目まぐるしくアップデートされる街
東京に突然訪れた「新しい日常」
自分の周りを取り囲むように
現れた球体の”境界線”は
「新しい日常」がもたらした
変化なのか。
それとも
元来存在していた境界線が
可視化されただけなのか。
目まぐるしくアップデートされる街・東京に突然訪れた
「新しい日常」
自分の周りを取り囲むように現れた球体の”境界線”は
「新しい日常」がもたらした変化なのか。
それとも元来存在していた境界線が可視化されただけなのか。
東京・中目黒でルームシェア生活を送るふたりの女性。ひとりの妊娠、そしてシングルマザーという人生の決断を経て、友情、仕事、家族と向き合いながら、過去への固執と現実、その先を描いていく。脚本・監督を務めるのは、同作が初長編作品となるファッションイベント演出家・映像作家の津田肇。妊娠した友人をそばで見守る主人公「小春」には、女優やファッションモデルとして活躍中の三吉彩花。小春のルームメイトであり、悩みながらもひとりの女性から“母親”になる決断をする「彩乃」は、近年話題作への出演が相次ぐ女優、阿部純子が務めた。
本作は、ファッションカルチャーに造詣の深い津田監督ならではのこだわりが詰め込まれており、主人公二人が暮らす部屋をはじめとする空間デザインや、東京のミュージックシーンを牽引するアーティスト達による劇中音楽も見所のひとつ。そして、繊細なデザインや色使い、そして独特の世界観を持つファッションブランド「tiit tokyo」のデザイナー・岩田翔がファッションディレクターとして初の映画衣装監修を手掛けており、スタイリングだけでなく、本作のために一から作られた衣装も必見。
「表現」や「モノ作り」の選択肢が増えた
「表現」や「モノ作り」の選択肢が増えた
二人に訪れた「新しい日常」の過ごし方
三吉彩花(以下 三吉):最近アクリル絵の具で絵を描き始めました。
阿部純子(以下 阿部):何を描くの?
三吉:風景とか、実家の猫とか。
阿部:アートとか「作ること」に還元できるといいよね。私は「なんかしなきゃ!」と思えば思うほど焦ってもやもやすることも多くって。ご飯を作るとか、お菓子作るとかとにかく何かを「作ること」で有り余ったパワーを発散してました。業界の中でもリモートで撮影をやっている方もいらっしゃったり、「表現」や「モノ作り」の選択肢が増えたことはよかったなって。
三吉:あとは、家族とご飯をしっかり食べれたのも嬉しかったですね。
阿部:ご飯の時間をすごいちゃんと取れる、というのは私も思った!今までの時間の過ごし方と全然違ったよね。
変わらずに続けていること
阿部:ヨガとランニングを変わらずに続けていて。前からやってはいたんですが最近、道具を揃えてがっつり取り組み始めました。「ご飯をちゃんと食べて運動している人」になると罪悪感なく好きなものが食べられるので色々な意味でヘルシーですよね(笑)。
三吉:私は、高校1年生くらいから哲学とか人文学の本をずっと読んでいます。私は一人っ子だったからか、小さい頃から自分の意見は割としっかりあった方で。でも思春期迎えた頃に、色々な人の意見や考えに触れる機会が増えて自分の芯がぶれ始めちゃったんですよね。「この人の意見もわかるし、こっち人が言ってることもわかるし。自分が何をしたいのかわかんない!」って(笑)。最後に決めるのは自分だということはわかってたので、考え方のトレーニングをするためにそういった本を読み始めたらハマっちゃって。
阿部:おすすめの本は?
