Image by: FASHIONSNAP
「オルビス(ORBIS)」が、独自開発の肌測定IoTデバイス「スキンミラー(skin mirror)」を用いたパーソナライズスキンケアサービス「カクテルグラフィー(cocktail graphy)」を4月12日に開始すると発表した。同社では近年アプリをコアにデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しており、「パーソナライズ」を一つのキーワードとしていたが、スキンケアプロダクトにフォーカスしたパーソナライズサービスは今回が初めて。化粧品業界におけるパーソナライズ商品としては後発だが、オルビスの小林琢磨 代表取締役社長は、「新サービスの肝は我々のコンセプトでもある『ここちを美しく』すること。ブランドから商品を押し付けるようなものではなく、消費者に寄り添う設計を突き詰めており、パーソナライズ化粧品市場で存在感を示していけると思う」と自信をのぞかせた。
カクテルグラフィーではスキンミラーで測定した肌状態をもとに数百通りからパーソナライズした美容液2種類と保湿液1本の計3本を提供。使用時は3種類を数滴ずつ混ぜ、スキンケアの美容液のステップに取り入れる。3ヶ月を1シーズンとし、肌状態にあわせた3本のセットが毎月送られてくる定期購入のシステムで、1ヶ月あたりの利用料は7920円(美容液3本の価格)。初月はスキンミラーの代金3300円(いずれも税込)が加わる。
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測定デバイスのスキンミラーは肌に触れる面に、水分量を測るセンサーと、皮脂量・キメ・毛穴の状態を測るカメラを搭載。洗顔後にスキンミラーを頬にあてて肌状態を測り、カクテルグラフィーのアプリ内で生活習慣や肌悩みなど13項目の設問に回答すると独自のアルゴリズムで解析される仕組みになっている。
他社の肌測定でも状態を分析して測定値を比較するサービスは既に存在する。小林社長は化粧品業界のパーソナライズや肌測定サービスが近年業界のトレンドになっており、「企業の技術競争になりつつある」と感じていたという。カクテルグラフィーではスキンミラーを使った毎日の肌測定や3ヶ月ごとの詳細な肌レポートにより、ユーザーが肌状態を主体的に把握するのを後押しする点を強みとしている。
また、「ユーザーに寄り添う」という観点から、フルラインナップの提案ではなくあえて美容液のみを販売。一点に絞ることで手持ちのスキンケア全体を買い換える必要がなく、気軽に取り入れることを考慮した。
アプリのコンテンツでは朝晩の1日2回、肌状態や居住エリアの天候からパーソナライズしたスキンケア情報を配信する。内容は必ずしもオルビス製品を推奨するようなものではなく、ユーザーが持っている商品で実践できる美容メソッドが中心だ。小林社長は「従来のパーソナライズ商品はブランドが考案した最適解を押し付けるような側面もあったが、カクテルグラフィーでは肌測定による美容液の最適解を提案するとともに、既に持っている商品を含めたスキンケア全体の効果を最大限に引き上げるサポートをすることで、ユーザーの主体性を尊重したパーソナライズサービスになっている」と説明した。
目標会員数は非公開だが、サービスを統括する新規事業開発グループの田村陽平マネージャーは「国内でのパーソナライズ化粧品市場で早期にシェアを獲得したい」と話し、海外進出も視野に入れる。小林社長は「パーソナライズ市場は今後も伸び代があると確信している。将来的には肌測定から得たデータを商品開発や店頭販促に活かしたい」と展望を語った。
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