2022年3月期決算銘柄の第3四半期(2021年4月1日-2021年12月31日)決算が出揃いつつあるので、4社についてその状況を比較・分析してみた。
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ワールド(連結&国際基準)
売上高:1262億3000万円(前年比-5.0%)
営業利益:49億9400万円(前年-96億7000万円)
親会社所有者に帰属する四半期利益:49億9400万円(前年-78億2000万円)
5.0%の減収は仕方ないにしても、確実な復調が感じられる内容だ。しかし売上高営業利益率は4.0%である。ワールドは百貨店アパレルメーカーではなく、早くからSPA化を推進していたために営業利益率は高く、コロナの影響がなかった2019年3月期では5.9%だった。この5.9%が復調の目安になりそうだ。再上場を果たした中興の祖とも言える上山健二社長からバトンタッチした途端にコロナ禍になった鈴木信輝社長だが、なかなかのやり手のようである。
ワークマン(非連結・日本基準)
営業総収入:917億7800万円(前年比+10.4%)
営業利益:225億8500万円(前年比+12.1%)
四半期純利益:143億1300万円(前年比+7.3%)
同社は今期から「収益認識に関する会計基準」を適用しているために本来なら各項目について厳密な意味では前年比は計算できないが、参考までに前年の売上高を基準にした数字を算出してみた。相変わらず「ワークマンプラス」(「ワークマン」の中からカジュアルウェアとしても着用できるアイテムを集めたショップ)の好調がコロナ禍でも続いている。こうした企業はアウトドアライフスタイル関連企業(スノーピーク)やゴルフやランニング関連企業など数えるしかない。ちなみにワークマンの営業利益率は24.6%である。作業着にトレンドはないので商品の寿命が長いためにもともと営業利益率は高率であったが、それにしても凄まじい営業利益率である。現在は婦人服マーケットを狙った#ワークマン女子に注力しているがなかなか反応はよいようだ。同社も、2019年3月31日に8期連続増収増益決算を達成した栗山清治社長が取締役になり、小濱英之取締役が社長に昇格した。
ユナイテッドアローズ(連結・日本基準)
売上高:869億400万円(前年比-5.3%)
営業利益:18億3700万円(前年-34億7000万円)
親会社株主に帰属する四半期純利益:12億9600万円(前年-30億1400万円)
最近は「駅ナカ店舗を全て閉店」で話題になったユナイテッドアローズだが、今期の黒字化が2021年4月1日に就任した松崎善則新社長の「絶対使命」だったが、コロナ禍に加えて、稼ぎ頭の「クロムハーツ」の」販売が段階的に減少し2024年12月で完全終了になるなどのプレッシャーが加わっている。さらに1月からのオミクロン株による再度の感染拡大が小売りの復調気配にブレーキをかけている状況が続く中で、同社は通期の業績予想を下方修正している。
売上高:1248億円→1174億円
営業利益:30億円→12億円
親会社株主に帰属する当期利益:17億5000万円→2億円
前述した駅ナカ店の全店舗閉店に伴う損失もあり、今期全利益部門黒字化は、ちょっと予断を許さない状勢になっている。
AOKIホールディングス(連結・日本基準)
売上高:1027億1300万円(前年比+8.5%)
営業利益:-17億3400万円(前年-121億4100万円)
親会社株主に帰属する四半期純利益:-25億6300万円(前年-114億4100万円)
増収であるが、今期の黒字化はきわめて難しい状勢になっている。しかし、2月4日の第3四半期決算発表では、通期決算は2021年3月期決算発表時(2021年5月13日発表)のまま(売上高1565億円、営業利益50億円、経常利益41億円、親会社株主に帰属する当期純利益13億円)なのは解せない。第4四半期(2022年1月1日〜2022年3月31日)だけで、営業利益67億円をマークしなければならないのだ。これはオミクロン株が猛威振るう現状ではほぼ不可能。AOKIホールディングスの経営陣は株主をなめているとしか思えない。
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