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投資銀行からファッションの世界へ、桑原真明によるライフスタイルブランド「Foo Tokyo」とは?

株式会社Next Branders CEO兼Foo Tokyoデザイナー 桑原真明
株式会社Next Branders CEO兼Foo Tokyoデザイナー 桑原真明

投資銀行からファッションの世界へ、桑原真明によるライフスタイルブランド「Foo Tokyo」とは?

株式会社Next Branders CEO兼Foo Tokyoデザイナー 桑原真明
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IT活用やEC化が進み、さまざまな業種からファッション業界へと転身する人が増えた昨今、やや閉鎖的だった業界は少しずつオープンへと変わり、異業種からの参入は今ファッション業界においてかなりポジティブな動きになっている——今回インタビューした株式会社Next Brandersの桑原 真明代表もまさに異色の経歴を持つ一人。日本発のグローバルブランドとして高級パジャマやタオルなどを展開する『Foo Tokyo(フー トーキョー)』を立ち上げた桑原氏に、ブランド立ち上げの経緯や今後のヴィジョンについて話を伺った。

桑原 真明さん
株式会社Next Branders CEO 兼 『Foo Tokyo』デザイナー
1989年生まれ岐阜県出身、工業用ミシンがある実家で育つ。同志社大学英文学科、及び東京大学大学院新領域創成科学研究化卒。新卒で入社したメリルリンチ日本証券ではM&AやIPOなどのアドバイザリー業務に従事。退社後、株式会社Next Brandersを設立。2018年にライフスタイルブランド『Foo Tokyo』をスタート。

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―投資銀行からファッションの世界へ。ファッションへの関心はいつからあったのでしょうか?

大学在学中に京都のSPINNSという古着屋でアルバイトをしていて、その頃からファッション業界に面白さを感じていました。その後、東京大学大学院で計量経済学や国際協力学を学んだ後、外資系投資銀行でM&AやIPOのアドバイザリー業務に携わり、3年半ほど働きました。「ブランドをつくりたい」という気持ちを持ち続け、退社後にファッションスクールに通いながら『Foo Tokyo』を立ち上げました。

Foo Tokyo デザインラフ

デザインラフ

Foo Tokyo キーヴィジュアル

キーヴィジュアル

―なぜブランドをつくろうと思ったのでしょうか。

投資銀行時代とても忙しかったのですが、当時その忙しい人たちが何にお金をかけていたかというと、高級マットレスや高級枕などの“休息”に関わるものでした。「じゃあ高級パジャマがあってもいいのに」と思ったのですが、高級パジャマで第一想起させるブランドが見当たらなかったのがブランド立ち上げのきっかけになりました。最初から店舗で売れないことは分かっていたのでECで販売すること、かつ季節感やシーズン性のないもの=ルームウェアというカテゴリを突き詰めることが面白いのではと思い、やるからには世界で勝負できる日本発グローバルブランドをつくろうとスタートしました。もともとファッションが好きだったのもありますが、大学でストリートダンスをやっていて、その頃からアートやクリエイションにもっとお金が流れていくようにしたいと漠然と考えていたんです。それで一番苦手だったお金や数字を勉強してみようと大学院や投資銀行へ進み、その分野の知識はある程度掴むことができたので、今度は自分でお金を引っ張って事業をやってみようと考えるようになりました。

―ご自身のキャリアも常にロジカルに考えられてきたのですね。異業種からのチャレンジは難しい点も多かったと思います。

ブランドをつくろうと思ったときの最初の壁が、今までアパレルの世界で生きてきていないので何もわからず、素材が買えない、人脈もないということでした。ただ、ほかの業界にいたからこそできることがあるのではと、生地屋さんや縫製工場に一つひとつ声をかけていってゼロから生産背景をつくりました。今ブランドを立ち上げて3年になりますが、最初から順風満帆ではなく、色々な方の支えがあってここまできました。僕はファッションスクールに通いながらブランドを立ち上げたのですが、そこで仲間ができたり、流通について学べたのも大きかったですね。

