あらゆる創造の根源と完成された形。その"はじまり"から"おわり"の間に広がる無限の空間と時間を、コレクションという一瞬にして表現する意義として「The work of a moment」と題した。ランウェイを2分するレースのカーテンが、まさに空想と現実の狭間を表すようだ。
　キュプラシフォン素材のワンピースにインクジェットプリントで描かれたのは折り紙の雨。ジャケットやメンズスーツの用いられた独特の張りのある素材は、なんと襖用の紙。かといって和を強調する事はなく、ピッグスエードのドレスやシャンブレーとレザーのコンビネーションなど、常に表情豊かで実験的な挑戦を試みている。それら相反するものや様々な表現方法が反応し合い、 メンズ・レディースの34スタイル全体に新しい調和が保たれた。
　コクーンフォルムのエアリーなワンピースや軽快なジャケット、鮮やかなグリーンやレッドの色使いなど、リアルに着れるドレススタイルが多数登場した。
　デザイナー山本尚美から溢れる創造の宇宙が形となり、その「陰」と「響き」から生まれる美しさが解き放たれた。