンブルーに入社。現在は、社長・クリエイティブディレクターである中山まりこさんの相棒として活躍する。
―鎌田さんは根っからのファッション好きでアパレル業界の経験が長いそうですね。これまでの経歴をお聞かせ下さい。
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過去にセレクトショップの販売員を経験しました。その後、若い女性向けブランドのデザイナーを経て、大手アパレル2社で長く企画を担当したんです。マディソンブルーに入社したのは2018年。前職を退職したときは、しばらく仕事を休むつもりでしたが、転職をサポートするエージェントから強く勧められたのがマディソンブルーでした。
過去に入社試験を受けたとき、最終面談で重役クラスの方々から、威圧的な印象を受けることが何度もありました。それで気持ちが小さくなっていたときに、マディソンブルーを勧められたんです。
憧れの人物に会えるなら、と面接することに
―面談を受ける決め手はなんでしたか?
実は以前から、中山まりこさん(マディソンブルー社長・クリエイティブディレクター)を、とてもよく知っていました。学生時代にはまりこさんのインタビューやスナップ撮影で登場した雑誌の切り抜きをスクラップしていたし、著書を周囲にも勧めるほど、まりこさんに憧れていました。
仕事ではスキルアップをしたかったものの、マディソンブルーは自分が求めている以上にレベルが高い会社だと思っていました。まりこさんと一緒に働くなんて恐れ多い! でも、お会いしてお話ができるなら……と、恐る恐る、面談したんです(笑)。一回目の訪問では、まりこさんではなく、地主さん(※)と愛犬のハナちゃんが迎えてくれました。
※地主晋さん/フォトグラファーであり、中山まりこさんのご主人。マディソンブルー副社長を務める。
―面談でどんな話をしたかおぼえていますか?
そのときの話題は、自分たちが経験したファッションについて。会話がすごく楽しかったんです。そして、2回目の面談でまりこさんにお会いすることができました。
ところが、まりこさんとの面談では、わずかな会話しか交わしていないのに『はい、採用!』と、あっけなく入社が決まったんですよ。そこからの会話は飲み会のような気楽さで、ファッショントークが大いに盛り上がったのをおぼえています。そのとき、もう悔いはない、と思えました。
―現在、鎌田さんが担当しているお仕事について教えてください。
役割は企画生産です。まりこさんが作りたい製品を実際に形にしていく業務を行います。生地メーカーに素材のイメージを伝えて手配したり、工場に仕様を説明して、仕上がりをイメージに近づけたり。ほかにもデザインと相性の良いパタンナーをセッティングするなど、多くの関係者と連携をとりながら仕事をしています。そして、上がってきたサンプルをまりこさんがチェックし、OKが出れば、その後の生産まで見届けます。
マディソンブルーの仕事への姿勢
―大手アパレルでの仕事と現状の違いは、どんなことですか?
大手企業はコストダウンが第一です。マディソンブルーはそこを惜しまないんです。自分の好きな素材や仕様、好きなことをどこまでも追及している。そしてしっかりと価値を伝える。多くの仕事では、“好き”だけを追求できません。でも、それをできるのはスゴいこと。
大手企業の場合、なるべく大勢に対応できる平均点を狙います。まりこさんは、そこが違う。『これを着るといいよ』と提案して、着る人を引き上げてくれる向き合い方をしています。長年の様々な経験が根拠となっているので『自分がいいと思うからいい。きっとみんなも好きになる』との強い信念があります。
作り手の個性をしっかり提案・主張すれば、着る人は新たな価値を見出せるはずです。『似合う自分になりたい』『自分は作り手の精神に共感して、この一着を着る』。そんな風に洋服のよさだけではなくて、着こなしとの関わり方にも影響を与えることで、ほかのブランドとの差別化もできると思います。
マディソンブルーが重視するモノ作り
―どんな点に中山さんのこだわりを感じますか?
男性の場合、こだわるのは仕様や、素材などの情報です。まりこさんは、そんなディテールを重視することもあれば、女性を美しく見せる丈やシルエット、着心地を追求するときもあります。アイテムやそのときのムードで、重視するポイントが変わっていくバランス感が魅力です。
―なにか、具体的なディテールに表れていますか?
チェーンステッチの巻き縫いのシャツは洗うことで、ステッチにアタリ(こすれ)が出て、味わいが増します。定番のビッグピーコートは、当初、目の詰まったメルトンに裏地をつけた非常に重い仕上がりが持ち味でした。それが工場からの提案で、接結仕様(二重仕立ての生地をさいて縫い合わせる)にアップデートされ、いまは軽やかなアイテムへと進化しました。これらは、顕著に、ブランドらしさが見てとれる特徴です。
周囲との絆を今の仕事で教わった
―非常に多くの社内外の方とお付き合いされていますね。印象的な出来ごとがあればお聞かせください。
優れたアイテムを生み出せるのは、情熱豊かな職人や工場とのキャッチボールがあったからこそです。マディソンブルーでは、企画スタッフだけではなく、販売スタッフも工場へ出向いて見学を行います。そのほか、優れた技術を持つパタンナー、生産管理の専門職の方など、さまざまな分野の関係者から技術を学ぶ機会が随時設けられています。
周囲と連帯があってこそ、自分たちの製品が形になります。そんな経験はエキサイティングです。関わっている人たちが、自分だけでは会えない人ばかりで、一緒になる現場は緊張感があります。みなさん発想も経験も、普通の人とは違いますから、自分の知らない扉を開いてもらえるんです。
―かかわりが深い関係者にはどんな方がいらっしゃいますか?
刺激を受けた社外の人材は、若手から大御所まで多種多様です。「日本の藍色」を表現する職人集団”LITMUS”(リトマス)さんとは、藍染めの定番シャツを製作しました。藍染めだけで10色ものカラーバリエーションを揃えたんですよ。また、ネオン アーティストWAKUさんにはブランドのアイコンとなるネオンサインを作って頂きました。
ゴールが予想できる仕事と違い、最後までどうなるかがわからないのも、マディソンブルーの現場だからこそ。予測できない案件で、いかに高得点の仕事をするか? サバイバルしているなって思います。マディソンブルーは、自分で完成までの道筋を考えないと生き残れない会社です。だからこそ楽しく感じます。
かっこいい仕事だけを与えられる職場
―会社の特徴はどんな点ですか?
ひとつひとつの案件の規模も色も質も違います。大手アパレルでは、かっこいいと思えない仕事もこなさなくてはいけませんでした。が、いまはかっこいいことだけを追求する環境であり、それがやる気を起こさせます。ハードルを越えるたびに、自分を高めてくれる質の高い環境にいます。仕事のあとも特徴的です。以前を振り返っても、上司とこんなに朝まで飲むなんてことはなかったんです。ましてや、(社長の)家に上げてもらうなんてこともありませんでした(笑)。
わずかなやりとりだけで、入社して気がつけば3年。いまの鎌田さんの生き生きとした表情を見れば、仕事の充実ぶりは存分に伝わってくる。持ち前のセンスを見抜いた中山さんの目に狂いはなかったのだ。これからもマディソンブルーを盛り上げていく、彼女の活躍に大いに期待したい。
現場からのメッセージ
マディソンブルーで働くことに興味を持った方のために、鎌田さんにメッセージを寄せてもらった。応募してみたい方は、ぜひ参考にしてほしい。
「何に対しても好奇心旺盛で向上心が強い方に挑戦して欲しいです。その気持ちに対してはとても寄り添ってくれる会社です。そこから先、形にしていく機会もいっぱい与えられるのでぜひ挑戦してください!」
取材=T.Kawata
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