デザイナー吉田圭佑が手掛ける「ケイスケヨシダ（KEISUKEYOSHIDA）」が、プレゼンテーション形式で2025年春夏コレクションを発表した。会場は、東京・池袋にある総合レジャービル「ロサ会館」。

　プレゼンテーションは営業中の同館の一部を一時的にジャックする形で実施。2階から階段をゆっくりと降りてきたモデルたちはそのまま、対戦ゲームの勝敗に悲鳴を上げる人やクレーンゲームに熱中する人を横目に、ゆっくりとゲームセンター内を一周してまた2階へと戻っていく。

　ブランドは、今シーズンで10周年を迎える。吉田は今シーズンを「新たなステージと想定していたら、最初のステージの最後の余韻でもあった」と話す。

　ロサ会館は、戦後間もない1946年に誕生した映画館「シネマ・ロサ」が総合アミューズメント施設として業態を変え、1968年に開業。1階の「タイトーステーション」はゲームセンターの先駆け的存在でもある長い歴史を持つ店舗だ。50年以上人々が集う場となってきた同館は、幼少期の吉田自身も足繁く通い、孤独を埋めていた場所でもある。

　今シーズンはブランド立ち上げ当初から吉田の中に存在していた「孤独感」に向き合い、「ブランドとして地に足をつけた」という言葉の通り、エレガンスを追求した直近数シーズンと比較すると、より抜け感のあるリアルクローズを追求。これまではドレッシーな素材を採用してきたトレンチコートには、より柔らかな素材を採用するなど、カジュアルながらも品のある素材選びで過去のコレクションを踏襲しながら、ブランドの新たな表情をみせた。