小笠原拓郎
Image by: FASHIONSNAP
TOGA VIRILIS ライダースジャケット
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F:トーガは2年連続で買ったモノ企画登場です。
小笠原:そうですね。これは1月頭の出張にも持って行きましたし、1年間フルで使いました。ニューヨークのスナップサイトにも掲載されたりと、周りからの評判もいいですよ。妻も着ていて、たまに「なんで勝手に着てるんだよ」と思うことがあります(笑)。
F:ギャルソンに続いてこちらもチャームが付いていますね。チャームが今の気分なんですか?
小笠原:どうなんでしょう。でも、家のクローゼットには革ジャンとコートが多くてバリエーションも豊富なんですが、今買うとなったら少し変わったこういうものになるのかもしれません。

F:革ジャンが好きなんですね。
小笠原:高校生のとき、革ジャンは不良が着るものというイメージを持っていました。バイクに乗っちゃダメ、エレキギターを買っちゃダメ、革ジャンを着たらダメという時代だったんですよ。当時バンドをしていたんですが、あまり着られなかったので、その反動で革ジャンばかり買っちゃうんだと思います。
F:他にはどんな革ジャンを持っているんですか?
小笠原:水蛇のエキゾチックレザーだったり、ブルーの「ロエベ(LOEWE)」のライダースだったり色々と。でも一番気に入っているのは、福岡のアメカジ系のお店で作ったやつかな。カシミアのセーターを1枚着用できるくらいのフィット感にして、バイクのハンドルを握る感じで腕を曲げた状態で長さを測ったりしたので圧倒的に着心地が良いんですよ。
F:今年買った革ジャンはこの1着だけですか?
小笠原:はい。そういえば最初にこれを着た時、妻に「おじさんっぽいね」って言われました(笑)。どういうことだったんだろう。萩原流行さんっぽいってことかなと考えたり。

F:ちょっとウエスタンっぽさがあるからですかね?
小笠原:なるほど。なら、なぎら健壱さんっぽいってことなのかな(笑)。
F:どうなんでしょう(笑)。ちなみに昔やっていたバンドでは何を担当していたんですか?
小笠原:ボーカルです。恥ずかしいのでこの話はやめましょう(笑)。
FACETASM×Vibe Harsløf ブレスレット

















F:ファセッタズムとヴィブ・ファルスロフのコラボアイテム。ブレスレットなんですか?
小笠原:はい。ビニール袋をアクセサリーにしてしまうという発想なんですよ。本当は1種類らしいんですが、3種類用意してもらいました。
F:モチーフになっているのは瓶の王冠なんですね。
小笠原:そう。王冠と栓抜きを組み合わせているんです。パーティーみたいなものが一つのコンセプトで、パーティーに行って着飾るけれど、ビニール袋だったりチープなものもファッションアイテムとして使えるといった感じで。袋を通して腕に巻いて使うんです。スターリングシルバーなので中々良い値段するんですけどね。

F:斬新さが惹かれた理由ですか?
小笠原:それもですが、一番はハイ・アンド・ローのパンク的な思想に惹かれたことですね。
F:ビニール袋は3種類ありますが、黒色のものをよく使っているというのが使用感から伝わってきます。
小笠原:そうですね(笑)。でもそれぞれ柄が可愛いんですよ。中国のデリバリーショップみたいな袋、ちょっとリゾートっぽい柄の袋、メルシーなど色々な言語で感謝と書いている袋。買ってすぐは黒をよく使っていたんですけど、しばらくするとスーパーマーケット「サミット」の袋を使うようになっていました(笑)。

