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【2022年ベストバイ】NOSE SHOP代表 中森友喜が今年買って良かったモノ

 今年のお買い物を振り返る「2022年ベストバイ」。19人目は、ニッチフレグランスのセレクトショップ「ノーズショップ(NOSE SHOP)」を運営するNOSE SHOP代表 中森友喜さん。香水のミニサイズをランダムで提案する「香水ガチャ」など、香水選びの難しさを逆手に取ったユニークなコンテンツが人気を集めています。「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」を纏った装いでインタビューに応じてくれた中森さんが今年買って良かったモノ10点とは?

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「コム デ ギャルソン オム プリュス」ジャケット

Imaged by FASHIONSNAP

FASHIONSNAP(以下、F):中森さんは大の「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」ラバーなのだとか。1アイテム目は2022年秋冬の「コム デ ギャルソン オム プリュス(COMME des GARÇONS HOMME PLUS)」の縮絨ジャケットです。独特な風合いが目を引きますね。

中森友喜(以下、中森):縮絨ジャケットは、1994年頃からギャルソンの代表的なテキスタイル加工のひとつになりましたよね。ブランドを象徴するアイテムですが、今シーズンは裾に鮮やかな赤い配色が入っているのが面白いなと。

F:2022年秋冬コレクションに付けられたタイトルは「nomad」。川久保玲氏が考える本当の自由、自由に生きるノマドへの憧れを表したコレクションでした。このジャケットは腰回りのディテールも特徴的ですね。

NOSE SHOP代表 中森友喜

Imaged by FASHIONSNAP

NOSE SHOP代表 中森友喜

中森:ボタンを留めずに着ると綺麗なAラインで一見ベーシックなジャケットなんですが、ボタンを留めて着るとスカートのようにぱっと広がって見えるんです。ちょっとフェミニンな印象になるというか。そのバランス感が絶妙で。

F:確かに、ラックに掛けてある状態と実際に羽織った時の印象が違いますね。ちなみに、コム デ ギャルソンとの出会いはいつなんですか?

Image by FASHIONSNAP

中森:1番最初に出会ったのは恐らく18歳頃。大学の入学式か何かでセットアップでスーツを買うタイミングがあって、お金を貯めて思い切って購入したのが始まりです。その後しばらく、起業する前のサラリーマン時代は頻繁にお店に通えていたわけではなかったんですけど。

F:再びブランドの魅力に触れるきっかけがあったのでしょうか。

中森:香水のビジネスを始めて、海外のオーナーや調香師に沢山会ってきたんですが、自身のファッションスタイルをしっかり持っている人が多くて。そういった部分にすごく憧れを持っていました。そうした方々と服の話をすると、「僕はこの服のここが好きなんだ」と確固たる価値観やポリシーがあるんですよね。自分のオリジンをちゃんと理解して、好きなものを感じて、誇りを持っている。日本人として世界中の方と関わり香水の交渉をしていく中で、やはり日本を代表するブランドを深く知りリスペクトすることが大切なのではないか、と。それで、10代の頃に触れたコム デ ギャルソンの素晴らしさに改めて魅了されました。

F:日本が世界に誇るブランドやクリエイター、日本のカルチャーは日本人だからこそ、ある意味教養として深く知っておくべきですね。コム デ ギャルソンの魅力は特にどういった部分に感じるのでしょうか。

NOSE SHOP代表 中森友喜

Imaged by FASHIONSNAP

中森:デザイナーとして、経営者として、今もなお現役で手腕を振るう川久保玲さんの格好良さでしょうか。過去のインタビューなどを読んでいると、「私はアーティストではなく、あくまでもビジネスマン」と仰っていたんですよね。起業して12年目くらいですが、ようやくその言葉の意味が分かったような気がして。服をデザインするというクリエイションの部分だけでなく、店舗を作り、人を雇用し、その人たちにしっかりと教育をしながら、ブランドの世界観を共有していくということをもう40年以上も休みなく続けている。その偉大さに、1人の経営者として非常に憧れています。

F:今日着用されているアイテムもコム デ ギャルソンですよね。毎シーズンどれくらい買っていらっしゃるんですか。

中森:毎シーズン足繫く青山店に通っているのでかなりの量があります(笑)。今日着ているジャケットや定番のシャツ、セットアップが数え切れないくらい自宅にあって。このシャツは今日おろしたばかりなんですけど。ブラックのジャケットだけでも恐らく十数着はあると思います。

 ポリエステルの素材ってすごく丈夫なので、多少毛玉ができたとしても長い間持つんですよね。なので捨てる気にならなくて。昔に買ったものであってもずっと取っておいてあって。素材やシルエット、ボタンなどの装飾が少し変わっていたりするので、定番アイテムとはいえ毎シーズン買い足してしまいますね。周りからしたら、ぱっと見同じではと思われているかもしれないですが(笑)。

F:ビジネスシーンでもギャルソンは着ていらっしゃるんですか?

中森:ほぼ毎日着ていますね。どこかしらにギャルソンのアイテムを取り入れています。

Imaged by FASHIONSNAP

F:ちなみに、川久保玲さんにお会いしたことは?