株式会社Next Branders CEO兼Foo Tokyoデザイナー 桑原真明

―Next Brandersの会社の組織体制について教えてください。

大きくクリエイションのチームとオペレーションのチームに分かれています。私のほかに、もう一人外資系投資銀行の投資銀行部門出身者がCOOでいるのですが、ほかにもさまざまなバックグラウンドの人が集まっています。『Foo Tokyo』のディレクター木村の経歴もとてもユニークなんですよ。

―外資系投資銀行出身者が2トップのアパレルとはすごい。木村さんが入社された経緯は?

木村さん:15歳で芸能界デビューをし、その後女優やアーティスト活動をしていました。幼い頃からファッションが好きでいつか自分のブランドを持ちたいと思っていて、アパレルの販売員を6年間努めてから企画としてブランドのディレクションやデザインを学びました。自身のコンプレックスから生まれたアイデアでランジェリーブランドを立ち上げるために、セレクトランジェリーショップでフィッティングを学んだ後、もっとものづくりの幅を広げたいと考えているときに桑原さんと出会いました。正直それまで『Foo Tokyo』のことは知らなかったのですが、ランジェリー同様で人の肌に一番近くに触れるアイテムでもあるルームウェアはいつか作ってみたいと思っていたので、ぜひ一緒にやりたいと参画し2年が経ちます。今は主にブランドのデザイン企画を担当しています。

Foo Tokyo ディレクター 木村

ディレクターの木村さん

―素敵なめぐり合わせですね。ブランドづくりで大切にしていることを教えてください。

木村さん:手にとっていただく、着ていただくお客様のことを常に一番に考えています。ルームウェアも下着と同じで肌に密接する=着用する方のマインドに直結するアイテムだからこそ、自己投資するときに『Foo Tokyo』を選んでもらえたらうれしいです。着る方の心地よさを一番に考えているので、生地やパターンが心地よくない場合はすべて一からつくりなおします。量産ではできない、一つひとつに時間がかけられる商品だからこその高い品質を大切にしています。

桑原さん:ブランドづくりにおいては、いい意味での違和感も大切にしています。D2Cブランドが増えてきている今、お客様の声を反映することはもちろん大切ですが、ブランドはそれだけではなく、お客様も気がついていないことを提案する力も大事だと思っています。ブランドとしてお客様が出会ったことのない、感じたことのない価値観を常に提案していきたいです。

―クオリティをキープすることも大変なのでは?

桑原さん:生産背景で関わっている生地屋さんや縫製工場は高級メゾンと同じクオリティのものを扱っていて、日本ではこのクオリティでルームウェアをつくっているブランドは少ないです。今の価格帯でついてきてくださっているお客様も多くいるので、それを世界へと広げていけたらいいですね。将来的にはさらにブランドの価値を高めていき、エルメスやブルネロ・クチネリのように職人さんを大切にするブランドにしていきたいです。

木村さん:関わっている工場の方々も、すごく『Foo Tokyo』を愛してくださっているんですよね。チームになってやってくれているからこそ、ブランドが愛されていくのだと思います。日本の技術の価値を職人さんたちと一緒に、世界へと発信していけたら素敵なことだと思います。

―拡大に向けたヴィジョンとは?

世界に打って出る、それを実現できるケイパビリティを持っているチームなので、さらにブランドとして拡大していくヴィジョンがあります。これから中国の有名ラグジュアリー百貨店での取り扱いもはじまるのですが、グローバル交渉が得意なメンバーも多いので、ブランドの世界観が保てるのであればどの販売チャネルでも挑戦していきたいです。また、経営レイヤーの話になりますが、私や木村を含め、別の業界から参入したからこそ、アパレル業界での常識を疑い、普通ではないことをしていきたいと考えています。例えば、データサイエンスの知識やアルゴリズムなどを駆使して分析をするチームが社内にあり、データによる裏づけを持ちながらブランドを育てていくことも我々の強みです。CRMにおいても、どんなゴールデンルートがあるとお客様がより良いブランド体験ができるのかなど、アパレル業界には数式化できることがたくさんあります。クリエイションに重点は起きつつも、こういったデータを使った分析もクリエイションも一つのデザインだと思うので、それを『Foo Tokyo』の価値としてお客様に提供できたらと考えています。