三吉:最近は、マネージャーさんから教えてもらった「亡くなった人と話しませんか」を読んだ!自分が考えていたことと近かったから、私はすごいしっくりきた。分かりやすくて、読みやすいと思うよ。
それぞれの「愛着」
三吉:愛着のあるものは20歳の時に「成人したから」という理由で買った「サンローラン(SAINT LAURENT)」の黒いミニバッグかな。ちゃんと自分で働いたお金で買った、ブランド物のバッグってことで大事に使っています。お店に入る時のワクワク感も買う時のドキドキ感もいまだに覚えてる(笑)。それからというわけじゃないんですけど、自分の中で節目節目にアクセサリーやバッグを買うようにしています。
阿部:私はロングスカートかな。
三吉:確かに、純ちゃんは長いスカートのイメージがある。
阿部:フレアの効いてるスカートは自分に馴染む感覚があって好き。鮮やかな色でも、自分にしっくりきてるからなのかスタイルに取り入れやすくて。
三吉:そういう観点でいうと、「ヘインズ(Hanes)」のTシャツは毎年買ってる。夏になると「新しいTシャツをおろしたい欲」が湧くんですよね。でも去年買ったTシャツも全然着られるから、どんどんヘインズのTシャツが増えていて(笑)。持っているヘインズのTシャツだけでハンガーラック一個埋まちゃう気がします。
自分にとって変わらない場所
阿部:渋谷と代官山を繋ぐ大きな道にある「西郷山公園」あたりですかね。丘になってて、住宅地が少し見えるとこがあるんです。初めて東京に1人で出てきて仕事をした際に、沢山の家を眺めながら仕事の悩みなど気持ちの整理をそこでしていました。
三吉:私は、東京に限らず、神社とかお寺が好き。渋谷の並木橋に行く道の裏に神社があったりするので、リセットしたい時とか、喧騒と離れたい時に1人でふらっと行きますね。あとは、祐天寺!あんな大通りにあるけど結構敷地も広いし、桜も綺麗に咲くのでお気に入りです。
側にいるけど干渉しない関係性
二人の関係性
阿部:三吉ちゃんは、事務所の先輩で……。
三吉:年齢は私が下だよ(笑)。でも正直撮影前までは、事務所会議室ですれ違って「お疲れ様です」というくらいの仲だったよね。
阿部:会議室ですれ違った時、「なんて顔の小さい美しい人なんだ」と思ったよ(笑)。一緒に仕事をして、同性から見ても「かっこいい」と思える女性だなって。
三吉:ありがとう(笑)。純ちゃんは「繊細な人なんだろうな」というのが最初の印象。でも話してみると「自分はこう思う」という主張もあって、意外とおしゃべりで(笑)。おもしろいことが好きで、柔軟性のある人だなって今は思っています。今回の映画の撮影でグッと距離が縮まって、最近はよくご飯行ったり、買い物に行ったりもしてるしね。
阿部:今日履いてる「ドクターマーチン(Dr.Martens)」の8ホールはまさに三吉ちゃんと一緒に買いに行ったものなんです。
三吉:私がドクターマーチン大好きで。
阿部:三吉ちゃんに選んでもらった人生初マーチンです(笑)。
三吉:自宅シーンの撮影中も、クローゼットにかかってる衣装を選んで「これ絶対にあうよ〜!」とかも話してたよね。
阿部:選んだやつで実際に映画の撮影もしたり(笑)。
映画「daughters」で演じた小春と彩乃の関係性
阿部:最初はお互い「逆の役の方がしっくりこない?」という話をしていました。その時はすごい思ってたけど今はその感覚を忘れちゃったね。
三吉:撮影初日に純ちゃんが標準をピタッと合わせて「清川 彩乃」で来たので、「彩乃と話していれば私は勝手に小春になっていける。純ちゃんありがとう」って思ったよ。
阿部:そんな風に思っていてくれてたなら嬉しい!「私の演じ方は本当にあっているだろうか」と、実感が湧かないままお腹はどんどん大きくなっていくし。「”母親になる”という気持ちについていかないと」ってずっと焦ってた。でも、小春がそう言ってくれたならひとつの答えとして合っていたのかもしれないね。直接言葉をかけるというよりも、ただ側にいてくれている三吉ちゃんのあり方が優しかったから、彩乃は安心して揺らいだり考えたりする事ができたんだと思います。
「親友」の存在
三吉:「親友」と呼べる人は私のことをなんでも知っています。でも干渉はしない。私も同じように彼女のことを知っているけど干渉はしないんです。だから100%私の味方になってくれるわけでもないんですよね。私は誰かに何かを相談したい時、いろんな意見があると迷ってしまいそうになるので絶対に相談する時は親友だけって決めています。そういう立場であることを親友は理解してくれているので、話を聞いて欲しい時、背中を押して欲しい時に頼りにしてます。
阿部:なんでも話せるし、なんでも話すけど、話さなくても大丈夫。話してない時間があっても、ずっと会ってない期間があっても「わかってる」関係性。
でも、それをお互いに確認するようなこともしないというか。
二人のこれから
三吉:時間があったらバックパッカーしてみたいです!海外に1人で、宿とか決めずにいろんなところに行きたい。一周は大変だから、半周(笑)。それで何年後かにもう半周で「一周」したい(笑)。今、自分の目が海外に向きつつあるので、いろんな文化や人種、言語、価値観、考え方を知りたいし、私の考え方も共有してみたいです。
阿部:私は庭付きの一軒家を借り切って、一人芝居をやってみたい!例えば「鏡の中に5年後の自分が映り込んでいる」とか、実体験ベースにファンタジー要素を盛り込むようなストーリー展開とか…。エンターテインメントが今後どうなっていくんだろうということにすごく興味があるので、挑戦してみたいです。