中森:直接お話したことはないです。ノーズショップのオフィスは移転前、コム デ ギャルソンの本社がある南青山にあって。川久保さんが出社されるタイミングなどに、たまに骨董通りでお見かけすることはありましたね。身近にリスペクトしている存在がいらっしゃって日々刺激を受けていました。

F:川久保さんがディレクションを手掛ける「ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)」も店舗として非常に魅力的な空間ですね。

中森:店舗作りや空間作りにおいて、沢山のヒントをもらえるのでよく行っています。あとは川久保さんが空間ディレクションされている青山店も、1〜2ヶ月に1回ぐらい見え方が変わるのでそこにもよく行きますね。今回の空間はどのようなテーマで作られたのか、川久保さんがどんなことを仰っていたのか...なんてことをスタッフの方に聞かせて頂くんです。それぐらい根っからのギャルソンファンなんです(笑)。

「メゾン マルジェラ」ダブルジャケット

メゾン マルジェラのダブルジャケット

Imaged by FASHIONSNAP

中森:今年の夏、久々にパリを訪れた際に購入したアイテムです。ミラノに行く用事があったので、そのついでにパリにも久々に足を運びました。ジョン・ガリアーノ(John Galliano)が手掛ける「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」のクリエイションが魅力的なのはもちろんですが、ファッション史的にみればブランド創業者のマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)は川久保さんの影響を強く受けているデザイナー。ギャルソンとの関係性みたいな部分をクリエイティブに感じられるので、やはり惹かれるものがあります。

F:今回のジャケットを購入した経緯は?

中森:来店した日がたまたまセールの前日だったんですが、そこで出会ったスタッフの方が「日本に住んでいたことがあるよ!」と話が盛り上がり仲良くなったんです。で、このジャケットが気になって店頭で試着していたら、明日セールになるからまた明日来たほうがいいよと言ってくれて。これもご縁だなと思って翌日行って買いました(笑)。裏地を表に出してくる感じとか、マルジェラらしさがあって良いですよね。

メゾン マルジェラのダブルジャケット
NOSE SHOP代表 中森友喜
メゾン マルジェラのダブルジャケット
メゾン マルジェラのダブルジャケット

Image by FASHIONSNAP

F:親切なスタッフさんですね!マルジェラはいつ頃からハマり始めたのでしょうか。

中森:ギャルソンと同じく18〜19歳頃からすごくカッコいいブランドだなと存在は認識していましたし、憧れていました。当時は気軽に買えるものではなかったので、大人になって手が届くようになってからハマり始めました。オフィスを昨年末に恵比寿に移転してからは、旗艦店の「メゾン マルジェラ トウキョウ」に通っては仲の良いスタッフの方と色々とアイテムについて話をするのが楽しみになっています。熱量のある人に出会えるのがリアルの買い物の良いところですし、会話の醍醐味だなと。

 ちなみに、これまでに何度かパリを訪れる中でパリ市内の店舗は全部まわりましたし、「メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)」が内装を手掛けたパリのホテル「ラ・メゾン・シャンゼリゼ(La Maison des Champs-Elysées)」にも泊まったことがあります。

メゾン マルジェラのダブルジャケット
メゾン マルジェラのダブルジャケット
メゾン マルジェラのダブルジャケット

Image by FASHIONSNAP

F:ブランドへの愛を感じます。マルジェラの良さを一言で表すと?

中森:やはりギャルソンと通ずる部分がありますし、通常こうあるべきと言ったところから逸脱するアプローチをずっとやり続けている。ジョン・ガリアーノになってからブランド名は「メゾン マルジェラ」に変わりましたが、それでもブランドの"マルジェラらしさ"の部分は失われず常に進化し続けていることがすごいですよね。香水も世代を超えた進化や新しさを追求していくことをやりつつも、勿論ブランドのフィロソフィーや伝統をしっかりと守っていく必要がある。そうした我々がやっていることとのシンパシーを感じるんです。

NOSE SHOP代表 中森友喜

Imaged by FASHIONSNAP

F:マルタン・マルジェラ期のアーカイヴを購入されることもありますか?

中森:興味はありますけど、まだアーカイヴを購入したことはないです。そこまでやっちゃうと沼過ぎて...絶対ハマってしまうと思うので(笑)。今は現行品を楽しんでいます。

F:ミラノへは出張で?

中森:はい。ミラノで開催された国際的な香水の展示会があり出張で渡航しました。毎年参加していましたが、コロナ禍で約2年ぶりの開催で。200以上のニッチな香水ブランドが全世界から参加する展示会で、そこへ行くと一気に世界の香水の最先端事情について知ることができるんですよ。

「ルメール」レザーベルト

Imaged by FASHIONSNAP

F:3アイテム目は「ルメール(LEMAIRE)」のレザーベルトですね。シンプルで洗練されたデザインです。

中森:少し前に、設計・デザイン事務所「ダイケイ・ミルズ(DAIKEI MILLS)」がスタートした青山の実験的スペースに「ルメール(LEMAIRE)」の期間限定ストアがオープンしましたよね。ルメール自体は昔からファンでしたが、あの空間が好きでよく通っています。ジャケットやシャツなどルメールでシーズンアイテムは好きで色々と購入してきましたが、このベルトに関しては何気なく見つけてなぜか気に入って。毎日身に付けています。

Imaged by FASHIONSNAP

F:シンプルな作りですが、クラフトマンシップが感じられる温かみのあるデザインですね。

中森:革の質感であったり、手触りがすごく良くてついつい手に持っちゃうんです。あまりファッションファッションし過ぎていないといいますか、ステッチもすごいラフな感じで。毎日出社する時には身に付けるので、ある意味朝の儀式のようなものになっています。

F:買い物はファーストインプレッションを大事にする方ですか?

中森:ピンとくるかどうか、といった感覚の部分は大事にしています。香水の仕事ではどちらかと言うと分析的に考え、ストーリーやヴィジュアルなど様々な観点から点数化する作業が主なので、プライベートでは言語化できない"なんとなく"な感覚はすごく大事にしていますね。

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