PHOTO : SEVENTIE TWO
免税品大手のラオックスは12月24日、香港を拠点にする関連会社の蘇寧潤東国際投資管理に対する債権に関して、取立不能または取立遅延の恐れが生じたため、2021年12月期の第4四半期に特別損失として計上すると発表した。
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ラオックスは2019年12月に手元資金の有効活用を目的として、蘇寧潤東国際投資管理の事業投資資金について、同社の親会社である蘇寧潤東股権投資管理および蘇寧控股集団(Suning Holdings Group、以下「蘇寧グループ」)の保証を受けた上で、35億円の貸付を行っていた。その後、元本のうち10億円については回収を行っており、これまでの利払いの受け取りも行われていた。しかし、12月31日に期日を迎える貸付残高25億円に関して、蘇寧潤東国際投資管理から経営環境が厳しいことを理由に期日時点での元本返済(25億円)および利払い(3100万円)、ならびに現時点での合理的な返済計画の提示が出来ない旨の通知があり、債権に対する不確実性が高まったとしている。そのため、債権回収不能見込額の全額である25億3100万円を2021年12月期第4四半期の連結決算において特別損失として計上する。回収不能となった貸付残高25億円は、ラオックスの連結純資産275億7500万円(2020年12月期)の9.06%に当たる。
蘇寧潤東国際投資管理は、香港を所在地とする投資コンサルティング会社だ。ラオックス取締役の張康陽氏とその近親者が議決権の100%(間接保有を含む)を所有する中国大手小売の蘇寧グループが議決権の80%を間接保有している蘇寧潤東股権投資管理の子会社である。張康陽氏は蘇寧グループ創設者の張近東氏の長男にあたる。ラオックスは今後、債権回収に向けて連帯保証人からの回収や、担保権の実行による回収努力を継続していくとしている。
またラオックスは、グループが3期連続で営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在している。しかし、今回の債権は2021年12月期の連結会計年度以前に実行されたものであり、ラオックスグループは第3四半期連結会計期間末において現金および預金を109億6500万円保有しており、事業運営に当面に渡って必要となる運転資金を確保していると説明している。さらに本件の問題を解消するための対応策を実施していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しているという。
本件は、蘇寧グループの急速な業績悪化の影響による損失と見られが、ラオックスは今年8月に7店舗の閉店に伴い2021年12月期第2四半期に特別損失として7億2200万円を計上し、2021年12月通期の連結業績予想を営業損益は2億円の黒字から15億円の赤字へ、経常損益を1億円の黒字から13億円の赤字に下方修正したばかりだ。ラオックスは、国内リテール事業において訪日観光客をターゲットにしてきたが、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受けインバウンド需要が消滅している。今回、引当処理を実施した25億3100万円が、決算へどう影響するか注視したい。
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