F:サミットのビニール袋とファセッタズム。素敵ですね。
小笠原:そうなんです。チープなものがジュエリーになるっていうのがすごく好きなコンセプトで。バッサリはさみを入れちゃうギャルソンのコートと同じ世界観を感じて、気に入っています。久しぶりにアクセサリーを買いましたね。
今年のお買い物を振り返って
F:今年の買い物を振り返ると、どんな1年でしたか?
小笠原:今年は買う量がかなり減りました。本当に欲しいと思うものがあまりないというか。感動できるショーが少なくなってきているということも原因としてあるのかもしれません。まあでも既に結構な数を所有していますからね。逆に今年は持ってるものを色々売ったくらいで。
F:服を売ったのは気持ちを改めるという意味合いからですか?
小笠原:そう。50アイテムくらい売ったかな。買ったものよりも手放したもののほうが多い。
F:結構売りましたね。売ることでまた物欲がでてきたりしましたか?
小笠原:どうなんでしょう。色々な服を着てきましたからね。一度経験したものには物欲が湧かないようになってしまったのかもしれません。
F:感動できるショーが少なくなってきているというのも経験の多さから?
小笠原:というのもあると思います。若い編集者の人やうちのスタッフが「感動した!」と言っていることに共感できず、評価のハードルが低いんじゃないかなと思ってしまうこともありました。まあ、ビジネスが変わったというのもあるんでしょう。SNSでバズらせて売っていく時代で、フォロワーの多いデザイナーをクリエイティブディレクターに据えたりというビジネスに移ってきていますからね。でも本当にその人たちが新しいものを作っているかと言えば、私はそう思えない。結局は売りやすいものの方に流れているな、つまらないなという感じで。でも、川久保さんはギャルソンをスタートして50年くらい経ちますけど、50年経っても"新しい美しさ"を必死に追い求めているから凄いなと思います。

F:今年はギャルソン以外で感動したショーはありましたか?
小笠原:2019年秋冬シーズンの「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のオートクチュールはめちゃめちゃ良かったです。本当に良くて、びっくりしました。1メートルも離れていないくらいの目の前の距離をモデルが歩いたんですが、そんな近い距離で見ているのに生地がどうやってできているのか全然わからないものがあって。展示会で触って見ればわかったんですが、やっぱりオートクチュールの技術は凄いなと。
F:東京ファッションウィークの冠スポンサーがアマゾンから楽天に代わりました。同時にファッションショーをやる意味はあるのか、ショーの意義についての議論も多かったですが。
小笠原:何か"新しい美しさ"を作り、東京で見せるということを全然否定するつもりはないですし、そういう人たちが東京コレクションを構成すると良いファッションウィークになると思います。ただ現状は、新しいものを模索していると感じられる人があまりいない。30年近くコレクションを見てきたことで経験値もあるので、それだったらあの時代のあのブランドのほうが美しいと思うというような比較するものが私の中にはいっぱいあって「もっと突き詰めてやらないと"新しい美しさ"は作れないよね」と思ってしまう。ショーをやらなくてもファッションデザイナーとしてのビジネスはできるし、それこそ資金力の問題で本当に描きたいものが表現できていなかったりするデザイナーもいますから。本当に良いショーをやろうとしたら東京でも1回で1千万円くらいかかると思うんです。それくらいかけないとよく見えないし、良いモデルも使えない、素材にもこだわれない。だからそれができるようになるまで展示会ベースでビジネスをしていくという選択肢も選べるし、ファッションショーが全てではないとわかった上で結果として東京コレクションを選ぶこともありだと思います。ただデザイナーとして、自分の考える美しさをどうやって作り上げて継続していくかをよく考える方が先決だと思います。

F:ありがとうございます。今回のインタビューで"新しい美しさ"というのがキーワードとしてよく登場しますが、来年の買い物ではそういったものを求めていくんですかね?
小笠原:良いものも美しいものもいっぱいある世の中だからこそ、経験したことがないものが欲しいです。ただ、オートクチュールやハイジュエリーを見ると感動するんですが、何千万円とか何億円とかなので.......。目は肥えていくけど、財力が追いつかないというアンバランスさに来年は向き合っていかないといけないのかもしれません(笑)。
■小笠原拓郎
1966年愛知県生まれ。1992年にファッション業界紙の繊研新聞社に入社。1995年から欧州メンズコレクション、2002年から欧州ウィメンズコレクションの取材を担当し、20年以上にわたり世界中のファッションを取材執筆している。
繊研プラス: http://www.senken.co.jp/
・繊研新聞社 小笠原拓郎のベストバイ
【2013年】【2014年】【2015年】【2016年】【2017年】【2018年】
■2019年ベストバイ
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