11. Pierre Jeanneret レコードラック
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F:ピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret)でレコード用の家具なんて作られていたんですね!
山口:珍しいですよね。僕がミュージシャンなので、知り合いが「こういうの出てきましたよ」と連絡をくれたんです。見せてもらったらすごく素敵で。
F:初めて見ました。どこが気に入りましたか?
山口:無骨で格好良いところ。脚はジャンヌレっぽいなと思います。ここにどんなレコードが入っていたのかなとか、どんな人が使っていたのかなと考えますね。作った人や使っていた人のことを想像することって、例えば好きなロックバンドのルーツやどんな音楽に影響を受けたのかを知ってもっと好きになることと、なんとなく似ているなと思うんです。
F:どんどん深みにハマりますね。これに何を入れて使いましょう。
山口:レコードはたくさん持っているんですけど、何を入れようかな。こういった家具って、また誰かに譲ったりするのもいいなって思うんですよね。
F:未来も想像しているんですね。
山口:僕はいつも、ヴィンテージ家具は「手に入れている」というより「預かっている」という感覚で。全て誰かが使っていたもので、引き継がれて自分のところに来ている。なのでまた次の世代にバトンしていきたいなと思っているんです。
F:これがまた音楽好きの人の元に渡っていったら素敵ですね。
今年を振り返って
F:今年は生活や環境の変化がかなりあったかと思いますが、モノの買い方も変わりましたか?
山口:もともとECよりお店で買うことが多くて、でも今年は長居しない方がいいから試着はあまりしなかったり、選ぶものはハッキリとしていたかもしれないですね。前までは「迷ったら買う」だったけど、本当に好きなものだけを買うというか。だいたいみんな「これは絶対着る」ものと「着ないけど好き」なものってあると思うんですけど。
F:ありますね。好みだけど自分にはちょっと合わないかな、とか。
山口:でも「絶対着る」ものってだいたいすでに"持っている"から、「着ないけど好き」にチャレンジしてみようと思ったんです。やっぱり好きなものを着たいから、「なんでこれが好きなんだろう」と考えて選んだり。
F:例えばどんなものを?
山口:例えば「サカイ(sacai)」を見に行く時、いつもだったら黒を選ぶんですが、カーキが好きだから試してみたりとか。
F:本当に好きなもの、より本質的なものを選びたいという感覚は、きっとみんな強くなっていると思います。
山口:昔買った服を引っ張り出して着ることも増えました。残してある服にはそれぞれ意味があるというか、自分が何に惹かれたかがハッキリしているものなんですよね。
F:今年はサカナクションの活動もコロナの影響を受けたかと思いますが、山口さん自身にとってはどんな一年でしたか?
山口:どの業界でもそうだと思いますけど、本物しか生き残れない時代になったということを感じます。今ライブができなくなってCDも売れなくて、サブスクリプションだけでしか音楽が伝えられない状況の中、ミュージシャンとは何なのか、音楽とは何なのかが問われていて、自分もそれを考えました。どんな人間がどんな生活をして、何を考えているのか、音楽以外の部分も注目されるようになったと思うんですね。
F:山口さんはこのコロナ禍で、インスタライブを通じて自分の考えを発信したり、音楽に関わる仕事やクリエイターを紹介したり、色々と活動していましたね。
山口:僕たちはこれまでも、音楽以外のところから音楽を伝えようと色々と挑戦してきたので、コロナ禍でどんなことができるのかはシンプルに考えることができたのかもしれません。それと、今年の春頃はどの業界もコロナがなかった時代に戻ることを願っていたと思いますが、劇的な好転は見込めない状況です。だから、コロナが存在する新しい時代でどんな発明をするか、どんなことを始めるか、という方に気持ちを早く切り替えた人たちが、次に生き残っていけると思っています。
F:新たな一歩を踏み出すということですね。
山口:谷尻誠さんが僕と対談してくれた時に「明日やろうは馬鹿野郎」って名言を残してくれたんですけど(笑)本当にその通りだなと。東京に出てきたばっかりの時みたいに、今まであったシステムが全部なくなって、新しいシステムを自分たちで発明する。ある意味では何やってもいいというこの状況は、不謹慎かもしれないけどすごく楽しみだなと思っているんです。良いチームと一緒に、人を良い意味で驚かせれるようなチャレンジは来年も続けていきたいし、ワクワクしていきたいと思っています。
■山口一郎
1980年北海道生まれ。「サカナクション」として2005年に活動を開始し、2007年にメジャーデビュー。「ミュージシャンの在り方」そのものを先進的にとらえるその姿勢は常に注目を集めている。2015年からNFをスタートさせ、各界のクリエイターとコラボレーションを行いながら音楽と様々なカルチャーが混ざり合う多様な活動を高い表現で実現し、評価されている。2020年にコロナ禍で行ったオンラインライブ「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE」は画期的なコンセプトで6万人の視聴者を集めた。パッケージ化された作品が2021年3月に発売される。
サカナクション公式サイト
NF公式サイト
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