
この1年、消費増税後の消費の冷え込みや円安に伴う商品原価の上昇、運賃の値上げ基調など逆風が吹き荒れたが、通販企業は収益力の改善や事業拡大に向けていま一度、価格以外のサービス力を高めることで競合との差別化を図るべきだろう。
昨今は「オムニチャネル化」の流れもあって、あらゆるチャネルを駆使していつでもどこでも商品を購入できたり、受け取れる仕組みを構築しようとする事例が増えているが、通販専業にとっては多数の店舗を展開したり、実店舗を持つ大手小売と提携している企業は一握りにすぎず、現時点では消費者が通販利用の際に感じる不安を払拭し、購入のハードルを下げるために知恵を絞ることが、いままで以上に必要と言えそう。
これまでも総合通販を中心に古い家具を無料で引き取るサービスや、宅配型で衣服や布団をクリーニングして次のシーズンまで保管するサービスなどを、専門業者と提携することでサービスメニューに加え、新商品の購入につなげる取り組みがあったが、ここにきてアフターサービスの強化やお直し品の即日配送などに乗り出す企業も出てきている。
カタログハウスは昨年10月、これまで3年間だった購入商品の無料修理期間を5年間に延長。無料修理期間を小売業界でトップ水準に引き上げることで商品や価格以外の"購入後の安心"で差別化を図る。通常、通販企業を含む小売各社の場合、無料修理期間は3年の場合や5年でも有料のことが多かったり、低価格商品は対象外とすることもあるようだが、同社では商品金額に関係なく、繊維製品や消耗品以外の全品目で5年間の無料修理に対応する。
ジャパネットたかたも今年3月から、家電の長期保証サービスを始めた。ヤマトホールディングスのグループ企業が手がける家電製品向け延長保証サービスのスキームを活用。顧客がジャパネットたかたで家電を購入する際、「ジャパネット長期保証」に加入するとメーカー保証期間を延長して購入日から5年間、自然故障に関して無償修理サービスが受けられる仕組みとした。保証料はかかるものの、アフターサービスを強化することで顧客が安心して商品を購入できる環境を整えた。
ドゥクラッセは4月から、裾上げや着丈詰めした服を注文日の最短翌日に届けるサービスを始めた。同社は4年前に1センチ単位でのトップスの丈詰めやボトムスの裾上げをサービス化。年間2万3000枚のお直しを実施しているが、今回、午前9時から正午までの電話注文分を翌日配送に対応することで年間5万1000枚のお直しを目標とする。費用は一律390円で、配送拠点に専門人員を常駐させライン化された仕組みで商品のスムーズな移動とお直し作業のコスト削減を図ることで業界の4分の1という料金に抑えた。
簡単にサービス化できる事例とは異なり、これらの取り組みにはバックヤードの改革や専門人員の補充などコストと時間がかかるが、商品面での差別化が難しい昨今、通販業界だけでなく小売全体でみても高いサービス力を身につけることは、オムニチャネル時代においても大きな武器になりそうだ。
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