政府系金融機関の日本政策金融公庫(日本公庫)は、新型コロナウイルスに伴う中小企業向けの資金繰り支援策を中心とした20年度(21年3月期)の事業概況を発表した。
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新型コロナ対策として政府が予算措置した実質無利子・無担保融資、資本性劣後ローンなど新型コロナ関連融資の貸付は今年4月末時点で83万1593件に計約14兆円が決定した。融資申し込み件数はリーマンショックの影響を受けた09年度の約50万件を大きく上回った。昨年1月29日から今年3月末までのコロナ関連貸し付けの決定件数に占める業種別の割合はエンターテインメント関連を含むサービス業が21%、飲食業・宿泊業が18%、小売業が12%、製造業が8%、卸売業が7%だった。同期間の融資申し込みのうち、日本公庫と取引がなかった新規先は49%を占めた。
コロナ前まで日本公庫全体の取引先数は減少傾向だったが、20年度は19年度の97万6744件から129万4125件に増加した。コロナの影響を受けた事業者などを対象に昨年8月から開始した「コロナ資本性ローン」は今年4月末時点で2646件に計4349億円の融資が決定した。
コロナ関連の融資による貸出金残高の大幅な増加に伴う貸倒引当金繰入額の拡大や、コロナ関連の信用保険引き受けなどで、20年度の純損益は1兆372億円の赤字(19年度は296億円の赤字)となった。ただし、「政府の方針に沿って、これまでにない規模で支援策を行った結果。今後も事業者に寄り添った支援をする」(田中一穂総裁)という。
コロナ関連融資では「元金返済が困難な場合の返済開始時期の延長などの条件変更に、回数にかかわらず対応する」方針。また、政府が決定した実質無利子・無担保融資の申請期限の今年末までの延長や、7月1日からの中小企業向けコロナ資本性ローンの貸付限度額の7億2000万円から10億円への引き上げにも相談窓口の設置を含めて、「しっかり迅速に対応していきたい」としている。
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