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楽しみながらテレワーク、スペースと利用者をマッチングするサービス「テレスペ」とは

楽しみながらテレワーク、スペースと利用者をマッチングするサービス「テレスペ」とは

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 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまでとは違う働き方を余儀なくされた人も多かった。慣れない在宅勤務やテレワークになかなか集中できなかったり、ストレスを抱えたりしている人もいるかもしれない。実際、記者自身も、テレワークでなかなか集中できない悩みがある。テレワークはこれからも続くのか。せっかくなら楽しみながらテレワークをしたい。というわけで、注目テレワークサービス「テレスペ」を取材した。

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(海藤新大)

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予約なしで手軽

 テレワークやフリーアドレス、フレックスタイム制などここ数年、働き方が多様化している。コロナの感染拡大で、さらに急速に変化。外出自粛や密の回避などで、これまで導入していなかった企業でもテレワークが一気に進んだ。IT企業などでは全社員テレワークに踏み切ったところもある。こうした中で、コワーキングスペースやテレワークに関するサービスが数多く生まれている。

 なかでも注目は、テレワークスポットの空席を可視化し、ユーザーとスペース提供者をつなぐサービスのテレスぺ。テレスぺは、テレワーク・テクノロジーズ(東京、荒木賢二郎代表)が運営しているLINEのミニアプリだ。20年8月にベータ版としてサービスを開始し、21年1月に正式ローンチする。似たようなマッチングサービスは急増しているが、テレスぺは予約不要でリアルタイムに空席を利用できる点が強み。

 働く場所を探すワーカーはLINEでテレスペを友達登録し、利用者登録をしたその日からサービスが利用できる。トーク画面からアクセスできるマップ上に、リアルタイムに空席のあるスペースだけが表示される。席数をチェックして、そこから予約なしで店舗に向かい、従業員にチェックイン画面を提示するだけで仕事を開始できる手軽さがある。帰る際もチェックアウトボタンを従業員に提示するだけで決済まで全てを完結できる。

地図上で周辺で利用できるスペースの空席状況がわかる

導入もしやすく

 一方、飲食店やカラオケ、ホテルなどのテレワークプランを提供する店舗やコワーキングスペースなどのオーナーは、初期費用や月額費用の負担なしで店舗を登録できる。「○時~○時の間で4席」など時間や席数を区切ることで、店の空いた時間帯だけテレスペに掲載できる点もメリットだ。席の利用料は店側が自由に設定でき、利用料の50%を店側の収益として受け取ることができる。特に、わざわざスタッフの研修をしなくてもすぐに導入できる簡易さが支持されているという。

 ワークスペースを目的として利用した客が、その店の中に入ることで店の雰囲気を知り、新規顧客獲得につながる可能性もある。テレワークのためのスペース確保や、新たな料金体系を作らずに開いている席を提供できるため、本業をおろそかにすることなく空席を収益化できる。

需要あるのに利用されない

 内閣府が20年6月に発表した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、全国のテレワーク実施率は34.6%で、特に東京23区では55.5%、東京、埼玉、千葉、神奈川の東京圏でも48.9%が実施していた。オフィス以外で働く人が増えたことによって、テレワークスペースの需要が高まり、その確保が困難になっている。一方で飲食店やカラオケ店など急増するテレワークプランを提供する店やコワーキングスペース側では、「ワークスペースがなかなか利用されない」という悩みが多いという。場所を確保したい利用者と空席を利用してほしい提供者との間でのマッチングがうまくいっていない問題が生まれている。テレスぺはそうした問題を解決するために開発した。

 テレスペが狙う利用者は、個人の自費利用、フリーランスオフィス経費、中小企業オフィス経費、大企業オフィス経費の四つ。特にフリーランスの分散型オフィスとしての利用、都心やターミナル駅を中心にサテライトオフィスを用意している大企業などに対し多拠点のワークスペースとしてなど、オフィス経費市場をメインに利用者を増やす計画だという。

 さらに、マネタイズ方法も多様化させる。利用時間に応じて料金が発生する時間課金制に加えて、1店舗が使い放題の店舗限定サブスクリプションプランや、系列全店舗が使い放題になるプラン、テレスペ全体が使い放題のテレスペサブスクプランなど、様々なサブスクプランを計画していく。

市場は間違いなく広がる

荒木賢二郎テレワーク・テクノロジーズ代表に聞く

荒木代表

――テレスぺを作ったきっかけは。

 私自身が都内で仕事の打ち合わせをする場所に困った体験がきっかけです。当時、オフィスは新宿にあり、打ち合わせ先は渋谷か六本木ということが多く、合間合間に街中で仕事をすることがありました。カフェも多くあり、今はコワーキングスペースも充実してきましたが、カフェは長い時間いられないし、行ってみないと空席がわからない。コワーキングスペースやレンタル会議室などは事前に時間まで指定して予約が必用だったり、多くが月額会員制で単発で利用するには高くついたり、そもそも今すぐ入れなかったりとリアルタイムで使えるスペースは意外と少ないことに気が付きました。一方で、ビルや飲食店、物販店、不動産などでは空きスペースに悩んでいるのが現状で、それぞれの需要をマッチングできたらいいんじゃないかと思いました。

 コワーキングスペースを検索してもたくさん出過ぎて、どれが空いていて利用できるかもわからない。そうした体験から検索機能も予約もなくし、リアルタイムで周辺の空きスペースを地図上に示し、すぐ利用できるシステムにしました。

◆変化対応は不可避

 ――これからもテレワーク市場は広がっていくか。

 間違いなく広がっていくと思います。新型コロナの影響がどこまで続くかはわかりませんが、オフィスに行かなくても仕事ができると多くの人が気づいたと思います。また、そのほうが効率的である場合も多いですし、この変化は大きな企業ほど元に戻ることはないと考えています。ただ、どうやって仕事を評価するかなど、これまでの人事評価制度では測れないため、変化に対応していかなければいけません。

◆空きスペースも需要

 ――働ける場所も多様化していく。

 私は飲食店を経営したことがあります。その経験から、ピークタイム以外での空席に悩んでいるなどの事情が良くわかります。飲食店に限らず、そうした空きスペースの需要は多くあります。空きスペースをもっと友好的に活用し、収益化するような流れは続いていくと考えています。リゾート地のホテル、取り壊し物件なので長い契約ができないなど、思っている以上に無駄なスペースは多くあります。銀行の支店の2階も実質使っていない状況にあるなどの声も聞きます。そうしたちょっとした空きスペースもテレスぺの仕組みを使って仕事場にしていけると考えています。

 ――おすすめのテレワークスペースは。

 コロナ禍で、みなさん在宅勤務をするようになったと思います。最初は〝自宅最強〟と思っていましたが、やはり誘惑が多く集中できなかったりオンとオフの切り替えが難しかったりと、意外と働きにくいことに気が付きました。かといって静か過ぎるのはだめで、私個人としては他人の存在を感じながらも密閉された空間がいいことに気が付きました。今、私が働きやすいのはカラオケボックスです。密室で適度に他人の存在を感じられ、椅子や机、Wiーfiももちろんあって、とてもいいワークスペースです。テレワークプランなどを新設している店もありますし、おすすめですよ。

(繊研新聞本紙21年1月8日付)

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