政府は4月7日、新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、7都府県を対象に緊急事態宣言を発出した。16日には全国に拡大し、百貨店、SCなど大型商業施設の大半は臨時休業を余儀なくされた。約1カ月半に及ぶ全館休業や食品など一部売り場だけの縮小営業で、大型商業施設、取引先を含めたサプライチェーンは深刻な打撃を受けた。春物や初夏物の商戦が消失する前例のない大きな痛手となった。
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免税売上高ゼロ続く
コロナの感染拡大で、2月以降の売り上げは大きく落ち込んだ。百貨店の1~6月売り上げは34%減少した。3月に33%減少し、これまでで最も大きい減少幅となった。海外からの入国制限の拡大で、インバウンド(訪日外国人)の購買客が9割超減った。免税売上高はほぼゼロの実績が現在も続いている。営業自粛が広がった4月に73%減、5月14日に緊急事態宣言が39県で解除され、各店で順次、営業再開した5月は66%減だった。6月は19%減となり、全店が全館営業を再開して入店客数が徐々に上向いた。7月以降は外出自粛のほか、前年の消費増税の影響があったが、水面下の状況が続いている。消費が回復するまでに至っていない。
コロナ禍によって生活様式、働き方、消費行動が大きく変化した。感染対策が最大の経営課題となり、「3密」を避けるための対応があらゆる場面で求められるようになった。テレワークは一定維持され、徐々に出勤頻度を高める企業でも通常の50%以下にとどめ、時差出勤や隔日出勤の継続が広がった。コロナ下で、働き方が多様化した。
巣ごもり消費が顕著に
家の中で過ごす時間が増え、巣ごもり消費が顕著になっている。家具やルームフレグランス、クッション、ルームシューズなどのインテリアのほか、手軽なキッチン家電や食器、エプロンなどのキッチングッズ、タオルやバス用品などの衛生関連、パジャマや布団などの寝具、アパレルではリラクシングウェアなどの需要が上向いた。
スポーツやアウトドア関連の需要は回復が早かった。健康のために個人で運動する消費者が増えており、他人との接触を抑えて楽しめるレジャーとしてアウトドアが注目された。近場でキャンプを楽しむ人が増えたほか、ヨガやランニング関連の需要が増加している。
各社で時間と場所の制限がないECの売り上げが拡大した。同様に、顧客へのアプローチの仕方は非接触となるデジタルを活用したリモート販売が一気に広がった。物産展、美術展、エンターテインメントなどイベントのオンライン開催や売り場発のライブコマースが相次いだ。店頭とEC、LINEやZoomを活用したオンライン接客を組み合わせたデジタル戦略が本格化した一方で、店頭の接客サービスの在り方を見直すきっかけにもなった。
(繊研新聞本紙20年12月16日付)
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