ピクシブが提供するサンプルモデル
Image by: ピクシブ
VRoidアバターとは、ピクシブが開発した3Dキャラクター制作ソフトウェア「VRoid Studio」で作られたオリジナルキャラクターを指す。3Dアバターを使った作品作りをはじめ、ソーシャルVRサービスやゲーム、アバター自撮り「バーチャルフォト」、VR・AR空間でのコミュニケーションツールなど様々な用途に用いられる。アバター用のファッションアイテムは、ピクシブが運営する創作物の総合マーケット「BOOTH」や、3Dアイテム販売サイト「Vケットストア」などに出品されている。
ADVERTISING
バーチャル上でファッションを楽しむ人々は、アバターの服を自作または購入し、好みやシーンに応じて着せ替える。お気に入りのコーディネートで撮影したアバターフォトをSNSに投稿するほか、バーチャルファッションの展示会や即売会、ファッションショーといったイベントへの参加、ファッションコミュニティに集う人々との交流など楽しみ方は多岐にわたる。
「SPINNS BOOTH店」で販売しているアイテム
Image by: スピンズ
こうした仮想空間での動向を受けて、現実世界のアパレル企業もバーチャルファッションのアイテム開発に続々と乗り出している。「スピンズ(SPINNS)」は2020年12月に「SPINNS BOOTH店」としてアバターウェアを発売するショップをBOOTH上に開設。スピンズの新作アイテムの発売にあわせて、パーカやTシャツなど同じデザインのアバターウェアを毎月5~10アイテムのペースで販売している。同社の広報担当者はアバターウェアの魅力を「バーチャルファッションの面白いところは『自由な表現』ができる点。リアルでは着ることのできないテイストのアイテムやスタイリングもバーチャルファッションでは自由に楽しむことができる」と話す。特にユニセックスで着用できるデザインのアイテムの売れ行きが良く、今後はより凝ったデザインのアイテムのリリースを目指すという。
このほか、様々な展示や体験、アイテムの売買ができる世界最大規模のVRイベント「バーチャルマーケット」では近年、ファッション系企業も複数出店。これまでに伊勢丹新宿本店や「ビームス(BEAMS)」などの企業も出店経験がある。2019年と2020年にバーチャルマーケットに出店した「ウィゴー(WEGO)」の担当者は「世代性別問わず、世界中の方に来店して頂き、スタッフのリモート接客という雇用形態はもちろん、コミュニケーションの成り立ち方などを経験する良い機会となった。これからの時代の新しいマーケットへの理解が深まり、今後に向けた繋がりが構築できる取り組みとなった」と話し、手応えを感じられる結果だったという。
ピクシブが運営する「BOOTH」内では、アバターファッションに関連する商品は2018年後半から出品が本格的に始まり、現在はアバターファッションを楽しむためのウェアや靴、アクセサリーなど個人のクリエイター・企業がアイテムを出品している。運営企業のピクシブによると、商品の出品数・注文数ともに大きく増加傾向にあるという。2021年8月時点の実績は前年同月比約2倍。2019年の同月と比較すると出品数は約3倍、注文数は約6倍に伸長している。年間取扱高も数億円単位で推移し、大規模な市場が形成されつつあるという。
アバターファッションの主な購買層は10代を中心とした若年層。ピクシブのプロジェクト担当者は、若年層を中心に支持を集める理由について「デジタルネイティブなZ世代は、新しいテクノロジーに関心が高い。SNSネイティブでもあり、オンラインでのコミュニケーションに抵抗がなく、バーチャルやネット上の繋がりをリアルと同じくらい大切にしている印象。そういった傾向から、ソーシャルVRサービスを利用する層に若年層が多く、アバターウェアの購買にも繋がっているとのではないか」と分析。また、直近の注文数の伸長にはコロナ禍で在宅時間が増えたことも起因している。「バーチャル空間で過ごす時間が増加したのも大きな理由のひとつ。弊社の見立てでは、現実世界で遊びに行く際に何を着るか迷うのと同様に、その場に合う服装、季節感のある服装、お洒落をして良い写真を撮りたいといった欲求が反映されているのでは」(ピクシブ担当者)。バーチャル上で現在人気のファッションは「ジェンダーレス/ユニセックス」「サイバー」「ミリタリーテイスト」「地雷系/量産型コーデ」といった系統で、ファッショントレンドはバーチャルと現実世界で比較的リンクしている傾向があるという。
ピクシブが提供するサンプルモデル
Image by: ピクシブ
ピクシブでは、VRoid Studioで作成したアバター用のファッションをクリエイターやブランドとともに提案するプロジェクト「VRoid WEAR」を2019年に始動。アパレル企業との協業をはじめ、これまでにアバターウェアを手掛けるブランドやクリエイターへのインタビュー、VRoidストリートスナップなどを紹介しアバターファッションの可能性を拡げる取り組みを行っている。今後の展開として同社の担当者は「新たな時代の文化を生み出すパートナーとなるクリエイター、ブランド、企業とのコラボレーションには今後も取り組んでいく。様々なコラボを通じて、ユーザーの皆様と共に3Dキャラクターによる新たな創作文化を大事に育てていきたい」とコメントした。
■SPINNS BOOTH店:特設ページ
ピクシブが提供するサンプルモデル
Image by: ピクシブ
ADVERTISING
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境