
顧客視点を突き詰める
絶えず新陳代謝を
ジュン社長 佐々木進氏
昨年は様々な面での施策が実り、堅調に推移した。今年も新事業を立ち上げ、次代のビジネスの種をまく。さらなる成長に向けて、絶えず新陳代謝を図っていく。
■「空気感」売る姿勢で
──昨年は年間を通して堅調だった。
「ル・ジュン」や「プール」といった新しい事業だけでなく、「ロペピクニック」などブラッシュアップした既存ブランドを含めていい結果でした。ただ、10、11月は苦戦。前年踏襲型が強く、お客さんに魅力的な商品を提供できていませんでした。
今は、ブランドというよりも空気感を売ることが大切です。若いスタッフに着ている服のブランドを聞いても「どこのだっけ」といった具合。デザインや空気感を重視して買っているのです。商品そのものは普通でも、空気感を含め総合的に共感してもらうことが重要です。
そのためのポイントは二つ。世界観をしっかり打ち出すことと、個のニーズにマッチしつつ今までに見たことのないような提案をすることです。
世界観を出すためには、コンセプトをただの枕詞(まくらことば)とするのではなく、店頭に行った時に本当に具体化できていることが重要。そういう意味で、プールは成功しています。昨年末、スニーカーを販売した時には2000人以上の行列ができました。
「アダム・エ・ロペ・ル・マガザン」は一昨年、二枚目から三枚目路線に変えたところ、非常に好調です。今、雑貨がトレンドになっていますが、求められる価値観が変化しています。「かっこいい」よりも「ワクワクして楽しい」物。その物を持つことで、どう人生を楽しめるかが大切です。
■素朴な疑問に応える
──今年の重点は。
手あかが付いた言葉ですが、顧客視点を突き詰めます。ついプロ目線でお客さんを決め付けてしまいがちですが、顧客視点で本当に欲している物を考える必要があります。お客さんは我々が考えないような素朴な疑問を持っているはず。ブランド運営も商品開発もそれに基づいて行うべきです。
組織としては横の連携を強化します。どうしても縦の事業部制が強くなってしまうので、横の職種でバーチャルなグループを作って情報共有を進めます。
この2年ほど行っているマネジメントハプニングという取り組みは成果が上がってきました。2週間に1度、マネジャーが7、8人のグループに分かれて座談会形式で自分の失敗・成功談を話し合うもので、これがけっこう効果があります。
各グループで持ち回りで講義をしてもらうのですが、教えることで勉強になり、マネジャーとしての意識が高まります。仲間から受ける刺激も大きいようです。
新たに掲げるのは「ソーシャルスタイル」という考え方です。これからはライフスタイルだけでなく、社会やコミュニティーの中でその事業をすることがどう影響するのかを考える必要があります。社会的に意味のある仕事をすることは、会社としての大きなミッションでもあります。
服について考えた時に、新しい美の解釈はある程度出尽くしたと思うのです。では、我々としてどうやって新しい価値を生み出すのか。それがソーシャルスタイルなんです。例えば、「ナイキ」と組んで夏から新しく始める事業では、体を強くすることで女性の社会進出をサポートします。
絶えず新陳代謝も行っていきます。一環として「ジュン・メン」を14~15年秋冬物で休止。売る場所や売り方が時代とずれてきてしまいました。パフォーマンスの高い人材を最適な場所に再配置します。
既存ブランドのリニューアルも積極的に実施します。成功は失敗の始まり。ある程度成功すると、それを金太郎あめのように広げてしまいがちですが、それをやって成功している会社はありません。自己改革を続け、常に進化することが必要です。
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