
Image by: FASHIONSNAP
朝藤りむが手掛ける「ペイデフェ(pays des fées)」が、「Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 A/W」で2025年秋冬コレクションを発表した。今回は、漫画家の伊藤潤二とコラボレーション。不穏な空気が漂う小石川病院スタジオを舞台に、伊藤の代表作「富江」を着想源にした21ルックを披露した。
コレクションのテーマは「分裂」。デザイナーの朝藤自身が少女時代から“ファム・ファタール”として敬愛していた富江に扮したモデルが、富江をモチーフにしたアイテムを身にまとい、病院内を足早に歩く姿は、永遠に分裂することで生き続ける富江が持つ、得体の知れない恐ろしさと美しさが共存した佇まいを感じさせた。アイテムは、富江をあしらったジャケットやワンピース、スカート、スラックス、スウェットなどを披露した。富江のグラフィックでは、草花やタコの足、深海魚、蛾や蝶を採用。これらのモチーフは、高畠華宵や竹久夢二が描いた大正モダンを代表する少女画や、クトゥルー神話の神々からインスピレーションを受けたという。
コレクションの目玉とも言えるジャケットやビスチェは、「ファム・ファタールはドレッシーであってほしい」という朝藤の思いをもとに、ジャカード織を用いて製作。シリーズ作品「ベビーシッター」に登場する富江をあしらった赤いドレスは、艶のあるサテン生地で血のぬめりを表現した。「アイスクリームバス」をモチーフとしたワンピースは、ミントやストロベリーなどカラフルなアイスクリームあしらい、ツイッギーが一世を風靡した1960年代のファッションを彷彿とさせるレトロポップなスタイルに仕上げた。また、モデルの目元や首元には、血で塗られたようなペイントをあしらい、会場の装飾には、血をイメージした赤や、富江の髪の毛を想起させる黒の毛糸を施した。
囲み取材には、朝藤と伊藤が2人で登場。朝藤は、同コレクションを振り返り「私が作る“少女”に常に怪しさがあるのは、伊藤先生の作品が根底にあったからです。可愛いらしいだけではなく、毒を添えたり、奇妙さを加えることで美しさが際立つと考えています。小学生のときから富江ちゃんが大好きで、憧れで。私の頭上にはいつも“富江お姉様”が浮かんでいるんです。“富江お姉様になりたい”という純粋な思いを出発点に、コラボレーションが実現しました。富江が分裂して増殖していく様には、超現実的なものを感じていて。分裂を繰り返して永遠になる富江の姿からインスピレーションを受けて、コレクションを完成させました」とコメント。今回、初めてファッションショーを鑑賞したという伊藤は「シュールな世界観、着眼点に圧倒されました。新しい作品を描く意欲も湧いてきたので、またコラボレーションできるような新作が生み出せたら嬉しいです」と話した。


























































