Image by: FASHIONSNAP
村田晴信が手掛ける「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」が、2025年春夏コレクションをランウェイショー形式で発表した。会場は国立新美術館。会場では、現代音楽家 キリル・リヒター(Kirill Richter)のピアノ生演奏がショーを彩った。
今シーズンのテーマは、「BUT THE IDEA, THE ESSENCE OF THINGS(概念、あるいは物事の本質)」。先シーズンは、写真家のアウグスト・ザンダー(August Sander)の写真作品を着想源に、社会の中で生きる人間の姿に見出す「装うことの喜び」を表現したが、2025年春夏は、さらにそのテーマを掘り下げるべく、「現代彫刻の先駆者」とも称されるルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brâncuşi)に着目。ブランクーシは、要素を限界まで削ぎ落としたミニマルな作風で知られ、アフリカ彫刻などの非西欧圏の芸術に通じるプリミティブな造形が特徴で、鋭い感性で形作る洗練されたフォルムによって、対象物の本質の抽出を追求した。同コレクションでは、そういった対象の本質と物質性を尊重するブランクーシの美学や考えを取り入れ、服のラインを通して目に見えない本質を視覚化することを試みた。
ショーは、石から削り出されたようなフォルムを描くシャリ感のある生地のロングドレスからスタート。ブロンズをイメージしたなめらかなボンディング素材や、柔らかな布の一瞬の動きを固定するような手法を取り入れた彫刻的なアイテムが登場した。繊細な造形を引き立てるため、白のドレスに続いてベージュや赤、黒、ブルー、グレーといった単色のドレスが並んだ。全てのモデルが着用した、首元の部族的な装身具やラッフルドレスのラッフルには、8の字にループした曲線のラインを採用し、「永続性」を表現したという。終盤には、今年創業100年を迎える京都の西村商店の工房が手掛けた伝統的な焼箔技術を使用したシリーズが登場。布の上にあしらわれた硫化した銀箔は時間と共に見え方が変化し、儚くも力強い自然を表現した。
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