「Z世代の食に関する消費行動」をテーマに、CCCマーケティングとの共同調査を実施しました。Z世代が食を中心に予定を立てている実態が見られ、彼らにとって食はコミュニケーション手段の一つであり、味よりも空間を重視していることが明らかとなりました。
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首都圏と地方でギャップ
今回の調査で私が特に印象的に感じたのは、Z世代の食トレンドの認知状況です。SNSでは日々様々な食のトレンドが生まれており、普段シブヤ109ラボで接しているZ世代から聞くことも多いです。しかし、首都圏在住のトレンドに敏感なZ世代だけでなく、今回の調査対象である全国のZ世代に視野を広げると、「食トレンド」に対する認知にややギャップがあると感じました。
「トレンド」は大きく二つの段階に分かれます。一つは一部のトレンドセッターの間で楽しまれており、まだ多くの人に知られていない、いわゆる「ネクストブレイク」の予感がするもの。もう一つはトレンドセッターの手を離れ、「ピークアウト」したことで広く一般的な層に受け入れられ楽しまれるタイミングにあるものです。
今回の調査結果の中で「リアルトレンドゾーン」に位置づけられた食トレンドは、ピークアウトして多くのZ世代が認知している食であることが分かりました。
1年かけて全国区へ
しかし「密に流行ゾーン」に位置づけられた「ヌン活」や「台湾チキン」といったトレンド食も、私たちが日々接している首都圏在住のZ世代にとっては「密かに」という認識はなく、むしろ「リアルトレンド」として認識されています。情報源がSNSとなったことで、首都圏と首都圏以外に住む若者のトレンド認知のギャップが縮まっている感覚がありつつも、一つのトレンドが全国区で共通認識となっていくには、約半年から1年ほどかかるという仮説を持つことができます。トレンドを実際に体験できる場所の有無も少なからず影響しているのだと考えられます。
実際に、今年大流行した「マリトッツォ」は、シブヤ109ラボで今年の1月ごろにZ世代の間で話題になっていたことを確認していますが、半年後くらいからメディアでも紹介されはじめ、取り扱う店舗が増加しました。1年かけてトレンドがピークアウトし、全世代・全国に広がったのです。(あと半年くらいは市場に残りそうですね)
食に限らず、トレンドがピークアウトする前に把握をしておくことはもちろんですが、トレンドを自社のアウトプットに織り込むタイミングについて、Z世代とどのようなコミュニケーションを築いていくべきなのか、ブランドの方向性に応じて適切に判断することも必要です。
●長田麻衣(おさだ・まい)
シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものはうどん、カラオケ、ドライブ。今年の目標はシブヤ109ラボを日本一の若者マーケティング機関として認知してもらうこと!
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