Foo Tokyo ななつ星in九州ブランケットデザイン

『ななつ星in九州』ブランケットデザイン

―コラボレーションの実績も多いですよね。印象的だったコラボレーションは?

これまで、ジョンマスターオーガニックや“sghr”スガハラガラス、デザイナーでいうとmotonari onoさんとのコラボレーションなどを展開してきましたが、コラボレーションすることでブランドの可能性を広げることにつながっています。以前、九州の豪華寝台列車、クルーズトレイン『ななつ星in九州』とのコラボレーションで客室用のブランケットを監修・制作したのですが、非常に豪華かつ歴史もある列車なので、かなりの時間をかけななつ星のことを頭に叩き込んだ上で取り組みました。コラボレーションをすると双方の情熱が商品に注がれるため、ものづくりの熱量も直接お客様に伝わります。クリエイション×クリエイションのものづくりの共鳴しあいで、ブランドに新しい命が宿るのは非常にエキサイティングなことなので今後も続けていきたいです。

Foo Tokyo 2020AWホリデーコレクション

2020 AW ブランドコラボ ホリデーコレクション

―売上規模も増え、ますます組織も拡大していくのでは。どんな人材がマッチすると考えますか?

新しい取り組みに伴い必要な職種が増えるため、人材採用はまさに広げているフェーズです。我々がまだ持っていない職域がクリエイティブディレクターで、服づくり以外のグラフィックデザインやパッケージデザイン、VMDに至るまで、トータルで見られる人材に加わってほしいと思っています。さまざまな業種からのメンバーがいて、右脳だけではなく左脳も使いビジネス視点でものごとを見ていく会社ですから、クリエイティブディレクションには自信があるけどビジネスはこれから学びたいという方にもぜひご応募いただきたいです。また、販売員経験等をお持ちで、CRMやお客様対応なども興味がある方、またSNSの運用等に興味がある方がいれば是非声をかけてほしいです。もちろんプロフェッショナルな方にも来てほしいですが、学生インターンの方にもぜひ来ていただいて、そこからまた良いシナジーを生んでいければうれしいです。

―Next Brandersの会社のカルチャーは?

僕自身がそうだからかもしれませんが、何かのアウトプットを出すときに必ず、なんとなくではなくそこへの裏づけをきちんと出すことでしょうか。批評は誰にでもできると思っていて、批評するのではなく間違えてもいいので何らかの答えをもって挑めるかどうか。意見を出すことから逃げずに、ものづくりと向き合えるかどうかを大切にしています。

―最後に、会社としてどんなことにチャレンジしたいですか。

『Foo Tokyo』を日本発のグローバルブランドにしていきたいと思っています。例えば、日本の人々が世界で『Foo Tokyo』が売られていることに誇りを思えるような、そして関わるメンバーや生産背景の皆さんが誇りに思えるブランドにしていきたいです。それを実現するためには、いいクリエイションをつくるだけではなく、事業として拡大に向けたアクセルをしっかりと踏んでいきつつも、ブランドとしてのブレーキも踏んでいく。『Foo Tokyo』は「ただいま」から「いってきます」のおうち時間・空間をデザインするブランドです。これからも高級パジャマやタオルだけではなく、さまざまな時間・空間を提供する商品を広げていき、将来的には例えば百貨店の1階など『Foo Tokyo』の世界観を体感できる場所をつくれたらいいですね。

Foo Tokyo 桑原真明 木村理沙 森一紘

画像左から桑原真明さん、木村理沙さん、森一紘さん(オペレーション・CRM担当)

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