サステイナブルインサレーション素材「エアーフレイク・ウィズ・レニュー」を提案
伊藤忠商事とクラボウは戦略的パートナーシップの下、協働でサステイナブル(持続可能な)素材を開発、提案する。合同で同素材の展示会を開催するなどして、合繊・天然繊維の双方においてサステイナブルな素材や取り組みを訴求する。
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(北川民夫)
進展する共同開発
クラボウの3次元構造ポリエステル中わた「エアーフレイク」は、原料を伊藤忠のケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」で生産したサステイナブルインサレーション素材「エアーフレイク・ウィズ・レニュー」を打ち出す。これは羽毛の最高級品とされるアイダーダックダウンの羽毛構造を分析・研究して開発したアニマルフリーの人工羽毛。良質なダウンに相当する730クラスの高いフィルパワーを生かし、空気を多く含む高い保温性を発揮する。優れた復元力も特徴で、30回洗濯を繰り返す検証でも「ほとんどボリュームが変化しない」耐久性を持つ。
21年秋冬向けのアパレル商材では、デザントジャパンの〝持続可能なモノづくりへの挑戦〟をテーマとするブランド「リ・デサント」のリサイクルを観点とする「バース」シリーズでエアーフレイク・ウィズ・レニューが採用された。丸井織物の生産による側生地も含めてレニューを使った「エシカルダウン掛け布団」をクラウドファンディングサイトの「マクアケ」で打ち出し、好調な売れ行きとなった。
生地開発でも両社の共同開発素材を訴求。レニューを芯に、リヨセル繊維を鞘(さや)にした芯鞘構造複合糸はクラボウの紡績技術を生かしたシャツ地として提案。上質でしなやかな風合いで差別化を図る。
「次世代」打ち出す
両社はそれぞれが展開するサステイナブル素材や取り組みの打ち出しを強める。伊藤忠はベトナム・サイテックスが生産するサステイナブルデニムの糸・生地・製品のブランド「サイテックスデニム」の提案に注力。サイテックスデニムはブルーサイン認証や、デニム工場として世界唯一のBコープ認証(社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際的な認証制度)を取得している。サイテックスのデニム工場は21年から新たに紡績、染色、織布の設備を立ち上げて、原料から製品まで一貫したサステイナブルなデニムの供給をスタートする。
また、伊藤忠は〝カミングネクト〟をテーマに、フィンランド・メッツァグループと取り組むリヨセル繊維「クウラ」、伊アクアフィルのリサイクルナイロン「エコニール」、米国ナチュラル・ファイバー・ウェルディングと業務提携した100%天然由来のレザー代替素材「ミラム」などを提案している。
クラボウは天然原料の風合いは損なわず、機能付与できる改質技術「ネイテック」のバリエーションを拡充。「ネイテック・ウォーム」(発熱)、「ネイテック・ブリーズ」(吸放湿)、「ネイテック・フレッシュ」(消臭)、「ネイテック・サラリ」(速乾)を揃えてユーザーのニーズに対応する機能性天然素材を打ち出す。また、同社は裁断くずを回収して、独自の開繊、反毛、紡績技術によって再び紡績糸を作り、生地化するアップサイクルの仕組み「ループラス」も訴求する。
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